幸せへのチョコレート

カカオ生産地での支援活動「スマイル・ガーナ プロジェクト」

日本は年間約27万トンのチョコレートを消費する、世界第3位のチョコレート消費国です(2019年、チョコレート・ココア協会)。日本に輸入されるカカオ豆の約7~8割が生産されるガーナとは、とても深い関わりがあります。

ガーナのカカオ生産地で、今危険な労働にさらされている子どもたちを守り、教育を支援する「スマイル・ガーナ プロジェクト」を2009年2月から行っています。2009年2月からガーナのアシャンティ州とアハフォ州の10村で活動を行い、2023年8月までに、622人の子どもたちを児童労働から守り、学校へ通えるよう支援してきました。

ガーナのカカオ生産地域での支援活動「スマイル・ガーナ プロジェクト」とは

ガーナのカカオ生産地域の子どもたち

カカオ生産地での危険な児童労働から子どもを保護し、就学を徹底することを目的としたプロジェクトです。子どもがしっかりと学校に通うようになることで児童労働を予防し、カカオ農家が継続して子どもの教育に投資ができるよう、カカオ農園の経営を改善し、農家の収入向上を目指しています。

プロジェクト名

英語名:SMILE-Ghana Project (Sustainable Management of cocoa farm and Improved Life via Education for the elimination of child labour)

日本語訳:持続可能なカカオ農園経営と教育を通じた児童労働撤廃プロジェクト

実施期間と活動地域 2009年2月~2018年1月 アシャンティ州アチュマンプニュア郡の8つの村と54の周辺集落
2018年2月~2022年8月 アハフォ州アスナフォ・サウス郡の2つの村
2022年9月~現在(2023年8月) アハフォ州アスナフォ・サウス郡の新たな2つの村と24の周辺集落
パートナー団体 CRADA(Child Research for Action and Development Agency)

プロジェクト実施地域について

ガーナはどんな国?

アフリカ大陸の西部に位置し、国土は日本の約3分の1、サブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)で、第二次大戦後初めて植民地支配から独立した国です。野口英世が黄熱病の研究途中に息を引き取った地としても知られています。

国土 238,537 km² (日本の約2/3) ガーナの地図
人口 約3,283万人(2021年:世界銀行)
首都:アクラ
気候 雨季(5月~7月、9月~11月)
乾季(12月~4月)
民族と
言語
42部族(アカン族が約半数を占める)
公用語は英語、次にチュイ語など
宗教 国民の約70%がキリスト教(特に南部)
約17%がイスラム教(特に北部)
主な
産業
農業(カカオ)、鉱業(貴金属、非鉄金属)
15歳以上の識字率 80%(2020年:世界銀行)
初等教育修了率 男の子69%、女の子73%(2010~2019年:UNICEF 世界子供白書2021)
出世時平均余命 64歳(2020年:UNICEF 世界子供白書2021)
児童労働者の数、割合 189万人、21.8%(2012~2013年:ガーナ統計局 第6次ガーナ家計調査、児童労働報告書)
児童労働に関する法律 ガーナ国憲法(1992)、子ども法(1998)、 人身売買法(2005)

プロジェクト実施地域とその課題

2009年(プロジェクト開始時)~2018年:アシャンティ州アチュマンプニュア郡

ガーナで2番目にカカオの収穫量が多いアシャンティ州の、アチュマンプニュア郡の奥地で活動していました。ガーナ第2の都市クマシから車で約3時間。アシャンティ州とウェスタン州の州境で交通の便が非常に悪く、州や郡の行政サービスが届きにくい地域です。住民のほとんどはカカオ栽培で生計を立てています。

最初に活動をはじめたA村は、ACEが調査で訪れた2008月2月、村に井戸が1つしかなく、水も枯れていました。学校に行かずにカカオの農作業を行う子どもたちや学用品を買うお金などの教育費を出せず、教育を受けられない子どもがたくさんいました。ガーナ北部地域の親元から引き離されて労働者としてカカオ農園で働かされていた子どもも多数見つかりました(人身取引にあたります)。

2011年6月からは、A村に隣接する3つの村にも活動を拡大。2014年9月にはさらに4つの村に活動を拡大し、村の住民や自治体関係者と連携しながら活動を行ってきました。

2018年~2022年8月:アハフォ州アスナフォ・サウス郡

2018年2月、これまで実施してきた8つの村に隣接している2つの村で活動を開始しました。同じくカカオが主な産業となっている地域です。当初は2020年8月まで活動する予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で学校が閉鎖したり住民の生計が苦しくなったりしたため、2年間活動を延長しました。

当初、村の子どもの約40%にあたる約120人が児童労働に従事していると推定されました。2村には中学校はなく、片方の村は小学校4年生までしかクラスがありませんでした。村の住民や自治体と連携して活動した結果、141人の子どもが児童労働をやめて学校に戻り、自治体によって小学校の不足していた教室も建設されました。

活動期間の終了に伴い、評価報告書を作成しました。
スマイル・ガーナ プロジェクト(フェーズ5)の評価報告書を作成しました

2022年9月~現在(2023年8月):アハフォ州アスナフォ・サウス郡

2022年8月まで活動してきた村に隣接している同じ郡の2つの村で活動を実地中です。

村の小学校や中学校の出席率は57%~66%の間で、保護者の農作業を手伝うために、あるいは弟や妹の面倒を見るために学校を休む子どもが散見されます。どの学校でも先生が足りず、片方の学校では各学年に教室がないため、一部の学年同士で教室を共有しています。

 

村ではどんな活動をするの?

