児童労働って?フェアトレードって?小さな一歩を踏み出した、日本の女の子の奮闘記。「チョコレートの原料、カカオ豆を、どこで誰がつくっているのか、あなたは知っていますか?」日本の普通の女の子3人が、アフリカのガーナで出会ったのは、たくさんの子どもたちがカカオ農園で働かされ、学校に通うこともできない「児童労働」という現実でした。バレンタインデーに、フェアトレードでつくられた、ほんとうに愛のあるチョコレートを、日本のみんなに選んでほしい。彼女たちは動き出しました。イベントの名は、「バレンタイン一揆」。果たして、彼女たちの想いはみんなに届くのか??これは、児童労働の問題と出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの物語です。
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子どもたちの笑い声が聞こえる校舎の近く、心地よい風が吹く青空の下で子ども保護委員会(CCPC)のメンバーとの懇談を持ちました。メンバーのやさしい笑顔と熱い言葉が印象的でした。CCPCはクワベナ・アクワ村をはじめとした9つの村から選ばれた9人のメンバーから構成されています。メンバーは全てカカオ農園で働いています。それぞれの仕事がある中で、自らの時間や労力を割き、ボランティアとして活動を続けています。 CCPCの主な活動に草の根レベルでの調査活動があります。子どもたちがどの学校に通っているのか聞いてまわり、記録をしていきます。その調査段階で学校に通っていない子どもに出会うと、保護者のところに行って説得をし、経済的に通学が厳しいという家庭があれば相談にのり、相互扶助グループを紹介するなどして、解決に向けてフォローアップをしていく活動をしています。最近は、どうしても経済状況が厳しい家庭には、ACEの支援を通じて学用品を提供することも始めているようです。
このような活動は、メンバー自らがその場に行っていますが、時には奥地まで行かなくてはならず、とても根気がいる活動です。そして、この地域はよりよい農場を求めてくる人たちが入ってきたり、様々な事情で出ていく人も多く、人の出入りが激しいため、活動を続けてもなかなか成果が見えにくく、それによって非難を浴びることがメンバーにとって心苦しいようです。 そのような中でも活動を続けていく彼らの情熱はどこからわきあがってくるのか。それは活動を通して関った子どもたちとの出会いにありました。地道に活動を進めていく中で、自分がサポートをしていた子どもたちが学校へ通えるようになったり、子どもたちが近況を報告してくれるなど、子どもの成長を感じられることが、彼らにとって何よりの励ましになっているようでした。一人ひとりが自分の働きに責任と誇りをもって取り組んでいる姿はとても頼もしく、彼らを尊敬する想い、また自分たちが突き動かされる想いでお話を伺いました。
村を離れる前の夕方頃、子ども権利クラブ(CDC)の役員メンバーと向かい合って話し合う時間をもつことができました。発言するときには人差し指をたてて手を挙げるのが習慣なようで、メンバーそれぞれが手を挙げて積極的に発言をしてくれました。 ガーナでは「子どもに権利がある」という認識が薄く、子どもは“大人の言うことをきく存在”とされているとプロジェクトの現地スタッフのイブラヒムさんが説明してくれました。そのような中で“子どもにも権利や責任がある”ということを実践的に伝える役割としてCDCが組織されました。このクラブのメンバーは小学生・中学生全ての子どもたちですが、特に中心になって運営しているのがこの執行部のメンバーです。
CDCでは、子どもたち自身にとってよりよい学校をつくるために、学校の設備などの改善するべきところをあげ、それらの意見をまとめてCCPCやPTA、また校長先生から村の議会へと要請をする活動を主にしています。実際に、CDCの活動によって学校に壁がつくられたり、学校の外に雨避けの溝がつくられたり、先生からの体罰が違った方法での指導に変わったりなど、多くの成果があがっています。今は図書館の設立などを要請しようとしているようです。
