インド「子どもにやさしい村」プロジェクト(2003~2013年) | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

活動内容

インド「子どもにやさしい村」プロジェクト(2003~2013年)

村での児童労働反対を呼びかけるマーチの様子

インドは世界で最も児童労働が多く、働く子どもの約8割が農業分野に従事していると言われています。特に農村部では、農作業や牧畜業、家事労働、家内労働としてのサッカーボール縫いやカーペット織りなどさまざまな産業で働く子どもたちが多くいます。

ACEは、インドの農村地域で子どもたちを労働から守り、すべての子どもが学校で質の良い教育を受けられるよう支援する「子どもにやさしい村」プロジェクトを2003年6月から行っています。

「子どもにやさしい村」プロジェクトへの支援は、2013年4月をもって終了いたしました。これまでに12の村で、約5,600人の子どもたちを支援してきました。今後も現地スタッフと共に、支援した村のフォローアップを行っていまいります。

インド「子どもにやさしい村」プロジェクトとは

インドの農村地域で、子どもを労働から解放し、村のすべての子どもが質の良い教育を継続的に受けられるようにすることを目的としたプロジェクトです。就学の徹底を呼びかけると共に、子どもの意見を村の自治に反映させることで、子ども参加による「子どもにやさしい村」づくりのための持続可能なしくみを作ります。

プロジェクト名 英語名:Project for Child Friendly Village (Bal Mitra Gram)
日本語訳:「子どもにやさしい村」プロジェクト
実施期間

【ウッタル・プラデシュ州】
2003年6月~2004年5月 4村
2005年6月~2006年5月 1村

【ラジャスタン州】
2006年11月~2007年12月 2村
2007年12月~2009年6月 2村
2010年4月~2013年3月 2村

パートナー団体 BBA(Bachpan Bachao Andolan)

プロジェクト実施地域について

インドはどんな国?

南アジアに位置し、国土はおおよそ日本の9倍で、人口は中国に次ぐ世界第2位の約12億人、また多様な民族、宗教、言語によって構成されています。経済成長が著しい新興国(BRICs)の一つである一方、1日2ドル未満で暮らす貧困人口は8億人を超えており、貧富の格差の大きな国としても知られています。

国土 3,287万k㎡(日本の約9倍) インド・ラジャスターン州の地図
人口 12億1,000万人(国勢調査:2011年)
首都:ニューデリー
気候 雨季(6月~9月)、乾季(10月~3月)、夏(3月~5月)
民族と言語 インド・アーリヤ族、ドラビダ族、モンゴロイド族など。連邦公用語はヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が21
宗教 ヒンドゥー教徒80.5%、イスラム教徒13.4%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.9%、 仏教徒0.8%、ジャイナ教徒0.4%
主な
産業
農業、工業、鉱業、IT産業
識字率 63%(UNICEF:2005-10年)
初等教育就学率 97%(UNICEF:2007-09年)
出世時平均余命 65歳(UNICEF:2010年)
児童労働者の数 1260万人(国勢調査:2001年)
約8割が農業、その他製造業、サービス業、家事労働などの分野に従事)
法律 インド国憲法(1950)、児童労働禁止及び規制法(1986)、債務労働制廃止法(1976)、無償義務教育権利法(2009)

プロジェクト実施地域とその課題

インド北部のウッタル・プラデシュ州メーラト県、ラジャスタン州アルワール県・ジャイプル県の農村部で活動を行ってきました。どちらの地域へもインドの首都から車で約4~5時間。ウッタル・プラデシュ州ではサッカーボール縫い、ラジャスタン州では、カーペット縫い、農作業、放牧などをして働く子どもが多い地域です。

現地パートナー団体BBAが2002年から各地で実施している「子どもにやさしい村」プロジェクトに対し、ACEは2003年から協働実施を行って、これまでに12の村で活動してきました。

現在支援しているラジャスタン州ジャイプル県の3つの村には、それぞれ人口約950人、住民のほとんどが農家で、低カースト層など社会的経済的に立場の弱い人々が多く暮らしています。村は過疎地にあり、行政サービスが十分行き届いていないため、電気や水、道路などのインフラが整っていません。基礎教育の就学年齢(6~14歳)の子どもはそれぞれの村で約100~200人です。プロジェクト開始前の調査は、農業、家事、牧畜などの仕事をするため、学校に継続的に通えない子どもが83人いました。また女性の地位が低く、児童婚(就学年齢の子どもの早婚)の習慣があるため、女の子の中途退学者が多くいました。また村の小中学校は、教員や教室が不足しており、校庭やトイレがない、など学習環境が整っていませんでした。この状況を改善し、子どもたちが継続的に質の良い教育を受けられるよう活動を行っています。

村ではどんな活動をするの?

