NPO法人化10周年記念イベント「SDGsサミット参加報告」開催報告

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2015年11月21日、東京・市ヶ谷のゼンセン会館にて「NPO法人化10周年記念イベント『SDGsサミット参加報告』~持続可能な開発目標の達成に向けて、政府・企業・市民社会にできること~」を開催しました。

ACEがNPO法人化してから歩んできた10年を振り返るとともに、2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」について、国連総会に参加してきたACE代表岩附から報告を行いました。また、参加者約30人でグループディスカッションを行い、SDGs達成に向けて、企業・市民団体・消費者など様々な立場からできることを考えました。

NPO法人化からの10年間

今回のイベントは、ACEの設立の背景、NPO法人になってから10年間の歩みを、ACE代表の岩附と事務局長の白木が、台本も打ち合わせなしで話す“即興対談”で始まりました。ACEの月日を年代ごとに笑いも交えながら紹介しました。

NPO法人化10周年記念イベント「SDGsサミット参加報告」開催報告

ACE設立時など活動を振り返る代表岩附(右)と事務局長白木(左)

まず、1997年に世界中で行われていた「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本で実施するために学生5人でACEを設立した背景や、その「児童労働に反対するグローバルマーチ」を世界に呼びかけた、2014年にノーベル平和賞を受賞されたカイラシュ・サティヤルティさんとの関わりについて触れました。

また、児童労働の活動を広めるために日本で行っているアドボカシ―活動やインドのコットン生産地とガーナのカカオ生産地での海外プロジェクトのはじまり、現在の活動の基盤となった取り組み、ACEがNPO法人化した際に白木や現在のACEのスタッフが職員となった経緯や、当時の活動や予算に関しての苦労話にいたるまで、様々な話が出てきました。

他にも、ACEが活動を始めた時は、「児童労働」という言葉を知っている人が少なかったが、徐々に知られるようになり、ACEと直接関わりがなかった人からの支援いただけるようになったという話もありました。今後の課題としては、児童労働と関わっているものが何なのか「見える」ようにし、知る人を増やして「児童労働をなくす」という事につなげたいと述べました。

SDGs(持続可能な開発目標)サミット参加報告

ACEの歴史を振り返った後、代表の岩附より、ニューヨークの国連本部で開催された国連SDGsサミットや、同時に行われた様々なサイドイベントに参加した報告と、SDGsの達成に向けた今後について発表を行いました。

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国連SDGsサミットの報告をする代表岩附

はじめに、今回のSDGsサミットに参加した経緯と、SDGsの目標について確認しました。SDGsができた背景には、2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられ、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げMDGs(ミレニアム開発目標)があります。2015年以降にこれを補完するものとしてSDGsが採択されました。SDGsには17の目標と169のターゲットが定められています。その目標8のターゲットの一つに「2025年までにすべての形態の児童労働をおわらせる」ことが明記されています。

目標8:
「包括的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する 」
ターゲット:
「強制労働を撤廃し、現代の奴隷制度や人身取引(売買)を終焉させるための即時の効果的な措置をとり、また子ども兵士の徴兵・使用を含む最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保する。また2025年までにすべての形態の児童労働を終焉させる。 」

MDGsでは発展途上国にスポットが当たっていたが、SDGsは普遍性があり、日本などの先進国を含め全ての国に関わるため、SDGs達成のためには日本の課題にも取り組む必要があります。

SDGs達成のためには、ビジネスセクターでの取り組みが不可欠であり、企業が重要な役割を担っています。また、NGOの重要性も高まっており、SDGsの達成に向けてNGOが新しい役割を担っていくことも大切です。しかし、制約の多いNGOがそれぞれの役割の中で連携し、対話を深めていくことが大切であるということも触れられました。さらに政府・援助機関・企業・市民社会が互いの役割の中でどのように連携していくのか、また各セクターの役割とは何なのかについてなど共有しました。

グループディスカッション~SDGs達成に向けて~

岩附からのSDGsサミット参加報告の後、参加者同士で今回の発表で関心を持ったことや感想、SDGsの達成のために何ができるのかについてグループに分かれて意見交換をしました。各グループには、学生や社会人など幅広い世代の方が参加し、グループで話し合ったことを全体に向けて発表してもらいました。

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参加者同士でのグループディスカッションの様子

15歳の中学生が安倍首相を前に提言した事例を挙げ、「おとなよりも子どもの意見の方がいいのでは?」、「子どもや若者こそが社会に変化をもたらすのではないか?」という意見や、目標達成に向けて、「SDGsを知らない人が多い中で、実社会の中にある課題も踏まえて広めていく必要があるのではないか」、「日本の企業にCSR(企業の社会的責任)に取り組む企業が少ない中で、企業のトップのレベルから巻き込んでいく必要がある」などの意見がありました。

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各グループからの全体発表

さらに、「SDGsサミットに日本の企業関係者はどのくらいいたのか?」、「日本政府は今回のSDGsをどのようにとらえているのか?」、「前回のMDGsに比べて、SDGsの達成度は上がったのか?」、「ACEはSDGsの達成に貢献するために何をしていきたいのか?」などの質問もありました。

SDGs達成に向けてできること

今回のイベントではSDGsに関心のある学生から社会人の方々が集まり、SDGsの達成に向けて企業・市民団体・消費者など様々な立場からできることなどについて話し合いました。グループディスカッションでは、参加者から「日本企業は欧米企業に比べて積極性が足りないのではないか?」、「日本の企業がCSR(企業の社会的責任)でSDGsに関わっていけるのか?」などの意見がありました。実は、今回のSDGsサミットに日本から参加した企業関係者が少なかったことに岩附は危機感を覚えました。日本企業が行うCSRの取り組みが欧米企業に比べ、うまく発信されていないという現実もあります。

そんな中、個人で声をあげていくことも必要です。現在、企業に求められている人材は“自ら考え、動ける人材”と言われています。私たちもSDGsという目標をもっと身近に感じ、率先して自分にできることを実践していくことが求められています。今回のイベントをきっかけとして参加者の方々がSDGsをすこしでも身近に感じ、自分にもできるアクションを起こしていただけたら幸いです。

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参加者・スタッフで最後に集合写真

報告:ACE イベント・セミナー担当インターン 川口直人

         

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2015.12.16