インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2010年度報告 vol.3

インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2010年度報告 vol.3

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ACEはインドの農村で児童労働をなくし、すべての子どもが質の良い教育が受けられるようにすることを目的に「子どもにやさしい村」プロジェクトを行っています。 2010年4月から活動をはじめたラジャスタン州のラグナツプラ村、ビハジャール村、タルヴァ村では、「子どもにやさしい村」のための持続的な仕組みの定 着と住民の自立に向けた活動がさらに進みました。村の変化や住民の声も合わせてご報告します。

これまでの活動と村の主な変化

就学年齢の全ての子どもが学校へ通うようになりました

支援を通じて子どもたち自身が児童労働の問題に立ち向かうようになりました

就学を呼びかけるキャンペーンを行う子どもたち

集会、家庭訪問、就学キャンペーンなどによる親や住民への子どもの就学の呼びかけにより、3つの村で、農作業、放牧、家事労働などの仕事のために未 就学だった子どもや、中途退学してしまった子ども97人(ラグナツプラ村29人、ビハジャール村36人、タルヴァ村32人)が、新たに公立学校に通うよう になりました(※未就学児童の数は変動します)。

2012年11月現在、義務教育の就学年齢(6‐14歳)の子ども約500人が全員学校に通っています。

学校へ通えるようになったマヌちゃん

ACEの支援で学校へ通えるようになったインドの女の子

学校に通えるようになったマヌちゃん

マヌちゃん(8歳)は、家で家事労働をしていたため、学校へ通っていませんでした。両親は子どもの頃に学校へ通っていなかったため、読み書きができず子ども を学校へ通わせることに関心を持っていませんでした。しかし、村の活動家が何度もマヌちゃんの家を訪問し、女性グループのメンバーや学校へ通う他の女の子 たちと一緒に親を説得した結果、学校に通えるようになりました。

今では、マヌちゃんお両親も、子どもが教育を受けることは、子どもの将来や家族にとってもよいと考えるようになりました。マヌちゃんは、現在小学5年生で、先生にたくさん質問しながら一生懸命勉強し、他の子どもたちにも学校へ行くよう励ますようにしています。

子ども参加による問題解決が定着化してきました

子どもにやさしい村づくりの第一歩です

子ども村議会のミーティングの様子(ビハジャール村)

各村では、子どもの代表者による「子ども村議会」が設立されました。毎年9月に子どもたちによる選挙を実施し、メンバーの交代を行っています。 2012年11月現在、ラグナツプラ村では10人、ビハジャール村10人、タルヴァ村8人が子ども村議会のメンバーとなっています。各村で子どもたちは、 毎月2回ミーティングを開き、子どもの就学や学校施設、教育の質の改善などについて定期的に話し合っています。また、「子ども村議会」のメンバーはおとな の村議会(自治組織)の会議にも参加して、子どもが抱える問題、特に学校の問題などが村全体で取り組まれるよう改善策を話し合うようになりました。

子どもたちは「村で一番変わったことは、子どもがみんな学校に通うようになったこと。みんなで学校に一緒に行こうと声をかけ合うようになりました。おとなも子どもの意見を聞いてくれるようになりました。ずっとこの活動を続けていきたいです。」と話してくれました。

学校の教育環境が改善されてきました

子どもたちや村人たちの行政への働きの成果

新しく建設された教室と給食調理室(ラグナツプラ村)

3つの村では、子どもたちが継続的に質の良い教育を受けられるよう、村にある公立学校の教育環境の改善に取り組んでいます。上記の「子ども村議会」 と村議会での話し合いをはじめ、「学校運営委員会」でも教員や村長、親、子どもたちが定期的に会合を開いて話し合い、行政へ働きかけを行っています。

その結果、ラグナツプラ村の学校には新しい教室や給食調理室、教職員室が作られたり、壊れていた飲料水施設やトイレが修理され使えるようになりまし た。タルヴァ村ではこれまでなかったトイレが設置されたり、老朽化していた教室の壁が改修されました。ビハジャール村では、小中学校の敷地内に高校が新設 され、タルヴァ村を含む周辺の村から進学できる子どもたちが増えました。

また高校へ進学する女の子のための通学用自転車が政府から支給され、遠い村からも通えるようになりました。 現在は、まだ不足している教員の補充や校舎を囲う塀の設置など残された課題が改善されるよう行政への働きかけを行っています。

住民たちが、子どもの就学の徹底、生活改善や収入向上の取り組むようになりました

3つの村では、村のリーダーによる諮問委員会、青年グループ、女性グループが組織され、子どもの就学や子ども村議会の活動をサポートしたり、行政制 度についての訓練を受けて、共通の課題に取り組むようになりました。子どもの通学状況を確認して、休みがちな子どもや親を説得するなどしています。また就 学の障害となる児童婚の習慣をなくすため住民への呼びかけを行った結果、児童婚がなくなりました。

青年グループは、行政制度とその活用方法について学び、関係局への要請手続きなどを通して、村の電気の普及、道路整備、貧困家庭のための雇用保障の 活用、障がい者や高齢者のいる家庭のための社会保障制度の活用などができるようになりました。現在は、不足している飲料水施設の設置などに取り組んでいま す。

女性グループは、女性の権利や健康に関する意識が高まり、保健局と連携して、子どもの出産登録をしたり、母子保健センターで乳幼児のための予防接種や健康 診断、栄養補助食の支給などができるようになりました。また自助グループを作って銀行に預金し、少額融資を受けて生活改善・収入向上のための活動も行うよ うになりました。少額融資によって子どものための文具を購入したり、ヤギや牛を購入したりできるようになりました。

青年グループのメンバーたち(ラグナツプラ村) 青年グループのメンバーたち(ラグナツプラ村)
女性グループのメンバー 女性グループのメンバーたち(タルヴァ村)

住民たちは「プロジェクトが行われてから、住民が団結して村の問題を話し合うようになりました。時間はかかるけれど、村を良くしようという機運が高まっています。」と話してくれました。

プロジェクト終了に向けて

プロジェクト開始時に村を訪問した時、住民たちの言葉には「村は過疎地で政府から誰も来ない見放された村」とか「村で子どもたちが働いていることや他のたくさん問題もどうすることもできない」といった一種の「あきらめ感」がありました。

しかし、活動が行われてから今は「村の将来のために子どもの教育は大切」であると村全体が認識するようになり、子どもやおとなたちが「自分たちで改 善できる」という希望や自信を持ち、協力し合い、改善に向けて行動するようになったことが村にとっての大きな変化です。住民の小さな努力の積み重ねが「子 どもにやさしい村」に着実につながっています。

「子どもにやさしい村」プロジェクトが終了した後も、住民が活動を続けて自分たちの力で児童労働をなくし、子どもたちが継続的に学校へ通えるようになり、住民の生活が改善されていけるようサポートしていきます。

インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2010年度報告

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  • カテゴリー:子ども支援
  • 投稿日:2012.11.28