第6回児童労働撤廃世界会議に参加し、ガーナでの取り組みと元児童労働者の声を国際社会へ届けました
第6回児童労働撤廃世界会議に参加し、ガーナでの取り組みと元児童労働者の声を国際社会へ届けました

いつもご支援ありがとうございます。アドボカシー(政策提言)を担当している川村です。
2026年2月11日~13日にモロッコのマラケシュで開催された、第6回児童労働撤廃世界会議にACEから代表の岩附、副代表の白木、そして私の3名が参加してきました。
今回の会議では、
- ガーナで進めている「児童労働フリーゾーン(CLFZ)」の取り組みを国際社会へ発信
- 元児童労働者の若者の声を政策決定者に届けるサイドイベントへ協力
- 世界の最新動向を把握し、今後の連携の方向性を議論
といった活動を行いました。
※川村は外務省のNGOスタディ・プログラムを通じて参加しました。詳細な報告書はこちらをご覧ください。
第6回児童労働撤廃世界会議とは?
児童労働撤廃世界会議は、児童労働をテーマに扱う国際会議としては世界最大のもので、4年に一度、ILOと開催国政府の主催により開催されます。各国政府、労働組合、使用者団体のほか、企業、国際機関、市民社会組織、元児童労働者の若者、開催国モロッコの子ども議会構成員など多様な主体が参加し、約1200 名がマラケシュに集いました。
会議では、①ハイレベルパネル、②テーマ別セッション、③サイドイベント(対面・オンライン)、④展示ブース型イノベーションフェアなどが行われ、世界の取り組み事例からの示唆や課題、今後の方向性について議論が交わされました。
SDG 8.7に掲げられた「2025年までに児童労働を撤廃する」という目標は実現できませんでした。そのため今回の会議は、前回(2022 年・南アフリカ)で採択された「ダーバン行動要請」の進捗状況を確認し、2030 年以降を見据えた国際的な連携の強化が大きなテーマとなりました。
前回の会議では「ビジネスと人権」主流化の潮流を受け、企業を含む民間セクターの役割が大きく取り上げられました。一方、今回の第6回会議では、議論の焦点がより「児童労働の根本原因」に向けられたことが特徴的です。
具体的には、農業、家事労働、有害危険労働といった課題規模が大きい領域に対して、社会システム全体でどう解決していくかが多くのセッションで議論されました。
さらに今回は、これまで大きく扱われてこなかった「デジタル技術による児童労働リスク」も複数のセッションで取り上げられました。SNSを介した子どもの性的搾取や犯罪への巻き込みなど、最悪の形態の児童労働につながる新たなリスクが世界的に顕在化していることが読み取れます。
ガーナの「児童労働フリーゾーン」の知見を共有
会議2日目の2月12日、 ACEはユニセフ・ガーナ、ILO、International Cocoa Initiative、ガーナ雇用労働省などと共催し、ガーナの児童労働に対する取り組みを紹介するサイドイベントを実施しました。
ACEからは白木が登壇し、 JICAプロジェクトの実施機関として制度構築を進めている「児童労働フリーゾーン(CLFZ)」について、ユニセフ・ガーナ、ILO、International Cocoa Initiativeなど共通の目的をもつパートナー機関と協働してきた取り組みと学びを紹介しました。児童労働の課題が最も顕著な地域であるアフリカに議論の焦点が当たる中、今回のサイドイベントには約120名が参加し、国際的な関心の高さを実感しました。

