児童労働反対世界デーイベント「コットンの未来をつむごう会議」開催報告 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

コットンのやさしい気持ち

児童労働反対世界デーイベント「コットンの未来をつむごう会議」開催報告

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「児童労働反対世界デー」である2013年6月12日(水)、東京の目黒にあるHUB Tokyoで「コットンの未来をつむごう会議~児童労働をなくすために、企業にできること。生活者にできること~」を開催しました。

発表とゲストトークを通じて、インドのコットン産業での児童労働の現状やACEによる取り組み、オーガニックコットンの現状、企業による取り組み、世界での労働問題への対応について共有しました。イベントでは、児童労働をなくすためにできることを参加者と考えるワークショップも行いました。73人にご参加いただき、参加者同士が交流し、活気のあるイベントとなりました。

インドのコットン生産における児童労働の現状とACEの取り組み

発表:成田 由香子(特定非営利活動法人ACE 国際協力事業担当)

インド・コットン生産地の児童労働を報告するACEスタッフ 成田由香子インド・コットン生産地での児童労働の映像を上映し、コットン産業のサプライチェーンでの児童労働の現状をお伝えし、現地と日本国内での取り組みを合わせた「コットンのやさしい気持ち」プロジェクトについて発表させていただきました。インドのコットン種子栽培地域では、38万人以上の子どもたちが児童労働をしていると言われ、子どもたちは学校に通えず、コットン栽培に使う農薬による皮ふ病など健康被害にあっている現状があります。ハイブリッド種のコットンの種子栽培には、手作業による受粉が必要なため、安い労働力として子どもたちが働かされています。

「コットンのやさしい気持ち」プロジェクトを紹介するACEスタッフ成田インドのコットン生産地域での問題を改善するため、ACEは子どもの就学徹底、女の子の自立、おとなの雇用機会と収入向上を目指した「ピース・インド プロジェクト」を行っています。今後はさらに支援地域を広げ、より多くの働いている子どもの支援を検討しています。課題としては、教育、雇用、農業、社会保障などの分野へ総合的にアプローチすることや、産業全体と企業、消費者の取り組みが必要であり、関係者同士の連携が望まれることが強調されました。

 

児童労働をなくすために、企業にできること。生活者にできること。

並河 進  株式会社電通 ソーシャル・デザイン・エンジン部 部長 
稲垣 貢哉 興和株式会社 開発生産部生産課 / Textile exchange 理事 
細川 秀和 リー・ジャパン株式会社 取締役
岩附 由香 特定非営利活動法人ACE 代表

ゲストトークセッションでは、オーガニックコットンの普及に関わる専門家やメーカー企業の立場から、オーガニックコットンの生産や衣料メーカーの現状や課題などをお話しいただきました。ACEからコットンや衣料産業での環境・労働問題と世界での対応事例などについて共有されました。

Textile exchange 稲垣貢哉さんTextile exchange 理事の稲垣氏から、現在世界の綿花全体におけるオーガニックコットン生産量の割合が0.7%と少なく減少傾向にあるという報告がありました。しかしその一方で、オーガニックコットンを通常の綿と混ぜて商品販売する企業が増えており、オーガニックコットンの生産が需要に追いついていないそうです。コットンを取り巻く課題として、遺伝子組み換えによるハイブリッド種の綿が増えていることが挙げられました。ハイブリッド種のコットンが生態系へ影響を与えたり、児童労働を引き起こす要因にもなっているといったお話をいただきました。

リー・ジャパン株式会社 取締役の細川さんリー・ジャパン株式会社の細川氏からは、ウガンダ産オーガニックコットンによるジーンズ製品のプロジェクト「Born in Uganda Organic Cotton」で行っているACEとのCSRレビューについて紹介いただきました。生産者が適切な環境で働いているか現地視察を行い、衛生環境面での課題などがまだあること、定期的に現地確認していくことやNGOと協働することの重要性などの話がありました。また、日本の消費者に取り組みの意義を伝えるために試行錯誤をしており、まず商品の質に魅力を感じて買ってもらった結果知ってもらいたい、ということでした。

ACE代表 岩附より最後にACE代表の岩附から、インド以外でコットンに関わる事例を報告しました。ウズベキスタンでは、国主導で強制的に児童労働をさせていることが国際的な問題となり、131のブランド企業がウズベキスタン産コットンを使用しなくなりました。また、バングラデシュで起きた縫製工場建屋の崩壊事故を機に、欧米のブランド企業が現地の取引先縫製工場で安全環境の改善に取り組む協定を結んでいます。このように、サプライチェーンでのブランド企業の責任が広く認識され、その取り組みや問題の指摘、改善策の提示などにNGOが関与しています。サプライチェーンにおいて児童労働などの問題が見つかった際の対応として、政府、企業、消費者、NGOが取れる行動オプションについても紹介させていただきました。

企業だけでなく消費者もサプライチェーン全体を把握し、児童労働によって作られた製品ではないかどうか見極める知識と目を持つことが必要だと再認識したセッションとなりました。

 

ワークショップ「コットンの未来のために、できることを考えよう」

ファシリテータ:並河 進  (株)電通ソーシャル・デザイン・エンジン部 部長 
岩附 由香 (特活)ACE代表

最後に、人や地球にやさしいコットンのある未来のために何が必要か考え、参加者同士で意見を共有するためのワークショップを行いました。企業・生活者・NGOができることは何か、また期待することは何かについて、まず個人で考え、自己紹介しながらグループで共有し、各グループでまとめた「できることアイディア」を作成していただきました。

企業は企業同士で連携を図りオーガニックコットン製品のPR力を高めること、生活者はSNSを利用してオーガニックコットンについてより深く知り広く伝えること、NGOは他の団体や企業と協働でオーガニックコットンを推し進め、キャンペーンやイベントで多くの人に知識を与える機会をつくっていくこと、などのアイディアがでました。

参加者同士でグループを組んでディスカッション ワークショップで「できることアイディア」を相談

コットンオーナー制度やSNSを活用したキャンペーンなどいろんなアイディアがでました 生活者、企業、学生などさまざまな立場の人が参加

考えたアイディアをグループごとに発表してもらいましたまた、企業・NGO・生活者が連携して、コットンオーナー制度をつくって支援に付加価値を与えたり、買った人の目に見える形にすることでよりオーガニックコットンを広めていく、という具体的な提案もありました。

短時間でしたが、話を聞いて終わるのではなく、参加者が自分事として捉えたり、企業、学生、NGOなど異なる立場の考えを知ったりすることで、より深く考えることができた時間となったようです。積極的なご参加をいただきありがとうございました。

報告:国際協力事業担当インターン 渡辺 知世

 

イベントの最後に児童労働反対の意思表明「ひとはたあげよう」を実施しました!

イベントの最後に全員で「ひとはたあげよう」実施

インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2013.06.27