カカオ産業から児童労働をなくすために——分科会で共同コミットメントを宣言しました
カカオ産業から児童労働をなくすために——分科会で共同コミットメントを宣言しました
児童労働反対世界デーを前に、官民連携で発信
6月12日の「児童労働反対世界デー」を前に、2025年6月6日、JICA(国際協力機構)が事務局を務める「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」児童労働撤廃分科会が、カカオ産業における児童労働の課題と取り組みを紹介する記者発表会を開催しました。
当日は、企業・NGO・JICAなど分科会に参加する多様な関係者が登壇し、それぞれの視点からの取り組みを紹介。私たちACEも分科会の一員として参加し、今後に向けた「共同コミットメント」を宣言しました。
企業・NGO・JICAによる多角的な取り組み紹介

ACE副代表 白木が発表している様子
冒頭ではJICAより、児童労働が特にサハラ以南のアフリカに集中している現状や、ガーナのカカオ・水産業において子どもの21.8%が児童労働に従事しているという深刻な実態が紹介されました。日本の消費とも関係するこの課題に対し、責任ある調達や国際連携の必要性があらためて強調されました。続いて、明治ホールディングス株式会社、株式会社ロッテ、森永製菓株式会社の3社が登壇し、企業としての児童労働撤廃に向けた取り組みを紹介しました。各社からは、児童労働の監視体制の構築や地域での啓発、消費者への情報発信など、さまざまな角度からのアプローチが共有されました。
その後、ACEからは、現地の実践を起点に企業や政府と協働しながら制度づくりへとつなげていく「橋渡し役」しての取り組みを報告しました。
ACEは2009年からガーナのカカオ生産地域で、教育支援や生計向上支援、地域の自助組織(子ども保護委員会)の設立などを通じて、地域ぐるみで児童労働を防ぐ「スマイル・ガーナ プロジェクト」を展開してきました。こうした長年にわたる現場での実践が、現在JICAと連携して進めているガーナ政府の「児童労働フリーゾーン(CLFZ)」制度構築支援の基盤となっています。また、近年は江崎グリコ株式会社および株式会社立花商店と連携し、児童労働フリーゾーンに準じた地域ぐるみで子どもを守る仕組みの構築に向けて、企業とともに取り組んでいることも紹介しました。
続いて、JICAより、現在進行中のプロジェクトとして、ガーナ政府の児童労働フリーゾーン制度構築に向けた取り組みが紹介されました。このプロジェクトでは、現地パートナーや行政と協働しながら、
・児童労働の実態調査
・モニタリング体制(子ども保護委員会等)の整備
・地域ルールの策定支援
などの活動が進められています。今後は企業との連携を含めた制度の実装・拡大も期待されています。
こうした取り組みを通じて、政府が認定するCLFZ制度が、地域の現状や課題に寄り添った形で実現していくことが期待されています。

ACE職員の佐藤(写真左)が発表している様子
「児童労働撤廃に向けた共同コミットメント」を宣言
記者発表会の最後には、児童労働分科会加盟組織が一堂に会し、「児童労働撤廃に向けた共同コミットメント」を宣言しました。
これは、2021年に本分科会が掲げた「セクター別アクション」に基づき、カカオ生産における児童労働の撤廃に向けて、今後も取り組みを推進していくことを表明するものです。
SDGsの目標8.7には「2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃する」と掲げられていますが、その達成は困難と見込まれています。だからこそ今、あらためてセクターを超えて連携を深め、具体的な行動を強めていくことが求められています。
制度づくりに向けて、現場とつなぐ挑戦を
今回の記者発表会を通じて、企業・政府・市民社会それぞれの立場からのアクションが見えてきました。ACEとしては、今後も現地の実態と制度づくりのあいだをつなぎ、実効性あるしくみとして制度を根付かせるための挑戦を続けていきます。
児童労働のないチョコレートを「あたりまえ」にしていくには、こうした一歩一歩の積み重ねが欠かせません。
最後に
児童労働の問題は、複雑で一筋縄ではいかない課題ですが、誰かの行動が次のアクションにつながっていくと信じています。ぜひみなさんも、この問題を自分ごととして考え、できる一歩を一緒に踏み出していただけたら嬉しいです。
▶︎ 詳しくは独立行政法人国際協力機構のプレスリリースをご覧ください:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000151049.html
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2025.06.24