児童労働者数が2億1500万人から1億6800万人に減少

児童労働者数が2億1500万人から1億6800万人に減少

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2013年9月23日、国際労働機関(ILO)が児童労働の最新の世界推計を含む報告書を発表しました。報告書
Marking Progress against Child Labour(児童労働撤廃への前進を記す)”によると、全世界の児童労働者は約1億6800万人となり、2008年当時の推計と比べて4700万人もの減少となりました。

2000年に比べて児童労働者が3分の2まで減少

国際労働機関(ILO)がはじめて世界統計を発表した2000年の推計2億4600万人から、児童労働者は3分の2まで減少しました。2012年の推計をみると、児童労働者は1億6795万人で、これは世界の子ども人口(5~17歳)の10.6%にあたり、世界の子どものおよそ9人に1人が児童労働をしていることになります。そのうち子ども兵士や人身売買を含む危険・有害労働に従事する子どもは8534万人に上り、ILOが目標としている「2016年までの最悪の形態の児童労働の撤廃」は、このままでは達成できないと指摘しています。

図1:就労している子ども、児童労働、危険・有害労働の推移(2000年~2012年)

就労している子ども、児童労働、危険・有害労働の推移(2000-2012)

表1:就労している子ども、児童労働、危険・有害労働の推移詳細(2000年~2012年)

ILO報告書“Marking progress against child labour” 3ページより抜粋(就労、児童労働、危険労働の定義については末尾参照

就労している子ども 児童労働 危険・有害労働
2000年 351,900(23.0%) 245,500(16.0%) 170,500(11.1%)
2004年 322,729(20.6%) 222,294(14.2%) 128,381 (8.2%)
2008年 305,669(19.3%) 215,209(13.6%) 115,314 (7.3%)
2012年 264,427(16.7%) 167,956(10.6%) 85,344 (5.4%)
単位:1,000人(世界の5~17歳の子ども人口に対して占める割合)

地域別にみると、最も児童労働者が多いのはアジア・太平洋地域で7772万人、5~17歳人口の9.3%にあたります。サハラ以南アフリカは5903万人で、前回発表からやや減少したものの、5~17歳人口の21.4%、5人に1人と高い割合で児童労働に従事している現状があります。産業別にみると依然として農業セクターが最も多く、全体の58%を占めています。

児童労働減少の要因は政策選択と教育・社会的保護への投資

報告書は、各国におけるILO条約の批准や児童労働問題に特別に配慮した国内の取り組み増加などが現状の改善につながったと指摘し、政府による正しい政策の選択、特に教育と社会的保護への投資の影響が大きいと分析していま す。また、政府だけでなく労働者および使用者団体、市民社会組織といった社会的パートナーが正しい方向で取り組んでいると減少の傾向を歓迎しています。今 後もこのペースで取り組みが進めば、2020年には児童労働者が1億700万人、危険・有害労働に従事する子どもが5000万人にまで減少すると予測して います。

児童労働が最も多いのは“最貧国”ではなく“中所得国”

今回の報告書では初めて、国の経済レベルと児童労働の関係性について分析がおおよび、所得別の児童労働者数が発表されました。児童労働は中所得国に最も多く、最貧国だけの問題ではないことも指摘されています。

表2:児童労働の所得別統計

ILO報告書“Marking progress against child labour” 7ページより抜粋(国名はACE加筆)

低所得国
(low income)
7,439万人 アフガニスタン、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジアなど
合計54カ国/地域
低中所得国
(lower middle income)
8,131万人 インド、ガーナ、インドネシア、フィリピン、パキスタンなど
合計40カ国/地域
高中所得国
(upper middle income)
1,226万人 中国、ブラジル、南アフリカ、マレーシア、タイなど
合計54カ国/地域

大きな前進の中に残された課題

しかし、残された課題もあります。特に児童労働者の58%を占める農業セクターや児童労働の割合が高いサハラ以南アフリカへの特別な配慮が、児童労働撤廃に必要だと述べています。主な責任は政府にあるとしつつも、社会的パートナーとの連携の重要性、ILO182号条約の第8条にうたわれている「当事国以外の国による国際協力やパートナーシップの必要性」を確認しています。


 

2013年10月にブラジルで第3回児童労働世界会議が開催

今回の報告書は、2013年10月8日~10日にかけてブラジル政府主催によりブラジリアで開催される「第3回児童労働世界会議」に合わせて発表されました。世界会議では、これまでの活動の評価や各国・地域での取り組みの経験共有、政府や他組織のコミットメントを強め、最悪の形態の児童労働の撤廃を加速化することを目的としています。

会議開催にあたり、ブラジル政府から日本政府に対し、政府、使用者団体、労働団体、市民社会組織から代表を選出するよう要請があり、市民社会組織の代表として児童労働ネットワーク(CL-Net)事務局長で、ACE代表の岩附由香が会議に出席する予定です。

