フェアトレードとは? 3種類のフェアトレードと児童労働の関係 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

児童労働とは

フェアトレードとは? 3種類のフェアトレードと児童労働の関係

最近、まちのお店でフェアトレード製品を見かけることが増えたり、フェアトレード製品を販売する大手企業が増えてきています。そんな中、「フェアトレードってなんとなく知っているけれど、よくわからない」、「フェアトレードと児童労働ってどういう関係なの?」という声がACEへよく寄せられます。そこで、フェアトレードとはなにか、フェアトレードと児童労働の関係、ACEがフェアトレードを応援する理由などをご紹介します。

フェアトレードとは?

フェアトレードとは、生産者が人間らしく暮らし、より良い暮らしを目指すため、正当な値段で作られたものを売り買いすることです。

わたしたちの身の回りにあるモノの多くは、たくさんの国や人の手を渡って日本に届いています。例えば、Tシャツなどの綿製品は、畑で綿を栽培・収穫し、工場で糸にして、布にし、色を染め、縫製という工程を経てようやく1つの製品が出来上がります。

しかし、その裏側には、十分に生活することができない賃金で働き、貧困に苦しむ途上国の生産者たちがいます。その中には、児童労働者として働き、教育を受ける機会を奪われている子どもが多くいます。

いわゆる途上国と先進国、または企業間の取引がそもそもフェアじゃないから、こうしたことが起きます。だから、フェアな取引をして、お互いを支え合おうというのがフェアトレードのコンセプトです。

フェアトレードの基準には、労働者に適正な賃金が支払われることや、労働環境の改善、自然環境への配慮、地域の社会・福祉への貢献などが含まれ、「子どもの権利の保護」および「児童労働の撤廃」も盛り込まれています。

フェアトレードには3種類ある

「ラベルがついてるものがフェアトレードなの?」とか「ラベルはついてないけどフェアトレードって書かれてる」という疑問を持たれた方も多いはず。実は、「フェアトレード」と言っても、いくつか種類があります。日本に多いフェアトレードは大きく3つに分類できます。

国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)

国際フェアトレード認証ラベル

製品に対するフェアトレード認証
製品が国際フェアトレード基準を遵守していることを証明
・第三者機関による定期監査を実施

フェアトレード団体(FTO)マーク

WFTO(世界フェアトレード機関 :World Fair Trade Organization)

団体に対するフェアトレード認定
・団体広報物へのマーク掲載はOK
・製品へのラベル掲載には別途認証取得が必要

その他の
フェアトレード

ACEオリジナルグッズのてんとう虫チョコとオーガニックコットンのタオルハンカチ

・各企業や団体が独自に基準を設定
・生産者と直接取引することが多い
・日本に多い

製品に対する国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)

消費者にとって、フェアトレードであるかどうかを見分けやすいのが、Fairtrade International(*1)のフェアトレード認証ラベルです。その製品が国際フェアトレード基準が遵守していることを証明するラベルです。

イギリスのスーパーマーケットのチョコレート売り場にはフェアトレードラベルのついた商品が並んでいます

イギリス・スーパーマーケットのチョコレート売り場

より多くの生産者がフェアトレードに参加できるようになるには、一般の企業でもフェアトレードに参加できる仕組みが必要でした。そこで考え出されたのがフェアトレードラベルの仕組みです。生産者に保証すべき金額など、具体的に設定されたフェアトレード基準を守った製品に認証ラベルを貼ることができ、ひと目でフェアトレード商品とわかりやすく伝えることができる仕組みです。取り扱っている商品すべてを一気にフェアトレードに切り替えることは難しくても、製品一つからでもフェアトレードに参加することができるため、一般企業のフェアトレード参加が増え、身近なスーパーなどにもフェアトレード商品が広がりました。

団体に対するフェアトレード認定「WFTO系フェアトレード」

商品にラベルがついていなくても、「フェアトレードです」と販売されている商品もあります。「WFTO系フェアトレード」か「その他のフェアトレード」の場合です。WFTO(*2)には、事業活動全体がフェアトレード基準を満たしている団体のみ加盟することができ、「100%フェアトレードの団体」だと認証を受けることができます。そのため、フェアトレードの商品を作り、フェアトレードではない商品もつくるような企業や団体は加盟することができません。WFTO加盟団体が販売する商品はすべて「フェアトレード」だと言えます。※製品へのラベル掲載には別途認証取得が必要になっています。

日本で「その他のフェアトレード」が多い理由

国際フェアトレード認証ラベルがなくても、団体がWFTOに加盟していなくても、企業や団体が「フェアトレード」と標記して販売している場合があります。実は「フェアトレード」には、基準となる法律がないため、どんな基準でフェアトレード商品を販売しても、規制や罰則を受けることがありません。

多くの場合、各企業や団体が独自にフェアトレード基準を作って生産者と直接取引をしたり、生産者コミュニティを直接支援したりしています。中には、国際フェアトレード認証ラベルやWFTOよりも厳しい基準を設定している企業や団体もあります。

「その他のフェアトレード」は、日本で多く見られるのが特徴です。その背景には、国際フェアトレード認証ラベルやWFTOが日本で広まる前から、現地の生産者たちと直接取引し、生活を支援する団体が多かったことがあります。

 