学校環境や教育の質が改善され、カカオ農家が経済的に自立することで、子どもが学校に通うことがあたりまえになるよう、村の住民、特に子どもを抱える家庭や村のリーダー、地域の行政関係者と連携して取り組んでいます。

1. 住民による見回り活動と家庭訪問

村で「子ども保護委員会(CCPC)」を立ち上げ、子どもが学校に通っているか、児童労働や人身売買がないかを定期的にチェックしています。児童労働をしている子どもたちを見つけたら、家庭訪問をし、親と話し合って、子どもが学校に行けるよう対策を考えます。

2. 子ども、親、住民に対する啓発活動

子どもにさせてはいけない危険な作業の区別の仕方や教育の重要性、子どもの権利について住民が理解するよう呼びかけています。

3. 学校運営委員会やPTAによる学校改善活動

住民や村のリーダーが定期的にミーティングを行い、子どもの就学状況や学校での課題について確認し、改善方法について話し合います。

4. 子ども権利クラブの活動

子ども権利クラブ(英語ではChild Dignity Club:CDC)を学校内に設置し、すべての子どもたちが学年ごとに学んだり話し合いをする時間を設けています。子どもたち自身が学校や家庭で直面する問題や解決策について話し合い、話し合った内容や提案は、校長先生を通じて、村のリーダーに伝達され、村全体で子どもたちの問題に取り組むようにしています。その他、学校のカリキュラムでは学ばない、子どもの権利やエイズの予防についても学んでいます。

5. 農民の収入向上トレーニング

カカオ農家が収入を上げ、子どもの教育に継続して投資ができるよう、農園経営の方法やカカオの有機栽培技術などについて研修を行っています。

 

スマイル・ガーナ プロジェクト担当スタッフ

ACE国際協力事業(ガーナ)担当 赤堀 友希

赤堀 友希 子ども・若者支援事業ガーナ担当

2021年から担当しています。コロナ禍で9か月間休校した学校が再開する際は、村の住民が自主的に学校の大掃除をしてくれ、多くの子ども達が学校に戻ってきてくれました!村の人々は少しずつではありますが、児童労働をなくし生活をよくするための変化を起こしています!

ガーナのパートナーNGO CRADA(クラダ)

CRADAスタッフと一緒に記念撮影

現地のNGOと協力して子どもたちを支援

CRADAは、子どもの権利の保護を目的に、調査研究と開発事業の実施を行うガーナのNGOです。2000年にガーナ人の医師によって設立されました。ガーナ第二の都市クマシに事務所を構え、アシャンティ州を中心にカカオ生産地域での児童労働撤廃、都市のストリートチルドレン救済やエイズ予防、女性のエンパワーメントなどの活動に取り組んでいます

詳しくはこちら

これまでの「スマイル・ガーナ プロジェクト」の支援実績・報告

支援期間 支援地 人口 村の子どもの数 児童労働を やめ就学した子どもの数
2009年2月~2018年1月 アシャンティ州アチュマンプニュア郡の8つの村(A~H村)と54の周辺集落 7,600 3,999 454
2018年2月~2022年8月 アハフォ州アスナフォ・サウス郡の2つの村(I・J村)と24の周辺集落 645 239(※5) 141
2022年9月~現在(2023年8月) アハフォ州アスナフォ・サウス郡の2つの村(K・L村)と24の周辺集落 1,212(※4) 459(※6) 27
合計 12村 9,457 4,697 622

※1 人口:2016年までは概算(プロジェクト開始時調査と聞き取りをもとに算出)。2018年以降は世帯調査より算出。
※2 子どもの数:2016年までは基礎教育年齢の6~14歳未満のプロジェクト開始時調査時点の人数。2018年以降は世帯調査より算出。
※3 子どもの権利保護の観点から、村の名称及び子どもの名前は仮名にて表記しています。
※4 2023年の世帯登録のデータ分析に基づき、929人から1,212人に修正しました(2024年2月更新)
※5 2023年の世帯登録のデータ分析に基づき、316人から239人に修正しました(2024年2月更新)
※4 2023年の世帯登録のデータ分析に基づき、433人から459人に修正しました(2024年2月更新)

例えば、7,500円で子ども1人に学用品一式を支援できます

ACEでは、ガーナのカカオ生産地の子どもたちの支援活動に対する寄付として「チョコ募金」を集めています!

チョコ募金

ガーナのカカオ生産地域の子どもたちを支援「チョコ募金」

チョコ募金は、ガーナのカカオ生産地で子どもの教育とカカオ農家の自立のための仕組みづくりに役立てられています。ガーナは幼稚園から中学校までの義務教育には授業料はかかりません。しかし、ノートや鉛筆、制服などの学用品は自分たちで準備しなくてはいけません。プロジェクトでは、学用品を買うことが難しい困窮家庭に限定して、学用品一式を無料で提供し、経済的負担を少しでも減らすことで子どもが学校に通えるようにサポートしています。

その他、零細なカカオ農家の自立支援や、ガーナ政府との連携による「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域)」を認定する国の制度づくりに向けた活動などを行っています。この活動は、個人や企業からのご寄付によって成り立っています。安定した活動を継続して実施できるよう、チョコ募金へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします!

ガーナの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

チョコ募金をする

sticker_banner