児童労働とは

持続可能な開発目標(SDGs)とACEの取組み

世界共通の目標「持続可能な開発目標(SDGs)」

2015年9月25日、ニューヨーク国連本部において、「持続可能な開発に関するサミット」が開催され、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が採択されました。

17の目標と169のターゲットからなるSDGsは、”地球上の誰ひとり取り残さない(leave no one behind)” ことを誓っています。貧困、不平等・格差、気候変動のない持続可能な世界の実現を目指して、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むべき世界共通の目標です。2016年から2030年までの15年間、世界中の国々ではこの「持続可能な開発目標」の達成に向けて様々な取り組みが行われています。

 

ACEとSDGs

ACEが取り組んでいる児童労働問題も、SDGsの目標8のターゲット7として、記載されています。2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃すると明確に目標が立てられました。また、強制労働、人身売買、現代的奴隷制度についても、撤廃を目指しているのがこのSDG8.7です。

 

SDG8.7

『強制労働の廃絶、現代の奴隷制および人身取引の廃止、子ども兵士の募集と使用を含む最悪な形態の児童労働を禁止及び撤廃するために、緊急かつ効果的な措置を実施する。そして、2025年までにあらゆる形態の児童労働を終わらせる。』(ACE訳)

 

 

SDGsに関連するACEの活動

ACEもSDGsに賛同しています。設立以来ACEが取り組んできた「児童労働の解決」はSDGsの多くの目標の達成に関係しており、児童労働を解決することはSDGs達成への近道であると考えています。

 

この図は、児童労働がいかに多くの問題と関係しているかを示しています。SDGsの目標でいえば、8の労働問題はもちろん、1の貧困、2の飢餓や農業の生産性、4の教育、5のジェンダー、12の企業の責任、16の平和と公正さ、そして17のパートナーシップには直接関係が深いと言えます。そのためACEでは、インドやガーナでのプロジェクトはもちろん、日本をはじめとした各国政府へ働きかけるアドボカシー活動も行っています。そして、もっと児童労働について知ってもらうための啓発活動、企業と協働するソーシャルビジネス推進も行っています。これだけ幅広い活動を行っているのは、それらがすべて2025年までに児童労働を終わらせるというSDGs8.7へつながっているからなのです。

それぞれの目標とACEの活動をもっと詳しく見ていきましょう。

 

SDGs目標8のロゴ目標8:「働きがいも経済成長も」
児童労働をさせない、見守る体制を、コミュニティに作る

児童労働から子どもを守り教育につなげるプロジェクトを、ガーナのカカオ生産地とインドのコットン生産地でそれぞれおこなっています。

その方法は、いわゆる「エリアベース・アプローチ(Area-based approach)」で、対象となる地域全体で、コミュニティの人たちの力を活かし、子どもたちを児童労働から守り、教育を支援し、また児童労働をせざるを得ない状況の家庭には寄り添いながら、行政の支援やACEのプロジェクトの支援に結び付け、状況を改善していきます。

2年から3年かけて、その地域の子どもたちがみな学校に通うことができ、おとなが児童労働に頼らず生活に十分な収入があるという状態をめざします。これまでインドとガーナの28村で、2,414人の子どもを児童労働から解放しました(2021年8月現在)。

カカオ生産地での支援活動「スマイル・ガーナ プロジェクト」
コットン生産地での支援活動「ピース・インド プロジェクト」

そしてこの経験を基に、「児童労働フリーゾーン」の制度作りにJICA(国際協力機構)の事業を通じてガーナ政府と協働で取り組んできました。このような地域単位の取り組みをガーナ全国に、そして世界に広げていくこと、それが私たちの目標です。

一方、先進国にも160万人の児童労働者がいるというILOの指摘(ILO/UNICEF:2021年発表推計)の通り、経済的に発展している国にも児童労働は存在しています。日本でも、子どものポルノや買春、JKビジネス等による子どもへの経済的・性的搾取、そして実は人身取引も発生しています。また、高校生がオレオレ詐欺(特殊詐欺)の出し子や受け子として使われ、逮捕されるという報道も目にします。これらはすべて「最悪の形態の児童労働」に当てはまります。(日本の児童労働について詳しくは、調査報告書『日本にも存在する児童労働』をご覧ください)

