第3回「ビジネスと児童労働」連続セミナー 開催報告 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

コットンのやさしい気持ち

第3回「ビジネスと児童労働」連続セミナー 開催報告

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コットン・アパレル産業でのサプライチェーンの課題と解決策を考える

2014年8月6日(水)、興和株式会社TRES表参道にて、第3回「ビジネスと児童労働」連続セミナー(ACE主催、興和株式会社後援)を開催しました。今回のテーマは「コットン・アパレル産業におけるサプライチェーンの課題と解決策~畑からブランドをつなげるエシカルファッションを目指して~」です。

アパレルのサプライチェーンにおけるリスクである人権課題の「児童労働」の問題を、参加型のワークショップ形式で学び、現状や解決策について理解を深めました。企業が取り組まなければならない背景や世界の動向、ACEが課題にどう取り組もうとしているのか、興和株式会社との協働プロジェクトについても紹介しました。

セミナー会場の様子(興和株式会社TRES表参道)セミナー会場の様子(興和株式会社TRES表参道)

セミナー開催に合わせて、8月6日~8日にかけて、会場内でACEの活動紹介や興和株式会社のオーガニックブランドの展示も行われました。ACEの活動紹介は、オーガニックコットンの布に直接プリントされたもので、興和株式会社が今回のために特別に制作してくださいました。

 

「コットンと児童労働を考える」体験型ワークショップ

ACEが開発中の「コットンと児童労働を考える」体験型ワークショップを実施しました。衣服やタオルなど、身近に使われているコットン製品がどのような過程で消費者の手に届くのかを考えるパズル、「消費者」「衣料品メーカー会社の社長」「縫製工場の社長」「コットン農家」「コットン畑で働く子ども」や「親」などに参加者がなりきって立場や状況について考えるロールプレイを行い、児童労働について話し合いました。参加者同士が真剣に意見交換する様子から、体験型で考え学ぶことで児童労働がより身近に感じられ「自分にできること」を考える機会となった様子でした。

「コットン製品が手元に届くまで」の過程をパズルで考える様子「コットン製品が手元に届くまで」の過程をパズルで考える様子

 

児童労働の現状とACEによる取り組み

ロールプレイの後は、インドのコットン産業における児童労働の現状や背景、ACEの取り組み、企業に求められる対応について、ACEからご紹介しました。

ACEスタッフの成田より、インドのコットン生産地での児童労働の映像を上映し、児童労働が生まれる背景には需要側と供給側の要因があること、解決のためにはその両方に働きかけなければならないことを説明しました。供給側の要因を解決するため、ACEはインドのコットン生産地域で児童労働をなくし、子どもへの教育を支援する「ピース・インド プロジェクト」を実施し、子どもの教育の徹底、女の子の自立支援、おとなの収入向上などに取り組んでいます。需要の問題を解決するため、日本で児童労働のない消費やビジネスを推進するため、消費者や企業に働きかける活動を行っています。

ACEによるインドでの取り組みについて発表するACE子ども支援事業(インド)担当スタッフの成田ACEによるインドでの取り組みについて発表するACE子ども支援事業(インド)担当スタッフの成田

続いて、ACE代表の岩附から、企業が求められるサプライチェーン管理や人権への取り組みの背景について、近年の国際的なCSRと経営に関わる新しい流れ、国内外の投資家や消費者の動向などに触れながら紹介されました。ACEが企業のCSR推進の一環として取り組んでいる企業との連携事例として、リー・ジャパン株式会社との「Born in UGANDA Organic Cotton Project」や、森永製菓との「1チョコ for 1スマイル」なども紹介しました。また、複数の企業と共同で企画したイベント「エシカルファッションカレッジ」は、消費者を対象に開催し、多くの来場者やメディア掲載があるなど予想以上の反響を受け、今後も消費者への活動も行っていくとの話がありました。

企業に求められる取り組みについて発表するACE代表の岩附企業に求められる人権への取り組みについて説明するACE代表の岩附

 

ステークホルダーによる解決策をグループディスカッション

休憩をはさんで、『児童労働のないサプライチェーンの実現に向けて、企業としてできること』をテーマに、グループでディスカッションを行いました。

どうすれば問題を解決できるか、ステークホルダーがどう連携すればよいのかディスカッションしましたどうすれば問題を解決できるか、ステークホルダーがどう連携すればよいのかディスカッションしました

各グループの発表では、「企業」は「取引先企業」と連携し、生産過程から児童労働をなくすようチェックすること、そのような取り組みを「従業員」や「消費者」にアピールしていくことが重要である、という意見がありました。一方で「NGO」に対しては、現地の状況や課題を発信し続けてほしい、という意見も多く聞かれました。

グループで考えた改善策を発表グループで考えた改善策を発表

 

ACEと興和株式会社の取り組みと協働プロジェクト

興和株式会社からは会社概要と、繊維産業に携わる者としてオーガニックコットンとは何か、その意義、世界の企業の動きなど、同社が取り組んできた活動を交えながらお話いただきました。興和株式会社は、“地球と未来を考える興和グループ”の一員として、ACEの「ピース・インド プロジェクト」を通じて児童労働がなくなったインドの村で、住民へのオーガニックコットンの栽培指導をスタートし、持続可能な自立支援に取り組んでいます。

支援する村の職業訓練センターに通う女の子たちにトートバッグの刺繍を依頼して、そのバッグを使ったオリジナルバッグづくりワークショップを「エシカルファッションカレッジ」で実施したことも報告されました。

【詳しくはコチラ】興和:インドの女の子が刺繍したトートバッグを製作

オーガニックコットンや協働プロジェクトについて紹介された興和株式会社の稲垣様オーガニックコットンや協働プロジェクトについて紹介された興和株式会社の稲垣様

 

セミナー参加者の声

参加者アンケートから、いただいた感想・コメントを一部ご紹介します。

  • 初めてコットン製品の背景に「児童労働」があることを知りました。(会社員、女性)
  • 自分の買うものがどこからどのようにして来たのかを知ろうと努めます。また安さだけで物を買わず、社会貢献できる消費行動をとろうと思います。(会社員、女性)
  • 「政府」や「国際機関」に対するアクションが「企業」からは遠く感じられ、考えるのが難しかった。
  • 事業立ち上げのきっかけにしていきたい。(会社員、男性)
  • 教員として、キャリア教育で社会貢献している企業や人を紹介していきます。(教員、女性)
  • 自社の売上向上やリスク管理に活用していきたい。(会社員、男性)
  • エシカルな企業の商品を購入したい。(会社員、男性)

会場には、活動紹介や協働事例がプリントされた布が展示されました会場には、活動紹介や協働事例がプリントされた布が展示されました

 

今回のセミナーに参加された方には、日々の生活や企業活動の中で関心を持ち続け、少しでもアクションを起こすきっかけにしていただけたら幸いです。

報告:ACEインターン 宇留賀いくみ、市川明里

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2014.08.18