(*1) Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構)
ドイツに本部を置く国際組織。ヨーロッパを中心とする各国のメンバー組織がフェアトレード製品認証や啓発活動などを行う。日本では特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパンがその役割を担う。
(*2) WFTO:World Fair Trade Organization
アメリカに本部を置く国際組織。欧米や日本の輸入団体とアジア、アフリカ、中南米の生産者団体が加盟。日本ではピープル・ツリーやネパリ・バザーロなどがメンバーとして参加。
国際フェアトレード基準
経済的基準 社会的基準 環境的基準
▶フェアトレード最低価格の保証
▶フェアトレード・プレミアムの支払い
▶長期的な安定した取引
▶前払い
▶安全な労働環境
▶民主的な運営
▶労働者の人権
▶地域の社会発展プロジェクト
▶児童労働・強制労働の禁止
▶農薬・薬品の使用に関する規定
▶土壌・水源の管理
▶環境に優しい農業
▶有機栽培の奨励
▶遺伝子組み換え(GMO)の禁止

出典:国際フェアトレード基準 : フェアトレード・ラベル・ジャパン

WFTOの10基準
  1. 生産者に仕事の機会を提供する
  2. 事業の透明性を保つ
  3. 公正な取引を実践する
  4. 生産者に公正な対価を支払う
  5. 児童労働および強制労働を排除する
  6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
  7. 安全で健康的な労働条件を守る労働条件
  8. 生産者のキャパシティビルディングを支援する
  9. フェアトレードを推進する
  10. 環境に配慮する

出典:People Tree(2011.7改訂)

フェアトレード豆知識:「Fairtrade」と「Fair Trade」の違い

イギリスなどの英語圏では、FLOのフェアトレードを「Fairtrade」と1つの単語で、それ以外を「Fair Trade」と2つの単語で表記し、違いを区別できるようにしています。しかし、日本ではすべて「フェアトレード」と表記されるため、FLOとそうでないフェアトレードとの違いが分かりづらくなっています。そのため、FLOのフェアトレードを「フェアトレードラベル」と呼んで区別をすることもあります。


月々1000円 子どもの権利サポーターになって子どもたちの夢を応援する


児童労働とフェアトレードの関係

ACEは児童労働の撤廃と予防に取り組む団体です。そんなACEが、なぜフェアトレードを応援しているのか。その理由は大きく分けて3つあります。

ACEがフェアトレードをオススメする3の理由

理由1)フェアトレードは児童労働がないことを目指しているから

フェアトレードは「生産者の暮らしを支えること」を目指した取り組みで、基準の中には「児童労働の禁止」が盛り込まれています。

例えば、ACEが支援しているガーナのカカオ生産地域では、他の地域からの移住や引っ越しが頻繁にあり、新たな移住者が子どもを働かせてしまうことが少なくありません。移住者が来るたびに、子どもたちを働かせず学校へ通わせるよう親を説得するなど「児童労働がない状態」を維持する努力や取り組みが必要です。フェアトレードも同じで、ルールや仕組みを作り、児童労働がないことを常に目指しています。

フェアトレードのよくある誤解
日本ではよく「フェアトレード製品は児童労働が100%ないモノ」と紹介されることがありますが、フェアトレード製品は「児童労働をなくすことを目指した製品」であり、「児童労働がないことを証明した製品」ではありません。フェアトレードを必要としている地域は、生産者の暮らしが厳しく、児童労働が問題となっていることが多々あります。生産者の暮らしを守り、児童労働から子どもたちを守るための取り組みが、フェアトレードなのです。
理由2)フェアトレードは消費者が参加できる「草の根」のムーブメントだから

フェアトレードは「世界の貿易構造を変えていこう!」という草の根のムーブメントです。国や企業の枠組みを超え、世界中の消費者が買い物を通じて、よりよい世界を目指す行動をしています。大事なことは「児童労働がないから安心してフェアトレード商品を選ぶ」のではなく、「児童労働のない世界をつくるためにフェアトレード製品を選ぶ」ことが大切なのです。

理由3)フェアトレードは貿易の仕組みや不公平な社会構造の変化を目指しているから

児童労働は、現地で支援活動を行うだけで解決できる問題ではありません。児童労働を生み出す原因をひとつひとつ解決していくことが必要です。今働いている子どもたちを支援するだけでなく、不公平な貿易の仕組みや社会構造を変え、子どもたちを児童労働から守るための解決方法の一つとしてフェアトレードを応援しています

フェアトレードを選ぶことは児童労働のない未来への投票

私たちが消費者として商品を購入することは、実は選挙での一票と同じです。フェアトレード商品を選ぶことは、企業や団体の取り組みを応援し、現地の生産者や子どもたちの生活を支えることにつながります。そして「私たち消費者はフェアトレード商品を選びます」というメッセージが企業や団体に届き、フェアトレードによって支え合える生産地の人々が増えていくはずです。

身の回りのものすべてをフェアトレードにすることは難しくても、1日1つフェアトレードのモノを食べてみる、フェアトレードの服やアクセサリーをファッションに取り入れてみる、家族や友達にフェアトレード製品をプレゼントするなど、できることから取り入れてみてください。

「ローマは一日にして成らず」。児童労働に加担しないお買い物をコツコツと積み上げて、世界を変えていきませんか?

もっとフェアトレードについて学ぼう!

講師派遣・出前授業を依頼する

ワークショップ「このTシャツはどこからくるの?」の実施風景児童労働やフェアトレードについての講演やワークショップをACEへ依頼することができます。

詳しくはこちら

ワークショップ教材でフェアトレードを学ぶ

教材「おいしいチョコレートの真実」の教材内容カカオの生産地での児童労働やフェアトレードについて学ぶことのできるオリジナルワークショップ教材を販売しています。

詳しくはこちら

出典、参考

         

あなたにも、今、できることがあります。子どもの権利サポーター募集中