ACEは、日本の児童労働の予防・撤廃のために3種類の啓発資料(中学生用、高校生用、おとな用)を作成し、全国の学校、少年院・少年鑑別所、青少年センター、就労支援センター、フリースクールなどに配布しています。子どもを雇う人が法律を知り順守するように、子どもが違法な労働に巻き込まれないように周りのおとなが気付けるように、そして子どもが「働く人を守るルール」を知って自分の身を守れるように、活動しています。(啓発資料は無料でダウンロードしていただけます)
日本の子ども支援について詳しくはこちらをご覧ください。

 

SDGs目標4のロゴ目標4:「質の高い教育をみんなに」
地域のチカラを推進し、無償で質の高い教育を実現

教育環境を、地域のおとなや子どもが持つチカラと“そもそも”の行政の責任を果たしてもらうことで、良くすること。これが、ACEのプロジェクトの特徴です。

スマイル・ガーナ プロジェクトの「子どもの権利クラブ」の活動を通じ、自分たちの「教育を受ける権利」を学んだ子どもたち。ある日、行動を起こしました。村長の家までデモ行進をして、「教室の増設を!」と訴えたのです。当時は1つの教室で2学年が勉強するような環境でした。それが改善され、数年後には日本政府の支援も活用し、立派な中学校舎が建設されました。

2020年には活動地で住民の意見が反映された「子どもの保護に関する地域条例」が作成・最終化されました。群会議を経て承認・交付されれば住民と行政が連携しての子どもを保護し教育を支える仕組みがさらに強いものとなります。

ピース・インド プロジェクトでも、子どもクラブで「子どもは働かなくてもいい」ということを学んだ子どもたちが、児童労働をしている子どもに対して学校に来るよう誘い、それを見た近所のおとなも子どもを働かせる親への説得を行うなどの動きが起きてきました。

また、地域住民が教育局へ働きかけ、新たな校舎の建設や先生の増員などが実現し、子どもの就学率・教育の質の向上が実現しました。高学年が増設される学校もあり、引き続き村にある学校に通学できることは中途退学防止にもつながっています。

このように、「地域の人たちが自らの声を自治体に伝えること」をサポートし、それに対して自治体がきちんと責任を果たすよう促すことで、地域住民のチカラで現状を変えることができることを実感してもらいつつ教育環境改善を実現してきました。

これまで約13,500人が無償で質の高い教育を受けることに貢献し、質の高い教育を受けた元児童労働者の子どもの変化から教育の大切さを実感する親も多くいます。

新型コロナウイルス感染拡大による休校のために学校で学ぶことができなかった子どもたちに対しても、家庭学習の支援を行ったり、コミュニティに来られない学校の先生に代わって近所の若者にボランティアで勉強を教えるよう促すなど、教育を受けることをストップさせないよう働きかけてきました。

子ども権利クラブの様子(ガーナ)

 

SDGs目標1のロゴ目標1:「貧困をなくそう」
農閑期でも安定した収入を実現し、必要な社会保護へのアクセスを確保

児童労働が起きる主な理由の1つは、子どもも家族の生活を支える必要があるため、つまりおとなの稼ぎでは家計が成り立たない困窮した状況があるからです。

ピース・インド プロジェクトでは特に女性向けに家計を管理し貯金を習慣化するためのトレーニングや、土地をもたない日雇い農家が農閑期でも収入が得られるよう、畜産などの小規模ビジネスを始めるための物資での無利息融資と訓練の提供を通じ、収入の向上・家計の安定を支援しています。

スマイル・ガーナ プロジェクトでは、対象地の住民がほぼカカオ農家のため、カカオ栽培のトレーニングを実施し、値段の高い農薬や肥料に頼らない栽培方法を指導することで支出を抑え、収量を上げる取り組みをしています。

また健康保険や失業保険、ひとり親手当など、各政府による社会保護政策があるものの、アクセス方法や申請方法がわからない住民に対し、その申請方法の指導や行政担当者への橋渡しを行い、既存の社会保護を活用して経済状況を改善できるようサポートしています。

このように、家庭の収入向上・安定化の支援と、必要な社会保護へのアクセスを確保する活動を通じて、SDGs目標1「貧困をなくそう」に貢献しています。

収入向上の支援として、ヤギの貸与なども行っています(インド)

 

