コットンのやさしい気持ち

エシカルコットンサミット2013 開催報告

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コットンの日」である2013年5月10日、HUB Tokyoにてリー・ジャパン株式会社との共催で「エシカルコットンサミット2013」を開催しました。2011年、2012年の「コットンCSRサミット」から引き続き、3回目の開催となりました。今回はエシカルファッションやフェアトレード、オーガニックなどをキーワードに生産現場から製品づくりまで、コットンに関わる多彩なゲストから企業の理念や取り組み、課題などについて発表いただきました。平日の日中にも関わらず117人にご参加いただき、大いに盛り上がった一日となりました。

基調講演:「私が“エシカルを着た悪魔”になった日」

基調講演として、ファッションジャーナリストの生駒芳子さんにご登壇いただきました。生駒さんご自身のファッションエディターというお立場から、どのようなきっかけでエシカルファッションに目覚め、その推進者になったのか、エシカルファッションの現状とこれからについて講演いただきました。21世紀のファッションはサステナビリティ(持続性)とクリエイティビティ(創造性)の融合であること、消費者はより本物志向になりつつあるというお話をいただきました。

ファッションジャーナリスト生駒芳子氏

「エシカルを広めるには楽しむこと、遊びの心を持つことが大衆へのエシカルの定着につながる」と生駒さん。「エシカル=真面目・堅い」という固定概念にとらわれず、ファッションとして楽しむことがエシカルファッションの拡大につながっていくのだと強く感じた基調講演でした。

セッション1:フェアトレードコットン&コーヒー チチカカ×スターバックス

登壇者
  • 木南 仁志 株式会社チチカカ 代表取締役社長
  • 田原 象二郎 スターバックスコーヒージャパン株式会社 コーヒースペシャリスト
  • 岩附 由香 認定NPO法人ACE 代表

セッション1ではフェアトレード認証を受けたコットン製品の販売を開始したチチカカ、他業種の先進企業としてフェアトレードコーヒーをはじめコーヒーの倫理的な調達に取り組むスターバックスから、企業の考え方や想い、実践方法などについてお話いただきました。チチカカは、企業理念から生産者もお客様もともにHAPPYであることを目指し、実際に生産地を訪問して人や文化を肌で感じることでよりよい製品づくりの実践に努められています。

木南仁志 株式会社チチカカ 代表取締役社長チチカカ代表取締役社長 木南氏

田原 象二郎 スターバックスコーヒージャパン株式会社 コーヒースペシャリストスターバックス コーヒースペシャリスト田原氏

スターバックスは2015年までにすべてのコーヒーをフェアトレードにするという目標を掲げ、現地での倫理的なコーヒーの調達に取り組んでいます。スターバックスでは、毎月20日を「フェアトレードコーヒーの日」として消費者がフェアトレード製品に触れる機会を提供することで、認識を広めるよう努められています。フェアトレード製品にかける想いが伝わってくる熱いセッションとなりました。

スターバックス関連サイト

CSRについて | スターバックス コーヒー ジャパン

Starbucks Global Responsibility Report

 

セッション2:オーガニックコットン パタゴニア×アーバンリサーチ

登壇者
  • 辻井 隆行 パタゴニア日本支社 支社長
  • 稲垣 貢哉 興和株式会社 開発生産部生産課 / Textile Exchange 理事
  • 中馬 剛仁 株式会社アーバンリサーチ URBAN RESEARCH DOORS ブランドプランナー兼ブランド企画部
  • 細川 秀和 リー・ジャパン株式会社 取締役

定員100名を超える方からお申込みいただき満員御礼定員100名を超える方々にご参加いただきました

セッション2では、Textile Exchange 理事の稲垣氏よりオーガニックコットンの世界の現状や傾向をご報告いただきました。世界全体のオーガニックコットンの生産量は減っているが、製品の売上は伸びているという不思議な現状があるそうです。その背景には、NIKEやH&Mなど大企業がオーガニックコットンを一部導入し、通常の綿と混ざった製品の流通が増えているからだそうです。

