インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2007年度報告 vol.3
インド「子どもにやさしい村」プロジェクト 2007年度報告 vol.3
2006年11月~2007年12月にかけて、インドのラジャスターン州の2つの村(f村、g村)を支援してきました。1年間のプロジェクト期間を終えた後も、2008年1月から2009年6月まで1年6ヶ月間のフォローアップ活動を行いました。
フォローアップ活動は、支援を終えた後も子どもが児童労働に戻らないよう就学を徹底し、住民の自立をさらに高めることを目的に行いました。2つの村では、新たに職業訓練や収入向上に取り組むことができ、児童労働と貧困の悪循環を断ち切るために効果的な活動へと発展させることができました。
「子どもにやさしい村」の仕組みが定着し、村の住民が自力で問題を解決できるよう力をつけていることが確認できましたので、ご報告いたします。
これまでの活動と村の主な変化
子どもの就学が徹底され児童労働がなくなりました
2つの村では住民による自立的な活動が継続されていました。子どもたちが継続して学校に通い、児童労働に戻ってはいませんでした。
支援が始まる前は、農業やカーペット織り、家事手伝い、放牧などの仕事のため学校に通えなかった子どもたち(児童労働者)が約80名いました。2009年にはf村で25人、g村で16人の子どもが新たに小学校に入学しました。
g村在住 チャイタリちゃん(仮名/11歳)
子ども村議会の活動が定期的に行われています
子ども村議会のメンバーも増え(f村29人、g村10人)、引き続き学校の改善に取り組んでいます。
隣村の子どもたちから学校の問題解決のために協力を求められるなど、周りの村にも活動が波及しています。
子どもたちが学校に通いやすい環境へ改善されました
子ども村議会の活動を通して、子どもたちが学校へ継続して通えるよう村の教育環境を改善する取り組みが行われました。
- 水たまりが多く通りづらかった通学路が舗装されました。
- 小中学校では飲料水用ハンドポンプやトイレが修理され給食の調理場が設置されました。
- スポーツ用品が支給され、学校が子どもたちが楽しく過ごせる場所になりました。
- 子どもたちが校庭の掃除をするようになりました。
- 不足していた教員が補充されました。
- 小学校までしかありませんでしたが、中学校が増設されました。
- 子どもたちは遠くの中学校へ通わなくてもよくなりました。
水たまりで通りづらかった通学路(2007年9月)
舗装された通学路 (2009年9月)
貯蓄や職業訓練により収入が向上しました
女性の職業訓練も実施され、技術を身につけて収入を得られるようになった女性も増えました。親の収入が増えたことで、親が子どもの文具を買うことができたり、子どもが働かず毎日学校に通うことができるようになるなど、子どもの就学がさらに促進されました。
- 自助グループができ、結婚資金や医療費などに備えて、女性たちが定期的に銀行に貯蓄するようになりました。
- 銀行から低利息の少額融資を受けて乳牛を飼ってミルクを売るビジネスを始めました。
- 刺繍・仕立ての職業訓練センターで女性たち約25人が週6日、訓練を受けています。
- 近くの都市部から注文を受け、商品を販売して収入を得るようになりました。
f村在住のお母さん スニータさん
夫、娘2人、息子1人との5人暮らし。夫は日雇い労働者。以前は専業主婦でしたが、仕立ての訓練を受けてミシンを買い、家で仕事をするようになりました。その結果、家計収入が2倍になりました。
「子どもの文具を買えるようになったので、子どもが学校に毎日通うようになりました。夫も喜んでいます。自分は学校へ通ったことがなく読み書きはできませんが、子どもがきちんと勉強しているか時々学校へ見に行っています。」とうれしそうに話してくれました。
今後の活動について
既にプロジェクトは住民に引き継がれています。今後は随時コミュニケーションをとって、必要に応じて側面的なサポートを行っていく予定です。
今後も活動が持続し、住民が一緒に力を合わせて、自ら問題を解決していけるようになることを願っています。
- カテゴリー:子ども・若者支援
- 投稿日:2010.01.12