SDGs目標2のロゴ目標2:「飢餓をゼロに」
小規模農家を支援し、企業との連携で地域の農業の在り方を変える

この目標2の正式名称は 「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」です。ターゲット2.3には「小規模農家の所得向上」、2.4には「生産性を上げながら災害などにも強いレジリエントな農業」が掲げられています。

ACEがプロジェクトを実施しているインドのコットン生産地、ガーナのカカオ生産地ではともに住民の多くが小規模農家であり、ACEは小規模農家の収入向上支援と農業トレーニングを通じこのターゲットに貢献しています。

スマイル・ガーナ プロジェクトでは、カカオ農業以外でも収入を得られるようにするために女性農家に焦点を当てた農業技術支援として米の栽培支援も始めました。訓練を受けた女性たちは習ったことを実践して米を収穫して販売することで、収入を増やすことができています。

ピース・インド プロジェクトを卒業し児童労働がなくなった地域では、日本企業と地元農家によるオーガニックコットンの栽培プロジェクトが行われています。大量の農薬を使うコットン栽培は土壌や水を汚染します。オーガニックコットンへの転向は、同じ畑で安全な食料生産ができるようになるだけでなく、本来の土の力を活かす持続可能な農業のサイクルを作り出しています。また、インドではプロジェクトで運営する補習学校での給食提供、ガーナでは公立学校給食の支援を行うことで、子どもたちに栄養のある食料を提供しています。

米の栽培支援の様子(ガーナ)

 

SDGs目標5のロゴ目標5:「ジェンダー平等を実現しよう」
女子差別と児童婚を防ぎ、職業訓練を通じ女の子をエンパワーする

ACEがインドのコットン生産地で実施しているピース・インド プロジェクトの支援地域では、「女の子は教育を受ける必要がない」という考えが根深く残っています。また、インドの一部の地域には、女性が嫁ぐときにお金を持参する習慣があり、その結婚持参金を稼ぐために男子よりも多くの女子が働いている状況があります。教育を受けると持参金の額が上がるため、親は女の子への教育をためらう傾向にあります。

プロジェクトでは、啓発活動や女子のエンパワーメント支援活動を行って、女子がおかれる環境の改善、差別をなくすことに貢献しています。

エンパワーメント活動によって啓発された女の子本人からの申し出によって、本人の意思に反して親に結婚をさせられそうになっている状況を把握したケースでは、親を説得して児童婚を回避し、引き続き教育を受け続けられるようサポートをしました。

また教育の機会を逸して義務教育年齢を過ぎてしまった女の子たちには、基本的な読み書きと算数、仕立て屋の職業訓練の機会を提供し、修了後にはミシンを渡し、自分で安全な環境下でビジネスを始められるようサポートしています。

ミシンを使って仕立て屋さんになるための職業訓練を受ける女の子(インド)

 

SDGs目標12のロゴ目標12:「つくる責任 つかう責任」
企業も消費者も、児童労働撤廃に貢献できるビジネスの在り方へ転換

児童労働と聞くと、遠い国で起きている出来事で私たちの日常生活には関係ないと思われるかもしれません。確かに多くは開発途上国で起きていますが、世界の児童労働の7割を占める農業分野での児童労働は、日本に輸入される製品の原料生産に関係しています。

「チョコレート」をつくる責任 食べる責任

ACEでは「しあわせへのチョコレートプロジェクト」として2008年から、カカオ産業の児童労働について企業と消費者を巻き込んだビジネスの変化を促してきました。

スマイル・ガーナ プロジェクトでは消費者が購入したチョコレート商品の売り上げの一部を企業から寄附として受け活動を行っています。 その活動によりコミュニティで児童労働を撤廃、実施地域を拡大し、そこで採れた児童労働のないカカオを使ってさらに多くの企業がチョコレートを作り、消費者へ届けるというサイクルを実現し、当初のゼロから、今では21社・ブランドの82点(2021年3月時点)の商品に広がって支援地のカカオが使用されています。


