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2010年7月6日
ソニアさん(インド:15歳)
2002年、日韓共催でサッカーのワールドカップが日本で開催されました。華やかなグラウンドでの魅力的な試合に人々の関心が集まりましたが、その一方で、世界にはたくさんの子どもたちが劣悪な環境でのサッカーボールの製造にたずさわっていました。
2002年日韓ワールドカップのちょうど一年前の2001年5月31日。一人の女の子が日本で記者会見をするために来日しました。それがソニアさんです(当時15歳)。ソニアさんは5歳からサッカーボールを縫う仕事をしていました。
ソニアさんは記者会見で、サッカーボール縫いについて話してくれました。
「私は朝7時から夕方5時までボールを縫う仕事をしていました。
1つのボールを縫うと5ルピー(約15円)もらえました。
縫う時、手に針を刺してしまい、とても痛かったです。
勉強をしたかったけど、病気の母を看病している父に
『学校に行かせてほしい』とは言えませんでした。」
32面の硬い人工皮で出来たパネルを縫い合わせる作業はとても時間がかかり、一日かけてボール二個を縫い終わるのがやっとです。ソニアさんの家はお母さんが病気で、お父さんはその看病に追われていました。ソニアさんは親戚と一緒にサッカーボールを縫って家計を助けていましたが、7歳の時に失明してしまいました。それでも、彼女はボールを縫い続けていたといいます。ソニアさんは現地のNGOのスタッフによって救出され、自分の体験を語るために日本へ来日しました。記者会見で、ソニアさんは力強く日本に住む私たちに向かって、こう言ってくれました。
「サッカーボールを使うときは、
大人が正当な賃金をもらって作ったものを使うようにしてください。
子どもは学校に行くべきです。そのために、どうか協力してください。」
初めて外国へ来たソニアさんでしたが、日本語の発音を真似したりと、とてもほがらかで明るい性格の女の子でした。当時サッカーボールを作る児童労働があることを知らなかった私たちはソニアさんを通じて、サッカーという世界中の人に愛されるスポーツの裏側に児童労働があることを知り、このことを多くの人に伝えるためのキャンペーンを日本で行うことになりました。それが「ワールドカップキャンペーン~世界から児童労働をキック・アウト!」です。
正五角形と正六角形のサッカーボールパネル
このキャンペーンは、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンと日韓アジア基金と共に実施しました。約4000人の動員数を得て、多くのメディアから取材を受け、さまざま媒体でサッカーボール産業の児童労働が報じられました。この体験が、「もっと児童労働のことを日本に人に伝えなくては!」、「そのためにACEの活動を充実させなくては!」と、ACEをNPO法人にしようと決意したきっかけとなりました。
実は、ソニアさんはこのあと韓国へも行き、韓国で初めてお医者さんに診断を受けました。見えなくなってしまった目は、もう治らないことがわかりました。それでも彼女は、その事実をしっかりと受けとめたそうです。困難に負けず、芯の強いソニアさんを誇りに思うと同時に、ソニアさんのように、子どもの頃の労働環境が影響で、健全な成長や将来の可能性を奪われてしまう子どもがたくさんいることに気づかされました。
世界には、この瞬間にも2億1500万人の子どもたちが働いています。一人でも多くの子どもが、その子の可能性を花開かせられるよう、児童労働をなくす運動も、もっともっと盛り上げて行きたいと思います。「児童労働のない未来へ」キャンペーンに、ぜひご協力をお願いします。
多くの人がこのサイトを見て、「児童労働」のことを知っていただくことも「児童労働のない未来」につながります。
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