エリアベース・アプローチの重要性が強調される
児童労働フリーゾーンは、「エリアベース・アプローチ」といって、特定の産業を対象とするのではなく、地域全体を対象に行政・企業・住民が協力して児童労働をなくす取り組みを行う手法を採用しています。今回の会議では、このアプローチの重要性が成果文書(※)でも強調されました。
さらに、児童労働の予防・撤廃に効果的に対応するために、エリアベース・アプローチと企業のサプライチェーンに対する取り組みを組み合わせた介入支援の実施強化が提言されました。会議の中でも、オランダの官民連携の事例として、企業の取組みを現地行政の整備支援と紐づける事例などが共有されました。
子ども・若者の声を政策決定者に届ける
人権課題の解決に向けた政策の設計や決定プロセスにおいて、ライツホルダー(当事者)の生の声を聴くということが非常に重要視されています。
会議2日目の2月12日、ACEは、児童労働撤廃のためのグローバルなアドボカシーを行うNGOのネットワーク「Global March against Child Labour (児童労働に反対するグローバルマーチ)」の会員組織として、元児童労働者の若者の声を国際社会と政策決定者に届けるサイドイベントに協力しました。
世界各地域から6名の元児童労働者が参加し、今なお児童労働をしている1憶3800万人の「声なき声」の代弁者として、自らの経験と政策決定者へのメッセージを訴えました。
ACEからは、幼少期にアメリカのコロラド州でジャガイモの収穫などの児童労働をしていたジャクリーンさんを登壇者として派遣しました。途上国での児童労働に注目が集まる本会議で、先進国にも児童労働が存在するという事実を伝えられたことには大きな意義を見出しています。セッションの最後には、子ども・若者がまとめた提言「Globa Call to Action by Children and Youth」が発表され、現代奴隷分野の国連特別報告者を務める小保方智也氏に手渡されました。
世界会議での「レッドカードアクション」実施のきっかけは実はACE…!?
昨年11月、スイスのジュネーブにあるILO(国際労働機関)本部にてマーティン・ハーン氏を訪問した際、「(児童労働反対)レッドカード」を手渡しました。渡したレッドカードは、毎年ILOが実施するレッドカードキャンペーンを日本でも実施するために、ACEが事務局を務める「児童労働ネットワーク」が作成した日本版レッドカードです。「児童労働ネットワーク」は毎年5~6月のILOのレッドカードキャンペーン時期に合わせ、日本でも「児童労働にレッドカードを掲げてSNSに写真を投稿しよう」と呼びかけています。
ハーン氏と世界会議で再会した際に、「11月にきみたちにもらったレッドカードをずっとデスクの上に置いていて。それをふと見た時に、今回の世界会議でもレッドカードキャンペーンをやったらいい!と思いついたのだよ!You reinspired us!」と話してくれたのです。会議のオープニングでは参加者全員でレッドカードを掲げて写真撮影を行い、会期中も会場の様々な場所でレッドカードを掲げて写真を撮影する姿がありました。

ILOジュネーブ本部のハーン氏(写真中央)と共に。写真左:ACE代表 岩附、写真右:ACE川村

Global March against Child Labourの会員組織とレッドカードアクションに参加
2030年までに、日本を含むILO全加盟国で児童労働撤廃に向けた国家政策の策定を
ILOとユニセフ主催のワークショップでは、SDGs後(2030年以降)の国際文書に児童労働ヘの取り組みをどう位置づけるべきか議論されました。
ACEからは、児童労働者数の推移だけでなく、児童労働を予防・撤廃できる社会の仕組みが整っているかという視点での指標の設定を提案しました。
最終日に発表された成果文書では、「2030年までにすべてのILO加盟国が児童労働に関する国家政策を設けること」が指標として明記されました。
日本では、児童労働の実態を把握する統計が存在せず、子ども・若者の性的搾取や、犯罪の強要など、「最悪の形態の児童労働」が多いことが課題となっています。効果的な政策をつくるためには、リスクが集中している地域や産業、属性などの把握が必要です。

今後に向けて
今回の会議で得た知見や成果文書の内容について、「児童労働ネットワーク」の会員団体や、日本政府、「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」の会員組織のみなさまと共有していきます。
ガーナの「児童労働フリーゾーン」の推進と、日本国内の児童労働の状況改善の両面から、子どもの権利が守られる社会のしくみづくりにより一層力を入れて取り組んでいきます。今後もあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2026.03.24
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