「コットン製品」をつくる責任 つかう責任

同様に、「コットンのやさしい気持ちプロジェクト」を2009年から実施し、コットン産業においても児童労働のないビジネスと消費の推進に取り組んでいます。

ピース・インド プロジェクト実施地のあるインドのテランガナ州では、コットンの種子や綿の生産によるビジネスが盛んで、そこでは多くの子どもが安い労働力として雇われています。高い利益を得ているのは種子や綿を買い取る企業ですが、一方、農家は種、農薬、肥料などを買ったり労働者を雇うコストが収入に見合わず、貧困から抜け出せなかったり、有害な農薬を畑で使うため深刻な健康被害にあう子どもやおとなの労働者もいます。

そのためACEは、ピース・インド プロジェクトの実施によって児童労働がなくなった地域で、連携企業による人権や環境に配慮されたオーガニックコットン栽培の導入とそのビジネス化を推進しています。これは、児童労働を生み、格差を広げるこれまでのビジネスの仕組みを変え、よりサステナブルな仕組みに変えていくための、企業とNGOの協働によるビジネスの在り方の転換です。

ACEのインド支援地で採れたコットンを使用した手ぬぐい

 

上記のカカオ・コットン以外の産業でも児童労働を撤廃するビジネスを実現することを目指し、ソーシャルビジネス推進事業では企業向けの研修やコンサルティングを通じ、特に児童労働を含むサプライチェーンの人権課題に関する啓発、解決に向けたビジネスの創出をサポートしています。

きちんと取り組んでいる企業が正当に評価されるよう、企業のサプライチェーンの人権デューデリジェンスに関する法制化や、政府の公共調達のルール自体を変える必要性について政府に政策提言をするアドボカシー事業の活動など、企業や政府がそのサプライチェーンを含めて児童労働に加担しない仕組みづくりを目指しています。

そのような世界を実現するためには、消費者が声を上げることが重要です。消費者教育として、児童労働やフェアトレードの理解促進、教育教材の販売、出版、講師派遣、イベント開催を行っている啓発・市民参加事業では、気づきとアクションを起こすきっかけづくりを行っています。

出前授業や講演を通じてエシカル消費について伝えています

 

目標16:「平和と公正をすべての人に」SDGs目標16のロゴ子どもに対する暴力の撤廃、そして子どもの権利を保障するために

日本の子どもの虐待の事件が多く報じられる中で、ACEはSDGsのゴールの「途上国でも、先進国でも」の精神を実践するべく、日本国内での取り組みもはじめています。

目標16のターゲット2には「子どもに対する暴力の撤廃」が含まれています。子どもに対する暴力撤廃のグローバルパートナーシップ(GPeVAC: Global Partnership to End Violence Against Children)は、世界から子どもに対する暴力をなくす政府の活動をより活性化し、このターゲットを達成するために国際機関、NGOや政府の協力でできた、グローバルな枠組みです。ACEは、GPeVAC日本フォーラムの一員として日本政府に働きかけ、政府のGPeVACへの加盟や「子どもに対する暴力撲滅行動計画」策定に貢献しました。

広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

2019年には、国連子どもの権利条約(1989年)の採択30年、日本政府の批准25年を機に「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」を立ち上げ、事務局を務めています。現在、12の実行委員団体で運営し、全国各地の賛同団体・個人は200を超え、「子どもの権利」を中心に市民社会組織がつながるプラットフォームを提供しています。

キャンペーンでは、子どもの権利が保障される社会の実現をめざして、子どもの権利を全国に普及するための啓発活動、市民社会組織などが連携するためのネットワーク構築、子どもの権利を基盤とした施策が実施されるよう働きかける政策提言を行っています。

特に、日本が子どもの権利条約に批准した後もこれまでつくってこなかった「子どもの権利に関する法律」の必要性について、子どもたちとともに訴え、世論喚起のための情報発信や、国会議員等へ働きかけを精力的に行ってきました。

「こども家庭庁」の設置の動きとともに、子どもの権利を包括的に保障するための法律や施策の実現を訴え、2022年6月15日に国会で可決・成立した「こども基本法」および「こども家庭庁設置法」には、子どもの権利に関する内容が盛り込まれました。

子どもの権利を基盤とした具体的な施策がより一層実施されるよう、声明を発表するなどして取り組んでいます。

 

SDGsの目標17のロゴ目標17:「パートナーシップで目標を達成しよう」
20を超えるネットワーク組織に加盟。企業/政府等と協働

ACEは設立当初からパートナーシップを重視してきました。NGO、労働組合、企業、消費者、政府など様々なアクターと協働してきた経験があり、20を超えるネットワーク組織に加盟しています。

