児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

児童労働

2006年8月24日

児童労働問題の国際政策研究

児童労働を主題とした国際会議が1997年にノルウェーのオスロで開催された。今回見つけた文献「児童労働に対する闘いの前進と後退(原題“Achievements and setbacks in the fights against child labor”)」は、この会議が児童労働にどのようなインパクトを与え、どのような性質のものであったかを見極めるための評価査定を試みている。

この国際会議は、国際児童基金(UNICEF)国際労働機関(ILO)、そしてノルウェー政府の共催で、約40カ国の代表が集まり児童労働に関する話し合いと行動計画が採択された。この会議によって、働く子どもへの直接支援を実施する機関として、UNICEFとILO双方が同意できる児童労働の解釈定義が確立でき、この会議以前から始まっていた新しい条約策定の草案にもこの活動計画が最も影響を与えたと、この報告書は分析している。

「国際会議に参加したい!」とノルウェー政府へFAX

実はこの会議に私も参加しようと試みたことがある。大胆にも1997年、大阪のワンルームの自宅からノルウェー政府に「参加したい!」とFAXを送ったのだ。ただの学生からそのような問い合わせをもらった担当官はさぞ驚いただろう。感熱紙でプリントされたノルウェー政府の返事は、「この会議は政府代表や国際機関等から招待された人のみが参加が認められており、残念ながら一般には公開していない」という内容だったと思う。自宅を探せば変色した感熱紙がみつかるかもしれないが、とにかくEメールもそれほど普及してない今は昔の話である。

記憶が定かではないが、このオスロの会議には日本政府からの参加はなかったと思う。ACEが日本のNGOとして活動していく中で、日本の国際政策の中で児童労働を重要と認識させ、このような国際会議にいかに日本政府の参加を促していくかも、アドボカシー戦略のひとつになるのであろう。

児童労働問題における国際政策のあり方

少しわき道にそれたが、この報告書は児童労働の国際政策を進める選択肢(Options for Policy Initiatives)として、以下の4つを挙げている。

  1. 児童労働と教育に関する会議、世界会議または地域会議
  2. 実施評価
  3. 知識強化
  4. モニタリングメカニズムの確立

それぞれの選択肢の一長一短を上げているが、4については最近ILOも児童労働モニタリングシステム(Child Labor Monitoring System, CLMS)の開発などに力を入れていることから、今後注目すべきではないかと思う。

この文書は2004年にFafoという組織の研究者が書いたものであるが、私は大変興味深く読んだ。国際機関やNGO以外で、文献調査ではない児童労働の政策研究が珍しいだけでなく、実際に関わった人たちにインタビューを行い実情を詳しく描いている。このFafoは1981年にノルウェイの労働組合連合組織の研究機関として発足し、1993年に独立した。日本でいえば連合総合生活開発研究所にあたるのであろう。欧州は児童労働問題に政府が積極的な国が多いが、研究面でも進んでいると感じた。

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