インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2007年度報告 vol.1

インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2007年度報告 vol.1

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2006年11月~2007年12月にかけて、インドのラジャスターン州の2つの村(f村、g村)を支援しました。2007年8月~9月にかけて実施したACEインド・スタディツアーに合わせて、この2つの村を訪問してきました。

村の小学校や保健センターなどを訪問し、子ども村議会のメンバー、教員、青年グループや女性グループに会って、プロジェクトがはじまってから子どもたちや村人たちの生活がどのように変わったのかを聞いてきました。「子どもにやさしい村」プロジェクトを通じて、さまざまな変化があったようです。

f村での変化

f村の概要
人口
約2,500人
就学年齢(6-14歳)の子ども
430人
主な産業
農業(穀物や野菜の栽培)、カーペット織り
子ども村議会
議長含め8人
子ども全員が学校へ通うようになりました

農業やカーペット織りの仕事のために未就学だった子ども36人(うち31名が女の子)が全員小学校に通うようになりました。今では子ども約400人が全員小学校(1~5年生)に通い、村の活動家が子どもの通学をモニターしています。

学校にトイレができました

いままでは学校にトイレがなく、特に女の子たちの通学を阻害する要因となっていました。子ども村議会がおとなの議会に提案し、学校にトイレが建てられました。

通学路が舗装されました

通学路は雨が降ると土砂と水溜りでとても歩きにくく、子どもたちの通学を妨げていました。子ども村議会の提案により村議会が政府から建設費用を得て道路を舗装することができました。ただし、半分はまだ舗装されずに残っています。

舗装された通学路で学校へ登校する子どもたち

女性グループや青年グループの活動が活発になりました

女性グループが組織され、幼児婚やダウリー(持参金制度)の習慣をなくす活動や幼児への予防接種を行っています。青年グループでは、以前から村の問題となっていた違法森林伐採の監視に取り組みはじめました。

プロジェクトを通じて女性グループの活動が活発になりました

f村での今後の課題

f村の小学校では教員の数が不足しています。教育の質を高めるために先生の増やしたり、手動ポンプや病院施設などのニーズに検討したり、子ども村議会やおとなの議会を通じて、村全体で問題を解決をするための話し合いを行っています。

g村での変化

g村の概要
人口
約1,000人
就学年齢(6-14歳)の子ども
152人
主な産業
農業(穀物や野菜の栽培)
子ども村議会
議長と副議長含め5人
子ども全員が学校へ通うようになりました

学校に通わずに家事や家畜の世話、畑作業などをしていた子どもたち37人が小学校へ通うようになりました。そのうち29人は女の子でした。

村の子ども約110人全員が小学校(1~5年生)へ通うようになりました。

新しくできた小学校の前に集まる子どもたち

免許をもつ教員の雇用によって教育の質が改善されました

これまで村の小学校の教員は教員免許をもっておらず、きちんとした授業ができないことが問題になっていました。子ども村議会の提案により、政府から資格のある教員が新たに2名雇われました。

学校に教室やトイレができました

子ども村議会の提案により、不足している教室が増設され、トイレが建てられました。

いままで学校になかったトイレができました

住民の健康と情報収集の拠点ができました

村に保健センターが建てられ、幼児の予防接種などが受けられるようになりました。保健センターでは、村議会や住民の研修を行ったり、政府の補助金制度の情報収集ができる情報リソースセンターの役割も果たしています。女性グループも組織され、メンバーは貯金をするようになり、幼児婚やダウリー(持参金制度)の習慣がなくす活動を行っています。

g村での今後の課題

小学校(1~5年生)しかないg村では、小学校を卒業した子どもたちがさらに進学できるようにどうすればよいか、村で話し合いを進めています。

2つの村を訪問して感じたこと

「子どもにやさしい村」プロジェクトが実施されてから、住民の意識が大きく変化していることが実感できました。住民の間で子どもの教育に関する意識が高まっただけでなく、幼児婚や健康のことなど、村のさまざまな問題について話し合うようになってきています。

子ども同士、おとな同士、そして子どもとおとなの間の関係が良くなり、お互いに助け合うようになったという話も印象的でした。どちらの村でも、子ども村議会を通じて、子どもたちが感じる学校や村での問題を村全体の問題として、住民たちが真剣に取り組んでいました。村が「子どもにやさしい村」になりつつあると感じました。

今後も活動が持続し、住民が一緒に力を合わせて、自ら問題を解決していけるようになることを願っています。

報告:国際協力事業担当 成田 由香子

※f村とg村での支援活動は、2005年度チャリティフットサル大会の収益とチャイルドフレンドリー基金への寄付、また花王株式会社と花王ハートポケット倶楽部、味の素株式会社「あしたの素クリック募金」からの寄付により実施されました。ご協力ありがとうございました。

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  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2007.10.13