【インド便り】「勉強できることが嬉しい!」少しずつ戻ってきた子どもたちの日常生活
みなさん、こんにちは!インド・プロジェクトマネージャーの森です。いつもACEの活動への温かいご支援をいただき、ありがとうございます。
ACEは、インド・テランガナ州のコットン生産がさかんな農村地域で、現地パートナー団体SPEEDとともに、児童労働から子どもを守り教育を支援する「ピース・インド プロジェクト」を行っています。
インドは、新型コロナウイルス感染症の収束傾向から一転、2022年の初めから新たな感染拡大の波に襲われています。1月末のインド全体の新規感染者数は30万人を超え、1日の平均人数のピーク時(2021年5月)に迫る勢いでした。
そのような状況下、ACEスタッフはインドへ渡航できない状況が続いていますが、幸いなことにプロジェクト活動地3村での感染者は確認されておらず、SPEEDと連携しながらプロジェクトの活動を継続しています。
今回のインド便りは、1月26日のインド共和国記念日の様子と活動地における近況を、現地から届いた子どもたちの声とあわせてお届けしたいと思います!
「初めて友達と一緒にお祝いした」インド共和国記念日
1月26日は、インド共和国記念日でした。インド政府が主催する大規模な祝賀行事が開催される非常に重要な記念日で、国内各地で祝賀行事が行われました。ピース・インド プロジェクトで運営するブリッジスクール(公立学校への就学を支援するための補習学校)でも、子どもたちと教員、SPEEDスタッフが一堂に会し、国旗を掲げ、お祝いの昼食をとり、大切な日を一緒に祝いました。
子どもたちが労働に従事していた頃は、このような盛大な行事を友達とお祝いすることはなかったそうです。
行事に参加する子どもたちの嬉しそうな様子から、自国の文化を学び、友達や先生と共に体感することによって、子どもたちの情緒が育まれていくことを実感します。
勉強だけではない、ブリッジスクールでのさまざまな活動
ブリッジスクールでは、基礎教育である読み書きや言語、数学の授業に加えて、子どもたちの創造性を養うことを目的に、週に1回クレヨンで絵を描く時間も設けています。子どもたちはこの時間が大好きで、授業が終わっても友達同士でお絵描きを続けたり、先生に自分の描いた絵を見せて説明をしたりするそうです。
また、身体的・精神的な発育の促進や協調性を学ぶために、チェスなどのゲームやスポーツも積極的に取り入れています。放課後には、子どもたちがゲームに興じたり、校庭で元気よく走り回る姿が見られます。
みんなで問題を話し合う「子どもクラブ」の大切な活動
ピース・インド プロジェクトでは、活動地の村に住む子どもたちによる「子どもクラブ」を結成し、子どもたち自身が直面する問題点や課題、他の子どもたちが抱える問題への解決策などを自分たちで考えるミーティングを月に1回開催しています。子どもクラブには、学校に通っている子ども、通っていない子ども、学校からドロップアウトしてしまった子どもあわせて約90人が参加し、それぞれの立場から自分の想いや意見を伝え、お互いに学校に行けるように話し合います。1月の活動では、外部講師による講習やグループワークを通して、学校に通うことや子どもたちが助け合いながら生活することの重要性、規則を守ることについて学びました。
特に、長期にわたる休校期間中に学校をドロップアウトしてしまった子どもは、子どもクラブが再開したことによってその問題点を話し合うことができ、再び学校に通う意欲をもったようです。おとなによる個別対応だけでなく、子どもたち同士の交流による心理的サポートも可能となり、自信をもって意見を言ったり、自分の意志を持つ子どもが増えたことは、プロジェクトにおける大きな前進です。
「学校運営委員会」も再開しました!
プロジェクトでは、学校の教員や村のリーダー、親や子どもたちによる「学校運営委員会(SMC)」を設け、定期的に会議を開き、教育や子どもに関わる課題を話し合っています。また、行政機関と連携して、学校の施設や教育の質の改善に取り組んでいます。
このSMCは、コロナウイルスの影響によって長期間にわたり運営を中止していましたが、11月からやっと再開することができ、現在は、定期的なミーティングを重ねています。
学校は再開したものの、それまでも不十分であった教育施設やインフラの改善、子どもたちの教育環境の向上のための取り組みは、これまで以上に大きな課題です。SMCメンバーは、住民ボランティアによる「子ども権利保護フォーラム(CRPF)」と協働して、教育インフラおよび教育の質の改善のために行政への申し入れを行っています。
現在のところ、行政からは「コロナウイルスの影響で支援が必要な分野が多岐にわたっている。少しの間待ってほしい」との回答を受けていますが、今後も要請を続け、協働して教育環境の改善に向けて取り組んでいきます。
「勉強できることが嬉しい!」現地から届く子どもたちの声
最後に、1月末に現地から届いた子どもたちの最新の声を皆さんにもお届けします。
ブリッジスクールの子どもたちの声
「健康的で整備された環境の中で、遊んだり歌ったりしながら勉強できることが嬉しい!」
「先生たちは、楽しみながら基礎的なことを教えてくれる」
「制服、教材、バッグ、給食を支給してもらえるから、ブリッジスクールに通うことができる!」
職業訓練センターの女の子たちの声
「働いていた時はとても悲しかったけれど、家族のために働かなければいけなかったから、夢だった高等教育はあきらめていた」
「基礎教育と縫製の訓練を受けて、経済的に自立して家族を助けるという夢を叶えることができる!」
新型コロナウイルスによる感染拡大の影響を大きく受けたインドですが、プロジェクト活動地では、それぞれの役割を全うしながら子どもたちの未来のために協働してくれる人々が多くいます。
SPEEDは、活動地の村を毎週訪れて子どもたちや村の様子をモニタリングし、子どもたちの声を私たちに届けてくれています。
ピース・インド プロジェクトでは、これからも子どもたちの明るい声をお届けできるよう、現地の人の声に寄り添いながら、SPEEDと共に活動を進めていきます。
引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします。
2022年2月 インド・プロジェクトマネージャー 森 瑞貴
インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2022.02.24