インドで子どもに会って考える旅~スタディツアー2007報告(3)

インドで子どもに会って考える旅~スタディツアー2007報告(3)

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ILOインド事務所に訪問時の記念写真ACEスタディツアー2007報告1と2に続き、8月31日に訪問したILOデリー事務所と9月4日に訪問したドン・ボスコで聞いてきたことをご報告いたします。

児童労働への取り組み~ILO(国際労働機関)デリー事務所

インドにおける児童労働の現状

インドの総人口約12億人のうち、約33%が15歳以下の子どもです。児童労働に従事している子どもの数は約1260万人、そのうち最悪の形態の児童労働に従事しているのは約200万人と推計されています。児童労働の主な要因は、貧困、教育機会の欠如、文化的・社会的理由などがあります。児童労働者数は州ごとに差があり、教育制度が整っていない州ほど児童労働が多くなっています。

インド政府による児童労働へ取り組み

児童労働に関する法律上の規定は、憲法24条、39条、45条と1986年の児童労働禁止法などがあります。特に児童労働禁止法では、特定の職種や作業での子どもの雇用を禁止・規制しています。実際に児童労働をなくす取り組みとしては、児童労働者の救出やリハビリテーション、意識啓発などが行われています。

また、万人のための教育政策の下で、14歳までの子どもに義務教育を無償で普及する運動を実施したり、UNICEFやUNDPなどの国連機関、国内外のNGOとともに児童労働撲滅のために活動しています。

国際労働機関(ILO)による児童労働へ取り組み

ILOデリー事務所でのレクチャーの様子インドでのILO-IPEC(国際児童労働撤廃計画)の活動は1992年から始まりました。現在、インド政府と協力して、児童労働に従事していた子どもの帰還、教育、健康や社会的保護などの課題に取り組んでいます。2004年からインドと米国政府の2国間協力によるINDUSプロジェクトが実施され、インドの6つの州で行われています。ILOはプロジェクトのコーディネーターとして活動し、労働省や教育省だけではなく保健省などの他の省や州政府、労働組合、NGO、市民社会も関わって児童労働撲滅のための総合的なメカニズム作りを行っています。

ILOでのレクチャーの様子このプロジェクトでは、児童労働の多い分野と地域をターゲットに、子どもの対象グループごとに異なる教育や職業訓練の支援を行っています。これまで約9万人の子どもとその親を支援してきました。今後の課題としては、問題の大きさに対して介入が足りないこと、移住労働者の子どもの教育支援の方法、労働需要に見合った職業訓練を行うこと、仕事と学校を両立している子どもたちが教育の機会を失わないよう支援すること、家庭内で働く子どもたちの監視方法などがあります。

 

ストリートチルドレンのリハビリ施設~ドンボスコ・アシュラム

都市におけるストリートチルドレンの状況

シェルターで保護された子どもたちデリーには、鉄道の駅やバスターミナル、公園、マーケット、スラムなどで生活したり働いたりする子どもたちが多くいます。これらの子どもたちは、家族に捨てられたり、家庭内の暴力、体罰から逃れてきたり、児童労働をさせられた経験をしています。駅などでは、麻薬や犯罪などの巻き込まれる危険が多く、薬物の使用、盗みや犯罪を繰り返す子どもたちもいます。また、警官による暴力も頻繁にあります。

リハビリ施設「ドンボスコ」での活動

アシャラヤムの概観ドンボスコは、ストリートチルドレンや孤児、働く子どもたちを支援するため、様々な活動を行っています。駅やスラムなどに設置したコンタクトセンターで子どもたちと接触を図り、ドンボスコの活動を知ってもらった後、運営する夜間シェルターで子どもたちの保護を行っています。保護された子どもたちはカウンセリングを受け、どのような対処が適切か判断されます。家に帰る子どももいれば、学校に行くための準備期間として3~4ヶ月ほどシェルターで生活する子どもたちもいます。

普通の生活習慣を身につけられるようにまた、アシュラムという長期滞在施設で生活する子どもたちもいます。アシュラムの目的は、子どもたちに家庭的な環境を提供し、身体・精神の発達、教育、心理的なリハビリを支援することです。2007年現在、アシュラムで生活する子どもたちは150人いました。子どもたちは施設での生活を通じて、普通の生活習慣を身につけ、学校生活への適応を目指します。また、学校に通う年齢を過ぎてしまった子どもや勉強についていけない子どもたちは、職業訓練を受けることもできます。

18歳以上になれば、本格的な職業訓練を受けたり、高等教育を続ける選択肢もあります。アシュラムでは、子どもたちが持つ可能性に注目し、伸ばすためにさまざまなプログラムが用意されているのです。ここで働く日本人スタッフの牧野さんが中心となり、より多くの子どもたちに対して、総合的なリハビリ支援ができる「子ども村」の建設も計画されています。

スタディツアー参加者の感想

アシュラムで出会った子どもたちは、どの子も働いていた頃は心身ともに想像を絶するような厳しい状況下にあったことだろう。しかし、働くことから解放されると子どもらしく元気に笑い、学ぶことを誇りに思って一生懸命勉強している。その姿は本当にたくましく希望が持てる。

子どもたちは、自分が経験したことを理解し、それを乗り越えて生きて行こうとしている姿を私は知っている。それを支えるBBAのスタッフや、遠い日本で児童労働の問題について働きかけているACEのスタッフ、同じように何かしたいという思いを持ってインドまで来たスタディツアーの参加者がいることを知っている。

スタディツアー参加者の影山さんみんな、これが簡単な問題だとは思っていない。けれど、子どもたちを囲む多くの人がそれぞれの立場で前向きに努力し取り組んでいる姿に私は希望を感じる。一つ一つの努力がうねりとなってもっともっと多くの子どもが笑顔になれる社会にしたい。自分ができることは小さなことかもしれない。しかし、今私はそれが無意味なものなのではなく、はっきりと意味あることなのだと感じることができる。

影山 りなさん(社会人)

 

ACE インド・スタディツアー2007報告

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  • カテゴリー:子ども支援
  • 投稿日:2007.10.11