【インド便り】女の子でも、教育を諦めなくてもいい環境をつくるために | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

コットンのやさしい気持ち

【インド便り】女の子でも、教育を諦めなくてもいい環境をつくるために

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こんにちは、子ども支援事業インド担当の田柳です。

日本はつい背中が丸くなってしまうような寒さの12月ですが、ACEが活動を行うインド・テランガナ州はこの時期でも日中は30度に達します。それでも1年間で最も涼しく、人々はその気温の中でも「今は冬だ」と話します。

コットンの収穫も多くの農家が終え、村では工場に運ばれる前の収穫されたコットンがこんもりと山のようになっている様子を見ることができます。

そんな地域で、ACEと現地NGOのSPEEDは子どもたちが児童労働から抜け出し学校へ就学することを目指して「ピース・インド プロジェクト」を行っています。

収穫されたコットンと、コットンを収穫する様子

収穫されたコットンと、コットンを収穫する様子

村の中心地から少し離れた集落に住むシャンティさん(仮名/11歳)は、5、6歳の時からコットンやピーナッツを栽培するお父さんの畑で働き始めました。この年齢は小学校に入学する年齢にあたりますが、当時シャンティさんは両親や祖父母に学校の話をされたことはなく、何も考えずに家族の言うことに従って働いていました。 家族と一緒に畑に行って働く毎日だったため、家で弟と遊ぶことはありましたが友達はいませんでした。

シャンティさんのお母さんは以前、3人目の子どもを妊娠している時に体調を崩しました。子どもは亡くなり、今も身体が痛んで思うように働くことができません。夫や周りの人に、しっかり働くことができないことを非難されることがあると、私に泣きながら話してくれたことがあります。そんなお母さんを支えるためにも、シャンティさんは働いていました。

ところが、弟のジトゥーさん (仮名/8歳) が就学年齢になったとき、両親は彼を私立の学校に通わせるようになりました。弟が学校に通うのを見て、シャンティさんは自分も学校に行きたいと思うようになったそうです。でも、シャンティさんはそのことを両親には言いませんでした。

プロジェクトが始まり、スタッフが家を訪れるようになりました。スタッフの後押しもあり、シャンティさんは自分も学校に行きたいと両親に話すようになりました。スタッフとの話し合いを重ね、両親の同意を得て、シャンティさんは昨年ブリッジスクールに通うようになりました。 ブリッジスクールで会うシャンティさんは、いつも明るい笑顔で学校での生活を楽しんでいました。

昨年のインド独立記念日を祝う行進で、ブリッジスクールの代表となり、おめかししたスワティさん

昨年のインド独立記念日を祝う行進で、ブリッジスクールの代表となり、おめかししたシャンティさん

ブリッジスクールでの授業の様子

ブリッジスクールでの授業の様子

 

一方で、実は弟のジトゥーさんの私立学校の学費を両親は継続して支払うことができず、ジトゥーさんは中途退学をすることになってしまいました。インドでは14歳までの義務教育の公立学校は原則無償ですが、公立学校の教育環境の不備(教室や教員不足、教員の能力や態度の問題など)に不満を持つことと、英語教育への関心から、必ずしも私立学校の教育の質の方が良いとは限らないのですが、私立学校へ子どもを通わせたいと考える保護者が多くいます。 私立の学校では購入するものが多くある他、授業料の額が学年を重ねるごとに上がるため、払い続けることができずに中途退学をして働き始めてしまう子どもがいること、兄弟の授業料のために児童労働をしている子ども(特に女の子)がいることも問題になっています。 そのためプロジェクトでは、女子への教育の啓発と、村の公立学校環境と学校・住民の関係改善も行っています。

シャンティさんは1年間ブリッジスクールで学び、今年の6月から村の中心地の学校で7年生として学んでいます。

「同じクラスの人たちは、みんな私の友達なの!」

と学校での生活を楽しんでいる様子を話してくれました。

ジトゥーさんも公立学校への編入が完了するまでの間ブリッジスクールに通っています。 両親も今は、「生活は楽ではありませんが、子どもが学校に通い続けられるように頑張ります」と話しています。

(左から)スワティさんの祖母、両親、シドゥさん、スワティさん

(左から)シャンティさんの祖母、両親、ジトゥーさん、シャンティさん

この村での活動も2018年4月から最終年度に入ろうとしています。2019年の支援終了後も住民の力だけで児童労働を防ぐ活動を行えるよう、プロジェクトの支援に頼らず子どもを就学させるためのトレーニングなどに特に重点をおき活動を行う予定です。

活動は、みなさんからの「コットン募金」に支えられています。インド・コットン生産地の子どもたちが児童労働から抜け出し、教育を受けられるよう、「コットン募金」へのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

子ども支援事業 インド担当  田柳優子

 

インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

コットン募金

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  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2017.12.22