企業とのパートナーシップ例:

森永製菓(株)との「1チョコfor 1スマイル キャンペーン」(DARSやカレ・ド・ショコラなどの製品の売り上げからの寄付)、(株)フェリシモの「幸福のチョコレート」(カタログ販売売上からLOVE&THANKS基金として寄付)、ブラックサンダーでおなじみの有楽製菓(株)との協働など、継続したパートナーシップにより、ACEのスマイル・ガーナ プロジェクトの実施地域を拡大することができました。(ビジネスを通じた連携の詳細はこちらから)。

これまでの個社との連携に加えて、2021年末にはJICAのサステイナブル・カカオ・プラットフォーム内に児童労働の分科会を立ち上げ、産業界での連携にも取り組んでいます。

(株)UPDATER(旧みんな電力(株))とは人権と環境に配慮した「顔の見えるバッテリー」の普及を目指した「みんなでフェアチャージ!プロジェクト」や、生産者への応援金の流れを可視化した「タドれるチョコ」のプロジェクトを実施しました。

2020年12月にはデロイトトーマツ(同)とオウルズ・コンサルティンググループとの協働で「児童労働白書」を発行、児童労働に関する初の白書として社内啓発に活用いただいています。

また様々な業種の企業からの依頼により、ビジネスにおける人権をテーマとした研修を通じて社内啓発の支援をしています。ACEの法人会員制度では、42の企業・団体がACEの活動を応援しています。

労働組合との協働例:

2004年に設立した「児童労働ネットワーク」では、加盟している労働組合やNGOと共に署名活動や啓発キャンペーンを行い、これまで約246万筆の署名を集めてきました。NGO労働国際協働フォーラムでも児童労働グループの事務局をつとめ、連携強化を行っています。

NGOとの協働例:

2019年G20大阪サミットに向けて、G20サミットの正式なエンゲージメントグループである「C20」(Civil 20)の議長を務めるなど、日本のNGOと共に世界を舞台にアドボカシー活動を行ってきました。また、事務局を務める「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」では200を越える日本の団体が賛同しています。

政府との協働例:

ACEはガーナの雇用労働関係省と2018年から協働して「児童労働フリーゾーン」の策定プロセスを担いました。これは、ガーナ政府の「児童労働撤廃計画」の一部であり、政府主導によるガーナ全体で児童労働をなくすための制度作りです。

ACEスタッフが何度もガーナに足を運び、地方自治体の関係者や政府関係者など、さまざまな関係者との会議、調整、連携を経て、2020年の3月に「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン設立のための手順およびガイドライン文書」が発効されました。

ガイドラインは発効されましたが、これを実際に運用していくのはこれからです。実効性のある制度とし、ガーナ全土に広めていくために、JICAと協力してプロジェクトを行いました。

カカオ産業の児童労働についてはこれまでにも多様なアクターが様々な取り組みを行ってきましたが、プロジェクトの持続可能性や効果などの面において課題が指摘されています。今回の「CLFZ認定制度」というアプローチによって、これまで指摘されてきた課題を乗り越え、児童労働問題の本質的な課題解決につなげることを目指しています。

【ガーナ便り】「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン設立のためのガイドライン文書」が、ついに発効となりました!

 

遠い国の話ではなく、ここ日本でも

SDGsの目標は世界共通、どの国も目指すのが前提です。実は、日本にも児童労働は存在します。2018年には国会でも日本の15歳の少女が転落死した事故(*1)を受け、危険有害労働に子どもがついている現状が指摘されました。

(*1) 【緊急声明】 15歳の少女が工場で転落死―日本にもある児童労働の現状把握と対策を!―

子どもの相対的貧困が7人中1人といわれ、高校生のアルバイトも増えており、家庭を支えるため働かざるを得ない状況を抱えたり、人手不足が叫ばれるなか、条件の悪い仕事についてしまう、16歳から18歳未満の子どもたちが増えてしまうのではないか、と私たちは懸念しています。そのため、以下のような活動も始めました。

また、2019年の子どもの権利条約採択30年を機に「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」を事務局として立ち上げ、100を超える団体と協働して子どもの権利に関する理解促進に努めています。

SDGsの達成に向け、ACEは活動を続けていきます。

         

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