子どもの就学を徹底するため、親や住民への啓発活動を行い、「子ども村議会」を設立して、子どもの参加による村づくりを進めます。また教育環境の改善や、住民の生活向上を図るため、住民の組織化や訓練、行政への働きかけなどを通して村の自立に取り組んでいます。

子どもの就学を徹底する働きかけ

学校で勉強するインドの子どもたち家庭訪問をして親を説得したり、教育の重要性や児童労働の問題などについて住民の意識を高める会合やキャンペーンを行います。

子どもたちが村の問題について話し合う「子ども村議会」づくり

子ども村議会選挙の様子子どもの代表者を選ぶ選挙を実施して「子ども村議会」を設立し、子どもがおとなの村議会(村の自治組織)と共に、子どもの就学、学校や村の問題などについて定期的に話し合い、村全体の問題として取り組まれるようにします。

教育環境の改善

インド「子どもにやさしい村」プロジェクト子ども村議会による村議会への提案や、学校運営委員会による行政への働きかけを通して、子どもが継続的に就学できるよう学校の施設や教育の質の改善に取りくみます。

住民グループの組織化と能力強化

村で組織された女性グループのメンバーたち青年グループや女性グループなど住民を組織し、村のインフラ整備や雇用・社会保障制度などに関する行政制度について訓練し、生活向上のためのノウハウを指導します。

行政との連携強化

学校環境の改善や貧困家庭の収入向上などを図るため、教育、雇用や社会保障などの行政サービスを受けられるよう、住民や活動家が行政へ働きかけます。

住民への引き渡しと指導

プロジェクト終了後も、住民が自発的に活動していけるよう必要に応じて指導するフォローアップを行います。

 

「子どもにやさしい村」プロジェクト担当スタッフ

ACE国際協力事業(インド)担当 成田由香子

成田 由香子 国際協力事業(インド)担当

子どもの権利や教育の重要性について、村全体に認識されるようになり、子ども村議会や住民グループの活動が定着して、子どもとおとなが一緒に話し合い、子どもの就学の徹底や村の改善に取り組むようになりました。住民たちによる「子どもにやさしい村」づくりは着実に進んでいます。

インドのパートナーNGO「BBA」

1980年から、子どもたちが児童労働の搾取から解放され、質のよい教育を受けられる社会づくりを目指してい活動しているBBAと協力して、「子どもにやさしい村」プロジェクトを行っています。

詳しくはこちら

 

「子どもにやさしい村」プロジェクトの支援実績・報告

支援期間 支援地 子どもの人数 児童労働から
救出した人数
就学人数
2003年6月~
2004年5月
ウッタル・プラデシュ州
 a村、b村、c村、d村
  75人  
2005年6月~
2006年5月
ウッタル・プラデシュ州
 e村
3,050人 83人 3,050人
2006年11月~
2007年12月
ラジャスタン州
 f村、g村
950人 101人 950人
2007年12月~
2009年6月
ラジャスタン州
 h村、i村
1,087人 94人 1,087人
2010年4月~
2012年3月
ラジャスタン州
 j村、k村、l村
489人 260人 489人
合計 12村 5,576人 736人 5,576人

 

「子どもにやさしい村」プロジェクト報告

 

 

 

ACEインド・スタディツアー「インドの子どもに会って考える旅」

ACE「子どもに会って考える旅」2012

インド・スタディツアー「インドの子どもに会って考える旅」

ACEは「子どもにやさしい村」プロジェクトの支援地域の子どもやおとなたちと交流し、子どものリハビリ施設での生活体験を通じて、児童労働をしていた子どもたちの生活の変化を理解するスタディツアーを実施してきました。※プロジェクトへの支援終了にともない、2013年度はインド・スタディツアーを行いません。

詳しくはこちら

1,000円で子ども1人の給食1カ月分を支援できます

ACEはこれまでに多く子どもたちを学校へ通えるように、子どもたちが働かなくても暮らしていけるように支援活動を行ってきました。さらに多くの子どもたちを危険で有害な児童労働から守るため、「チャイルドフレンドリー募金」へのご協力をどうぞよろしくお願いいたします!

インドの子どもたち

世界の子どもたちを支援「チャイルドフレンドリー募金」

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