【沖縄便り】子どもの声を守る救済機関実現へー名古屋の実践から学ぶ

【沖縄便り】子どもの声を守る救済機関実現へー名古屋の実践から学ぶ

こんにちは、ACEの田柳です。
ACEは沖縄県で子どもの権利実現とウェルビーイング向上を目指した「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」を行っています。

2026年2月19日に那覇市のなは市民活動支援センターで実施した「子どもオンブズってどんなところ?~名古屋市から学ぶ、子どもの権利の救済機関について~」(共催:認定NPO法人ACE、一般社団法人Supporters’ Supporter、協力:こどもの権利ネットワークおきなわ)の様子をお伝えします。

「子どもに」ではなく「子どもと」

2023年にこども基本法が施行されてから、全国各地の自治体で子どもの権利条例策定や子どもの声を聴く取り組みが活発になり、子どもの権利救済機関(子どもオンブズパーソン制度、権利擁護委員等)の設置も増えています(2026年1月現在、全国で60自治体)。沖縄県でも子どもの権利侵害に関する救済を行う「沖縄県こども権利擁護委員会(仮)」の設立に向けた検討が本格化しています。

子どもの権利を守ることは、これからの社会のかたちをつくっていく取り組みです。「子どもに」ではなく「子どもと」共につくっていく視点が欠かせません。

私たちも子どもの権利の普及活動に取り組んでいますが、権利があると知った子どもが声を上げたとき、その受け止め方を知らないおとなの態度や発言によって、子どもをがっかりさせてしまったり、悲しい思いをさせてしまうことがあるのが現状です。

だからこそ、身近なおとなに声を受け止めてもらえなかった子どもたちにとって、確実に権利を守ることができる救済機関の存在が重要です。子どもにとって本当に「味方」となる仕組みを、沖縄県で実現していくことが求められています。

沖縄県でも今まさに議論が進む中、子どもの権利救済機関の取り組みが進んでいる名古屋市の実践から学ぶため、日弁連子どもの権利委員会副委員長や名古屋市子どもの権利擁護委員を務める間宮静香弁護士を講師としてお招きし、実施しました。

写真右:間宮静香弁護士

 

子どもオンブズとは

最初に間宮さんから、子どもオンブズ(子どもオンブズパーソン制度、救済機関)について紹介されました。子どもオンブズには、主に4つの柱となる機能が求められます。

  • モニタリング(監視): 独立した立場で子どもの権利状況をチェックする。
  • 制度改善の提案・勧告(制度改善):子どもの 代弁者として行政に仕組みの改善を求める。
  • 個別救済: 届いた声・相談に対して、具体的な解決や権利回復を行う。
  • 意識啓発: 子どもの権利についての社会的な理解を広める。

特に強調されたのは「独立性」の重要性です。行政の影響を受ける構造では子どもは安心して相談できず、実効性ある救済が成り立たないためです。しかし現状では、他の相談窓口との違いが意識されていない自治体も少なくないそうです。

また、社会全体の改善につなげる「制度改善(発意)」の重要性も共有されました。これは、個別の相談を基にして行政に制度の改善を求めることができる仕組みであると同時に、申し立てがなくとも救済機関が必要と判断すれば行政に勧告ができるというものです。

名古屋市の救済機関「なごもっか」が過去に対応した体育館の安全対策や、ディスレクシア(文字の読み書きに困難)のある生徒の受験配慮の事例では、子どもの声を起点に制度の見直しが進みました。このことは、他の子どもの権利侵害の予防にもつながります。

沖縄県で子どもの権利を保障する救済機関を実現するために

間宮さんとACE代表岩附のトークでは、沖縄県が検討している制度を骨子案から読み解きました。沖縄県の条例案は知事が関与する仕組みになっているため、独立性への懸念が指摘されました。

条文を「ですます調」にすることで条例を1番伝えたい子どもにわかりやすいものにすることや、表記を『こども』ではなく『子ども』として18歳未満を基本とすることで選挙権を持たない子どもたちの権利をしっかり守ることを重視しつつ、若者も排除しない柔軟なあり方が必要などの議論がありました。(※『こども』はこども基本法上、年齢で一律に区切らず、心身の発達の過程にある者=若者を含む広い対象を指す概念)

後半のグループディスカッションでは、相談窓口設置に関して沖縄ならではのアクセスの問題や小学生や障がいを持つ子どもへの対応方法、海外ルーツの子どもへの対応方法など具体的なアイディアが議論されました。

子どもにとって「本当の味方」になる仕組みを、沖縄県で

沖縄県で救済機関の設置が検討されている背景には、県立高校の生徒が自死に至った深刻な事案があります。

再発防止のために設置された第三者再調査委員会は、約3年にわたり調査を行い、子どもの声が十分に受け止められなかったことや、権利を守る仕組みの不足を指摘しました。そのうえで、「子どもの権利条例」の制定や、子どもの相談・救済機関(子どもオンブズ等)の設置が提言されています。

こうした提言を受け、沖縄県でも議論が進んでいます。子どもが安心して声を上げられ、その声が確実に届く仕組みをつくるために、一人ひとりの関心と参加が欠かせません。

子どもにとって本当に「味方」となる救済機関を沖縄で実現するために、ACEも引き続き活動を続けていきます。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2026.03.24