興和株式会社/Textile Exchange 稲垣氏興和株式会社 / Textile Exchange 稲垣氏

次に、リー・ジャパンの細川氏からの「エシカルを広めるためには何が必要なのか」という投げかけに対して、オーガニックコットン導入やサプライチェーン管理で先進的な取り組みをされているパタゴニアの辻井氏と、おしゃれな製品づくりでオーガニックコットンを広めるアーバンリサーチの中馬氏からお話しいただきました。まずお客様にとって製品が「いいもの(質、デザイン、機能等)」であることが前提。そのあとに「エシカル」であることを知ってもらうことが、今後のエシカルファッション拡大のポイントになるとのこと。「エシカル」のビジネスとしての大きな可能性やものづくりへの熱い思いをお聞きし、会場のみなさんにもよりエシカルを身近に感じていただけたと思います。

パタゴニア日本支社 辻井氏
アーバンリサーチ 中馬氏
リー・ジャパン 細川氏

セッション3:エシカルファッション、どうやって広げる?

登壇者
  • 竹村 伊央 Ethical Fashion Japan 代表
  • 江良 慶介 株式会社クルック ディレクター
  • 服部 みれい murmur magazine 編集長
  • 成田 由香子 認定NPO法人ACE 国際協力事業担当
ACE 国際協力事業(インド)担当 成田由香子
ACE国際協力事業担当 成田由香子

セッション3では、始めにコットンの背景にある問題としてACE成田からインドのコットン生産地で実際に起きている児童労働問題や生産者の健康被害などの悲惨な現状を聞きました。

次に竹村氏からエシカルファッションの世界と日本の現状について発表いただきました。「エシカルファッションは普通のファッションと変わらない、好きなテイストで、シーンで楽しめるもの」というお話から、エシカルだから着こなしが限られるというのではなく、エシカルファッションの可能性は無限であるということを感じました。

司会の服部氏には「人にも環境にもストレスを与えないもの、いいものを伝えることが本当に心地いい。」とエシカルファッションに携わるようになったきっかけから、その後のご自身の変化についてまで率直な思いを語っていただきました。

 

murmur編集長 服部氏とクルックディレクター 江良氏
Ethical Fashion Japan 竹村氏

さらに、日本のエシカルファッションの意義や今後についてのトークでは、日本では東日本大震災以降、生活や社会のあり方を考え直しエシカルな行動をしたいと思う人が増えており、広がる可能性があることが共有されました。また消費者や現地で活動するNGO、ビジネスを行う企業などそれぞれの役割の中で同じ想いを持つ人同士が、つながって協力し合っていくことが今後大切なのではないかといった意見が共有されました。

登壇者や参加者のエシカルファッション

Ethical Fashion Japanのウェブサイトで、エシカルコットンサミット参加者のエシカルファッションスナップ写真を公開中です。

Ethical Fashion Japanウェブサイトのフォトスナップ

エシカルコットンサミット閉会後、登壇者と参加者によるネットワーキングタイムを行いました。フェアトレードコーヒーなどを楽しみながら、登壇者と参加者が親睦を深め、より深い議論が飛び交う活発な交流の場となりました。この日をきっかけに意識の変化だけでなく、また一つ二つと新たな取り組みへとつながっていくのではないか、という予感がしました。登壇者のみなさま、ご参加いただいたみなさま、お忙しい中まことにありがとうございました。