役員のメンバーもCDCで中心となって活動することによって、多くの学びを得ていることを伝えてくれました。「責任感、忍耐力が培われて、人の声をどのように聞くのかということも学べた。」「今は自分たちで保護者や大人たちに意見が言えるようになった。」という声からも、彼らが自分たちの身近な環境のことを自分たちの問題として捉え、改善するために協力をよびかけたり、変化を起こしたりする具体的な術を身につけていることがわかります。 ディスカッションの後半では、日本での“いじめ”の問題について話が発展していきました。日本のいじめの陰湿さ、悲惨さについて説明すると、それを聞いた彼らは笑い始めました。きっと想像もつかなかったのでしょう。しかしその後には、真面目なまなざしで「それで日本は大丈夫なのか?」と。この話を日本に帰ってからしていると、多くの人が「逆に心配されちゃったのね。」といいます。指摘をしてくれた彼らの言葉から、日本のことについて振り返り、自分自身を反省すると共に考えたことは、本来“逆”でもなんでもないということです。“逆に”という言葉から、私たち日本人は勝手に「ガーナは日本に支援される側」だと位置づけていたことに気づかされます。そのような位置関係を構築せずに、ガーナと日本、お互いに意見を交わし合うことで、更に関係が深まるのだろうと思います。
力強く生きるということ。私がガーナに行って、そこに暮らす人々と出会う中で考えたのは、人の生き方についてでした。 はじめ私がもっていたガーナのイメージは「アフリカ」であり、その「アフリカ」のイメージとして一番に思い浮かぶのは「貧困」という負の側面でした。しかし、そのイメージではとても大雑把で、多くのものを削ぎおとして考えてしまうことに気づき、そのイメージが私をいかに貧しくしていたかをガーナで知らされることになりました。
子どもは学校へ行かずに働くということが当たり前であった村の人々が、その現状を児童労働という問題として捉え、課題に真剣に向き合っている現場に私は立ちました。大人も子どもも、村の人たちも郡の人たちも、それぞれが主体的にこの問題について考えている姿がそこにはありました。どうしたらこの問題を改善することができるのか、知恵をしぼり、そのために自分の時間や力を割く人々を見て、私が感じたのは豊かさでした。
それは、何か課題があるということは決してマイナスなことばかりではないということの気づきでもありました。課題があったとき、それによる苦難を分かち合い、改善するためにはどうしたらよいのか話し合い、改善されたときには喜びを分かち合う。そのようにして一人ひとりがもつ想いを分かち合う豊かさは、人が生きるために大きな意味をもつものだと確信しました。そして課題がありながらもよりよい生活の場をつくるために隣人と協力しながら努力をしている彼らの生きる力の強さに、私は圧倒されました。その生きる迫力に触れた私は、自分がいかに生きるかということを彼らに問われた気がします。
今回の出会いでカカオを生産する地の人々に出会って、私は児童労働を考えるとき、具体的な名前や顔を覚えながら考えることができるようになりました。それは、この問題が自分事になるひとつのプロセスでもあるとおもいます。だからこの出会いは、児童労働の問題に私が連なっているということを忘れさせないひとつの大きな経験です。カカオを育てる人たちとチョコレートを食べる私たちの繋がりが分断されているようにおもえる今、その繋がりをどう多くの人に感じ、考えてもらえるかを、私は帰国してから考えています。そして、私たちは彼らを支援してあげる存在であるというよりは、彼らから学び、その学びから自分を変えていくことが必要であるということも、同時に強く感じています。児童労働の問題を解決するためには私たちが変わらなければいけない。それは、彼らの生き様に触れた私がおもう、彼らに対する応答です。 今回の出会いの場をつくり、準備し、サポートしてくださった全ての方々、ガーナで出会った一人ひとりに心から感謝します。
ガーナへ訪問した3人のメンバー以外にも、代表者を決める合宿「ACEユースアカデミー」に参加した高校生・大学生たちが、地元や自分たちのフィールドでアクションを行って来ました。売り上げの一部がガーナの子ども支援のための寄付になる「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」を販売したり、イベント出展・開催など、それぞれのアクションを実施してきました。
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