コットンのやさしい気持ち

「何のために勉強するのか分からなかった」バギャラクシュミちゃん(インド)

Pocket

インドのコットン生産地で児童労働をなくし、子どもの教育を支援する「ピース・インド プロジェクト」で運営する職業訓練センターに通えるようになった女の子たちに出会いました。職業訓練センターに通うことで、教育の大切さに気づき、自分の力で教育を取り戻そうとしている1人の女の子のお話をご紹介します。

小学3年生で中途退学、その後8年間は畑仕事

小学3年生(当時8才)で中途退学してしまったバギャラクシュミちゃんは現在16歳。読み書きや計算はほとんどできませんでした。ですが、1年前に「ピース・インド プロジェクト」で運営している職業訓練センターに通いはじめ、基礎教育を受け、縫製技術を学び、2013年5月から家で仕立て屋をはじめました。現在は「もっと勉強して学校へ行きたい」と、政府プログラムによる夜間教室にも通っています。

バギャラクシュミちゃんは、学校をやめた理由をこう語っています。

「学校では何のために勉強するのか分からなかったし、興味がありませんでした。友達に一緒に学校をやめて働こうと言われてやめてしまいました。」

学校をやめてしまった当時の話をするバギャラクシュミ(右)とお母さん(左)

学校をやめた当時の話をするバギャラクシュミ(右)とお母さん(左)

お母さんは「当時は村の学校に通わせても先生がきちんと教えてくれないし、子どもたちはきちんと勉強できてなかったんです。だから娘がやめてもしょうがないと思いました。自分は子どもの頃学校へ行けなかったから、子どもには良い教育を受けさせたいと思っているんです。実際に下の12歳の娘と10歳の息子は、隣の村の私立学校に行かせています。家は貧しいから大変だけど、勉強し続けているし、授業料を安くしてもらっているので、なんとか通わせ続けたい。」と言います。

 

バギャラクシュミちゃんは、学校を中途退学してから約8年間、家の畑の手伝いや、他の農家のコットン畑などで働きました。

「暑い日差しの中、1日中働くのは大変だった。特にコットン畑では農薬をたくさん使うので具合が悪くなることがよくありました。他の子が学校に通うのを見て、やっぱり自分も学校へ通い続ければよかったと思います。」

しかし、義務教育年齢を過ぎてしまい、村の公立学校へ通うことはできませんでした。

ターニングポイントは職業訓練センター

仕立て屋で注文を受けて作った服を見せてくれたバギャラクシュミちゃん(インド)

仕立て屋で注文を受けて作った服を見せてくれました

そんな時、ピース・インド プロジェクトによって始まった職業訓練センターのことを知って見に行き、「自分も通える!」ということが分かりました。「自分も通いたい」と親やプロジェクトのスタッフと相談して、2012年から職業訓練センターに通えるようになりました。

今は、訓練コースを修了して、支給されたミシンを使って家で仕立て屋をしています。家族や自分の服を自分で作れるようになり、近隣から注文を受けて、毎月約1300ルピー(約2500円)ほどの収入を得られるようになりました。読み書き計算もでき、月毎の収入支出も分かるよう帳簿をつけています。

「もし職業訓練センターに通う機会がなかったら、今も働いていたと思います。これで私の人生は大きく変わったと思います。」

新たな目標は高校入学

今後の目標について聞くと、少し恥ずかしそうに答えてくれました。

「仕立て屋は、これからも結婚した後もずっと続けたい。今はもっと勉強もしたくて、できるなら高校に行きたいので入学試験を受けたいんです。」

読み書きができるようになったと帳簿を見せてくれました

読み書きができるようになったと帳簿を見せてくれました

新たな目標ができたバギャラクシュミちゃんは、日中は仕立て屋をし、夜は村の夜間教室へ通っています。夜間教室では、読み書きだけではなく、実生活に役立つライフスキルや計算、社会的な課題や政府政策などについて学ぶことができます。勉強を教えてくれる友達もでき、その子の家へよく行って勉強しているそうです。

お母さんは「今は勉強して技術も学んでくれてうれしい。学校へ行きたいなら、方法を見つけて行かせてあげたい。」と言います。

子どもたちの想いをかなえるためにできることを

高校へ入るにはさらにたくさん勉強する必要がありますが、先生やプロジェクトのスタッフも、彼女の「今できる限り勉強したい」という強い想いと努力する姿を応援せずにはいられません。「一緒に方法を考えましょう」とこれから必要な勉強や受験手続きなどをサポートすることになりました。

インドのコットン生産地で働いていた子どもたちは、勉強する楽しさや意義を知って、新たな可能性を探しはじめています。ひとりでも多くの子どもたちが夢を実現できるように、これからもがんばってまいります。

報告:国際協力事業インド担当 成田 由香子

追記:刺繍を依頼したトートバッグが日本へ

自分で刺繍したトートバックを見せてくれたバギャラクシュミちゃん2014年、バギャラクシュミちゃんやACEが支援したインドのコットン生産地域の女の子たちに、オーガニックコットンのトートバックへの刺繍を仕事として依頼しました。

女の子たちが刺繍してくれたトートバッグは日本に運ばれ、2014年5月10日に開催した「エシカルファッションカレッジ」でお披露目されました。

【詳細】興和:インドの女の子が刺繍したトートバッグを製作

世界中にいる「そのこ」のことをまずは知ってほしい

日本を代表する詩人 谷川俊太郎さんの詩「そのこ」を10万人に伝えるため、「そのこ」の未来キャンペーンをはじめました。

「そのこ」のメッセージを伝えてくれる「アンバサダー」を募集しています。ぜひあなたの身近な人へ「そのこ」を伝えてください!(アンバサダーの詳細・お申込みは「そのこ」の未来キャンペーン特設ページから)

  • Pocket

  • カテゴリー:子どものエピソード
  • 投稿日:2013.07.11

ページの先頭へ戻る