2014年3月24日
かわさきコンパクト・フォーラム(3/20)で末吉さんの話を聞きました
3月20日(木)、かわさきコンパクト・フォーラムに参加してきました。
国連グローバルコンパクトに自治体として署名している川崎市は、独自にかわさきコンパクトなるものを作っています。
http://www.kawasaki-compact.com/
これは川崎市国際環境施策参与であり、国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問である末吉竹二郎さんも深く関わっており、今回のフォーラムでも基調講演をされていました。
末吉さんとは、いろいろなところでご一緒するのですが、今回じっくり講演を聞かせていただき、その後パネルディスカッションでもご一緒する中で、勝手にすごく通ずるものを感じたので、ブログに書き残しておきます。
さて、国際協力分野には詳しくとも、環境となるとちと疎い私にとって、末吉さんのお話は、よくわからなかった部分がクリアになった感じです。
例えば
- 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、研究者が最新の研究を発表する場ではなく、「研究成果を集めて全体感を提供する機能」であり、2013年9月27日の第5次評価報告書では<人間が温暖化を引き起こした可能性>について、「極めて高い:extremlylikely」(95%~100%)とし、人間と温暖化との因果関係をほぼ確実に認め、警告を発していること。
- 環境問題においては「限定性」と「不可逆性」があり、100年後ー150年後には手の打ちようがないような状況になってしまうため、今日排出したCo2将来が決めてしまっている(変えようと思っても既に変えらえない状態になっている)こと。
- 2015年のCOP21がフランス・パリで開かれ、2020年-2030年の枠組みを決定すること。
などなど。
そして話しは「始まった解決への動き」として、MSC認証(持続可能な漁業認証)の紹介がありました。日本ではまだあまりなじみのないこのマーク、欧州は2012年から、米国でも2013年からマクドナルドのフィレオフィッシュはぜんぶ認証つきだと知って、愕然!日本は海洋資源をかなり消費しているのに、このあたりはまだ無頓着なんですよね。。。
そして、話は国際統合報告書へ。
実はこのあたりが、最も私の関心分野。
これまで企業は財務の情報開示をしてきましたが、今後はそれ以外の持続可能性に関わる指標も情報開示をすべきだ、という流れがいま世界的にある中で、国際労号報告書評議会(IIRC)が昨年12月9日に最終ドラフトが認証されたそうで、6つの資本についての企業の情報開示の標準化と統合を目指しているそうです。
6つの資本とは:
財務、生産設備、知財、人材、自然、社会 (知財以降が新しい分野)
続いて、SASB(サスビーと読むそうです)の紹介。これはアメリカ中心で、NGO組織としてSustainable Accounting Sutandards Board(持続可能な会計基準審議会)が、持続可能性の重要事項(materiality)を開示するための基準作りをしているとか。
そして日本でも、やっとそのような動きが出てきました、ということで紹介をいただいたのが、
「責任ある機関投資家」の諸原則
≪日本版スチュワードシップ・コード≫
~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~
http://www.fsa.go.jp/news/25/singi/20140227-2.html
中長期的な視点で投資をすることで、短期的な利益ばかりを追求する投資家の在り方や、ビジネスの在り方を変えよう、という試みかと。
元銀行マンとして、お金に携わってきた末吉さん(そういえば半沢直樹フィーバーの際、バラエティ番組にそんな肩書で出演されていました!)からご紹介いただくと、お金の流れが変わることが本当に起きたらステキ!と少し希望がわきます。
末吉さんがパネルディスカッションの際にシーメンスの創設者?の方の言葉として紹介してくれたのがこの言葉。
”今日の利益のために、未来を売ることはしない”
”I will not sale my future for a short profit”
自分さえよければ、自分の組織さえ良ければ、今年さえよければ、という狭く短期的な視野ではなく、グローバルで長期的な視野がいま必要とされている自分が出来ることをきちんと考え、実践すること。
言い古されているけれども、
Think Globally Act Locally
で、このActを如何に自分の組織の本来事業に埋め込めるか。
それが今後のカギだと思いました。
末吉さん、インスパイヤリングなお話、ありがとうございました!