コットンのやさしい気持ち

【インド便り】「子どもが働くことは当たり前」から「子どもは学校へ行くのが当たり前」に

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2015年6月末から7月初旬にかけて、ACEが支援するインドのコットン生産地域を訪問して参りました。今回は、2010年から2015年6月までの約5年間の活動を終了したナガルドーディ村で、「教育環境の改善」に関するご報告をいたします。

住民の資金で設置した机と椅子で勉強する子どもたち(2015年6月)

住民の資金で設置した机と椅子で勉強する子どもたち(2015年6月)

 

児童労働の要因「意識」と「教育環境」に取り組む

児童労働がおきる背景には、家庭の貧困だけではなく、親の教育への意識が低いことや、教育環境が整っていないことも大きな要因です。プロジェクトでは、住民からの聞き取りや村の状況把握などから、子どもが働く要因と現地のニーズを特定し、その改善に向けて取り組んでいます。

ナガルドーディ村では、これまでの活動により、コットン栽培などで働いていた子ども約200人が労働をやめて就学し、義務教育年齢(6-14歳未満)の子ども約530人のほぼ全員が学校へ通うようになりました。コットン畑には、子どもの姿はなくなり、おとなだけが働いています。児童労働がなくなり子どもが就学できるようになった理由には、教育の重要性について住民の意識が高まったことと、実際に教育環境が改善したことが挙げられます。

これまでの支援を通して、村全体で、「子どもが働くことは当たり前」という考えから、「おとながきちんと働き、子どもは学校へ行くのが当たり前」という考えに大きく変わりました。住民同士で「村の子どもたちみんなを学校へ通わせよう」と呼びかけ合うようになったのです。

住民が学校と連携して教育環境の改善に取り組むように

子どもたちは、村に一つだけある公立学校か、周辺地域の私立学校に通っています。私立学校は授業料などのお金がかかるため、比較的裕福な家庭の子どもが通いますが、公立学校は、政府が無償義務教育を提供しているため、経済的に貧しい家庭の子どもが通っています。

ACEが支援を始める前まで、村の公立学校には教師の人数が足らず、学校施設も充分に整っていなかったため、親からの不満が多く、「子どもが学校へ行っても充分な教育を受けられていない、働かせた方が良い」と考える親が多くいました。そのため学校に通わない子どもや、働くために中途退学する子どもが多かったのです。

支援をはじめる前からあった開始前からあった公立学校の校舎

支援をはじめる前からあった開始前からあった公立学校の校舎

 

そのため、教員や住民が参加する「学校運営員会」の活動を強化し、学校と住民が定期的に話し合いや政府へ要請などして、学校改善に取り組みました。その結果、不足していた教員が3名増員されたり、2階建ての校舎が建てられて学年ごとの教室が整備されたり、給食が改善されたり、トイレや飲料水施設などが設置されました。また教員と生徒が、学校の課題や改善策を話し合って一緒に取り組むようにもなりました。

新たに建設された2階建ての校舎

新たに建設された2階建ての校舎

 

学校制度の活用だけでなく、住民の自発的な活動も

学校が改善されたことにより、小学1~5年生と、日本の中学生にあたる6~8年生の約300人が継続的に学校へ通うようになり、以前より就学人数が約30名増え、中途退学者も減りました。この村の就学率の向上が教育局に評価されて、視聴覚教室用のパソコンや教材も寄贈されました。

政府から寄贈された視聴覚機材

政府から寄贈された視聴覚機材

 

さらに、親や住民が自ら資金を集め、教室用の机や椅子を購入するなど、行政による教育制度の活用だけでなく、住民の自発的な活動も行われるようになったことは、予想以上の変化でした。

また、「児童労働反対世界デー」である6月12日が、ちょうどこの地域の公立学校の新学期初日だったこともあり、今年は住民と学校教員が一緒に、公立学校の環境や活動を知らせる大きなバナーを作ったり、子どもの就学を呼びかけるマーチを実施していました。

学校の就学キャンペーン用のバナー(2015年6月)

学校の就学キャンペーン用のバナー(2015年6月)

 

進学して継続的に教育を受ける子どもたちも

就学率が上がっただけでなく、村の公立学校を卒業して、中等・高等学校などに進学する子どもも増えました。

アイジャ市の中等学校の校長先生は「ナガルドーディ村の子どもたちは、通学に1時間半かかるほど交通アクセスが悪く大変ですが、きちんと勉強しています。さらに大学へ進学した子どももみな退学せずに通っていると報告が来ています」と話してくれました。

近隣の中等学校に進学したナガルドーディ村の子どもたち(2015年6月)

近隣の中等学校に進学したナガルドーディ村の子どもたち(2015年6月)

 

また、子どもたちは「卒業したら、大学に入って科学を勉強したい。将来は医者になって、村の貧しい人たちのために役に立つ仕事をしたい。」と話してくれました。実際に、村には進学して教員や看護婦になる資格を取るための試験を受けている子どもたちがいることが分かりました。

 

子どもを安心して学校へ通わせられるように、そして「もっと改善したい」

今では親たちは、「子どもを学校に通わせてよかった。学校が良くなって、子どもはよく勉強するようになった。家でも生活態度が良くなってうれしい」と言います。親は子どもたちが学校生活を楽しむ様子を見て、子どもを安心して学校へ通わせられるようになったようです。住民自身の力で学校改善に取り組み、その成果がみられたことも、さらに喜びや達成感、参加する活動への自信や意欲向上につながったようです。また、親や住民は「公立学校のトイレをもっと増やしたい。教室の壁を修繕したい」と、まだある課題を改善するため取り組み続けています。

学校の改善に関わった住民たちとスタッフ

学校の改善に関わった住民たちとスタッフ

 

このように、村の教育環境の改善や子どもの変化が、親の教育への意識をさらに高め、改善への意欲向上など、相乗効果を生んでいることが分かります。今後も住民自らの力で子どもの就学徹底と環境改善に取り組み続けられることを期待しています。

報告:ACE インド・プロジェクトマネージャー 成田 由香子

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  • カテゴリー:子ども支援
  • 投稿日:2015.08.26

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