児童労働者数の減少は児童労働が撤廃可能である証

1997年から児童労働問題に取り組む日本のNGOであるACE(エース)は、市民社会組織としてインド、ガーナの児童労働問題に取り組んできました。ACE代表 岩附由香は「大幅に児童労働者数が減少した事実は、具体的な取り組みを増加させることで児童労働の撤廃が可能であることの証。政府、企業、労働組合、市民社会が連携して取り組みを増やすことが鍵」と指摘しています。ACEはこれまで報告書が指摘している児童労働が最も多い農業セクターに焦点を当て、インドのコットン産業、ガーナのカカオ産業の問題解決に取り組んできました。現地で子どもを支援するだけでなく、日本で市民、労働組合、企業を巻き込んで活動を展開してきたのが特徴です。

日本の政府、企業、市民社会組織が果たすべき責任と役割

児童労働に対する政府の責任

児童労働撤廃に向けて、政府、企業、市民社会組織それぞれが果たすべき役割があります。児童労働への取り組みが他のOECD諸国と比べて極端に少ない日本政府に対し、岩附は「児童労働問題は、日本のODAの基本方針にある人間の安全保障に関わる課題であり、日本の国際教育協力の重点政策として、児童労働撤廃により積極的な姿勢を示してほしい」と今後の日本政府の取り組み強化に期待を寄せています。(※児童労働ネットワークでは、2012年までに日本政府に対し累計78万筆の署名を提出し、日本政府の国際協力の強化を求めてきました。)

児童労働に対する企業の責任

企業の責任についても岩附は「サプライチェーンにおける児童労働問題は大きな課題だが、特に原料までさかのぼってチェック出来ている日本企業は少ない」と指摘します。近年、企業と人権というテーマが注目を集め、国際的なビジネスにおいて児童労働問題の重要性は高まっていますが、日本企業のリスク意識は高くありません。2013年10月の児童労働世界会議の議題にも、サプライチェーンにおける児童労働が含まれていますが、日本からはビジネスセクター代表となる使用者団体の参加は予定されていません。

今回、ILOが初めて発表した所得別統計(表2)を見ると、日本企業が進出しようとしている海外市場には児童労働の問題がある可能性が高いことが分かります。問題が起きてから対処するのではなく、児童労働を未然に予防するビジネスの展開が求められます。

児童労働撤廃へ向けた市民社会組織の役割

市民社会組織の役割もますます重要性が高まっています。ACE代表岩附は「コミュニティの中で子ども1人1人にきめ細やかなケアができるのがNGOの特長。現地の活動の多くはNGOが担っている」と指摘し「活動資金となる寄付が集まれば、支援地を拡大し、取り組みを加速させることが可能」とさらなる取り組みへの意欲を示しています。

市民社会組織であるACEは、これまで以上に政府の取り組み強化に向けたアドボカシー活動や企業と連携した児童労働に加担しないビジネスモデルを展開させ、児童労働の撤廃に向けた取り組みを加速させていく方針です。


 

統計に使われている用語の定義(2010年発表のグローバルレポートから意訳)
就労している子ども
(Children in employment)
特定期間内に該当する経済活動に1時間以上従事していた子ども。雇用関係の有無、フォーマルまたはノンフォーマル経済、家庭の内外、報酬の形態(金銭または現物支給)にかかわらず、あらゆる活動を含む。家族ではない雇用者の元で行う家事労働も賃金の有無に関わらず含まれる。
児童労働に従事する子ども
(Children in child labour)
就業最低年齢(原則15歳)未満で就労している子どもおよび、18歳未満で最悪の形態の児童労働に従事している子どもを含む。12歳以上の軽易労働、及び15歳以上の危険労働ではない労働に従事する子どもは除く。「就労している子ども」より狭義。
危険労働に従事する子ども
(Hazardous work by children)
労働の性質や環境により、子どもの安全、健康、発達に著しく悪影響を及ぼしうるあらゆる労働に従事する子ども。一般的には、夜間労働や長時間労働、性的虐待を含む子どもの身心に有害危険なもの、地中、水中などの危険領域における労働、危険な機械・道具、有害物質などを扱う仕事、過重な荷物の運搬、取扱などが含まれる。危険労働は「最悪の形態の児童労働」の大多数を占め、強制労働などの最悪の形態は統計上捕捉できないため、危険労働の統計は最悪の形態の児童労働の代理としてみなすことが出来る。
児童労働の新統計に関する参考資料

ILO発表内容について:New report: ILO says global number of child labourers down by a third since 2000
報告書データ(PDF):“Marking progress against child labour” Global estimates and trends 2000-2012

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プレスリリース:児童労働者数が2億1500万人から1億6800万人に減少-2013年9月27日発表

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  • カテゴリー:プレスリリース
  • 投稿日:2013.09.24