コットンのやさしい気持ち

インドのコットン畑での児童労働の現状

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ACEスタッフの岩附と成田は、2009年8月17日からインド南部のアンドラ・プラデーシュ州でコットンの生産地域における児童労働の現地調査を実施してきました。2010年から開始予定のコットン生産地で働く子どもたちの教育支援プロジェクトを立ち上げるための準備が主な目的です。

コットン畑の児童労働の現状

コットンをひとつひとつ受粉させる作業

コットンをひとつひとつ手で受粉させる女の子

コットン畑には、2種類あります。コットンを作る畑と、コットンの”種”を作ること畑です。コットンの種を作ること畑では、約40万人以上の子どもたちが働き、中でも女の子が多いという調査結果があります。ACEはアンドラ・プラデーシュ州の中でもコットン種子生産が多いマハブブナガル県の村をプロジェクト対象地としました。

コットンの種を作るためには、7月から9月にかけて毎日集中的に手作業で受粉をさせる必要があります。この作業は多くの人手が必要で、農家は親に高額な前金を払って、子どもの2~3ヶ月間の労働を確約させます。しかし、一日働いても60ルピー程度(約120円=マクドナルドのハンバーガー1個分)の日給しか支払われません。コットン畑で女の子が好まれるのは、口答えしないで働くからだそうです。

女の子がコットン畑で働く理由(メリちゃん:13歳)

「学校へ行きたい」と語るメリちゃん

「学校へ行きたい」と語るメリちゃん

子どもを供給する家庭にも様々な理由があります。インタビューしたメリちゃん(仮名)は、お父さんが働いておらず、お母さんも週に数日しか仕事がありません。日々の生活を支えるため、メリちゃんと妹はそれぞれ別のコットン畑で働いています。

メリちゃんは13歳。学校には8日間しか行ったことがありません。でも、6歳の弟は学校に行っています。女の子は、高い教育を受けると結婚するときに必要な持参金が高くなってしまうので、持参金を払えなくなることを心配したお母さんが女の子2人は学校に行かせなかったのです。そのお母さんも、一度も学校に行ったことがありません。

コットン畑では大量の農薬を使うため、子どもたちの健康への影響も心配です。コットン畑で働いている女の子で2人、病院で輸血を受けたり、皮膚病にかかっていたり、明らかに健康を害している子どもがいました。それでも、その子どもたちは働き続けているのです。「なぜ病気になったかわかりますか?」と聞いたところ、「わからない」、という答えが返ってきました。

コットン生産地の子どもたちを児童労働から守るため

今回調査を行った村で、ACEは2010年から現地のパートナーNGOのSPEED(スピード)と共に子どもたちの支援活動を始めます。プロジェクト対象地で村の人たちと話をし、現状を確認し、SPEEDのスタッフとプロジェクトの内容について話し合いを行ってきました。

まず村の村長さんや女性グループ、村の若者たちとミーティングを行いました。女性からは「女の子が教育を受けても良い仕事につけないから意味がない。それより生活出来るようなスキルを身に付けさせてほしい」という声が出たり、若者たちからは「自分たちも何かしたい」という申し出などがありました。村議会が行われた部屋には、50人ぐらいがぎゅうぎゅう詰めで座りながら意見交換をしました。

村人から出た意見を受け、ACEはSPEEDと協力して、一度も学校に行ったことがない子どもたちが公立の学校へ編入できるように基礎教育を提供する「ブリッジスクール」の運営や、ブリッジスクールで給食を提供し、子どもたちの栄養補給を行い、コットン畑から引き離して健康を守り、教育の機会を提供するプロジェクトを行なうことにしました。また、女の子が直面する問題に対処できるよう、女の子を対象にしたトレーニングを実施して、村の人へ子どもへの教育の重要性をトレーニングするとともに、村全体が児童労働ゼロを目指す持続可能な仕組みを作っていきます。

ぜひ、インドのコットン生産地域の子どもたちを危険な労働から守るため、ご協力、よろしくお願いいたします!

報告:インド・アンドラプラデシュ州より 成田 由香子 岩附 由香

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  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2009.08.24