報告:国際協力事業担当インターン 渡辺 知世

「エシカルコットンサミット」キーワード集

エシカルコットンサミットで登場するキーワードを解説付きの資料にまとめて配付させていただきました。

エシカル
道徳的に正しい、倫理的に正しいの意味。ファッションでエシカルといえば、オーガニック・コットン、フェアトレード、リサイクルなど、環境保護や社会貢献、サステナビリティ、トレーサビリティを考慮したものづくりをさす。
エシカルファッション
ファッションにおいて、環境・社会に過度な負担を強いることのない生産方法のこと。染めを含めたオーガニック素材・天然素材の使用、リサイクル素材の使用、またはリユースの推進、フェアトレードによる貿易取引、伝統技術の保全、高機能エコ素材の使用、社会貢献性を内包するビジネスモデル、地域に根ざしたものづくり、手作りなど、さまざまな手法がある。
フェアトレード
フェアトレード(Fair Trade/Fairtrade)とは直訳すると「公平な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。製品にラベルを貼付し、原材料から完成品となるまでの全過程で、国際フェアトレードラベル機構(FLO)が定めた国際基準が守られていることを証明するフェアトレード・ラベル運動と、世界フェアトレード機関(WFTO)が定めるフェアトレードの10の指針に基づいて事業を行う団体が生産者と直接取引する、2つの大きな国際的な流れがあります。いずれも、よりよい取引条件を提供することで、立場の弱い生産者や労働者の権利を守り持続可能な発展をめざすものです。
オーガニックコットン
米国・欧州基準に準拠して栽培された綿花のこと。その綿花を使用して製造される製品も“オーガニックコットン”と称される。国際認証基準としてはGOTS(Global Organic Textile Standard), OE(Organic Exchange), Fair Trade Organicがあり全生産工程の登録と実地検査を必要とする。日本国外で“organic”と謳うにはいずれかの認証取得が必須。
BCI(Better Cotton Initiative)
スイス・ジュネーブに本部をもつ「通常綿よりも環境配慮型綿の普及啓発促進団体」。
オーガニックコットンとの主な違いは、GMO(遺伝子組換え)使用可能、第3者認証無し、農家への綿花生産付加金(プレミアム・プライス制)無し、ラベルの使用基準無しの4項目。
Textile Exchange(テキスタイル・エクスチェンジ)
旧称Organic Exchangeで、2003年に設立されたNPO団体。オーガニックコットンを中心とした環境配慮型繊維の普及啓発を目的としている。本部は米国(テキサス州)にあり、8カ国にスタッフを配置。以下4業務をメインとしている、①関係各種データの収集・発表、②OE(オーガニックコットン基
準)、GRS(リサイクル基準)の維持・運営、③中南米・アフリカ・インド等での有機農業指導 ・地域教育を通じて市場の安定化、事業可能性の開発を進めていく 、④農業従事者-繊維生産者-アパレル・ブランド-小売業者等が交流を通じて国際的に環境配慮繊維の定着を図る。
GMO コットン(遺伝子組み換えワタ)
遺伝的性質の改変によって品種改良されたワタで、その多くは除草剤であるラウンドアップに耐性を持たせたラウンドアップレディと呼ばれるものや、Btコットンと呼ばれるワタを食害するオオタバコガの幼虫の体内で、タンパク質の分解により毒素を発生させる土壌バクテリアの遺伝子を組み込んだものが主流である。
2011年度では、アメリカのワタの94%、インド88%、中国72%、メキシコの87%がGMOコットンとされている。(ISAAA調査)しかしながら、安全性や生態系への影響、農家の経済問題などについてGMO推進派と否定派との間に論争が続いている。
CSR(Corporate Social Responsibility企業の社会的責任)
企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、地球環境の持続性や、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などの様々なステークホルダーとの関係を重視しながら果たすべき社会的責任のこと。CSRの発展形として、企業の競争力強化と社会的課題の解決を同時に実現させ、社会と企業の両方に価値を生み出すCSV(Creating Shared Value:共有価値創造)の考え方(米国ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱)が、注目をあびている。
サプライチェーン
原料の生産、調達の段階からはじまる、製造、物流、販売などを含む、製品やサービスが作られて消費者の手に届くまでの全プロセスのつながり。
児童労働
義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことを指します。世界には2億1500万人、子ども(5-17歳)の7人に1人が児童労働をしているといわれています(国際労働機関2010年発表推計)。
プレオーガニックコットンプログラム
株式会社クルックと伊藤忠商事株式会社 繊維カンパニーが共同で企画・運営を行なう「インドのコットン生産者のオーガニック栽培への移行を支援するプログラム」。農薬問題に苦しむインドのコットン生産者がオーガニック栽培へ移行するため、負担のかかる3年間の移行期間中に栽培されたコットンにプレミアムを付けて購入するほか、オーガニック農法の指導やオーガニック認証の取得サポートを行うことで、農薬などによる環境被害・生産者の健康被害・農薬コスト増による農家の経済的負担などの悪循環を断ち切ることを目指す活動。
東北コットンプロジェクト
東北コットンプロジェクトは、東日本大震災被災地の農業生産組合・農業法人とアパレル関連企業等が共同で、東日本大震災からの復興を目指し「農業再生」「雇用創出」「新産業」を目的に被災農地にて綿(コットン)の生産を行うプロジェクト。2011年7月発足。被災地の農業生産者が綿を栽培し、アパレル関連企業が紡績・商品化・販売を行うことで復興を支援。原料である綿の栽培から綿製品の販売までの一連の工程をプロジェクト参加各社で展開。参加団体は2013年4月時点で70団体。

エシカルコットンサミット-キーワード集

         

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2013.05.24