ガーナの子どもたちがおとなたちを動かした! | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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ガーナの子どもたちがおとなたちを動かした!

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スマイル・ガーナ プロジェクトを最初にはじめた村は、郡のはずれにある人口600人程度の小さな村です。プロジェクトが始まる前は、小学校では先生の数が足りず、1人の先生が2つの学年を教えていたり、中学校が村にないため、小学校を卒業すると、子どもたちは1時間以上歩いて隣村の中学校に通わなくてはならない状況でした。

プロジェクトをはじめてから、行政との連携を進める中で、郡の教育局に村で中学校の開設を要望しました。その結果、教育局の承認が下り、2009年9月から村の中学校がはじまりました。

最初にはじまった中学1年生のクラスで勉強する子どもたち中学1年生のクラスでの授業の様子(2010年1月撮影)

村に中学校はできたけれども・・・

スマイル・ガーナ プロジェクトを通じて、先生の人数が増えるなど、教育環境が少しずつ改善されてきました。おかげで、小学校に入学する子どもや中学校に進学する子どもたちが増え、プロジェクト前は200人に満たなかった全校生徒が、今では300人を超えるようになりました。

学校に通う子どもたちが増えたのは喜ばしいことですが、実は困ったことがありました。村に中学校の設置は認められたのですが、中学校の校舎はまだ完成していなかったのです。そのため、中学生たちは、小学校の教室を間借りしてずっと授業を行っていたのです。そのため、小学校の2つの学年がひとつの教室を合同で使って授業をしなければならなかったり、幼稚園が一時お休みになることもありました。

小学生が村長へ中学校の建設を訴えた!

この状況を小学生の子どもたちはずっと我慢してきましたが、ついに子どもたちが立ち上がりました。小学校の子どもたち全員が村長の家まで行き「教室を増やしてほしい!」と改善を求めたのです。

スマイル・ガーナ プロジェクトでは、子どもたちが”子どもの権利”について学び、学校や家庭で直面する問題について子どもたち自身が話し合い、解決策を提案する場として「子ども権利クラブ」を学校に設けています。子どもたちは、毎週金曜日にミーティングを開いて、子どもたちが休まず学校に通うためには何が必要かなど、テーマを決めて学校の問題について話し合っています。※日本の”生徒会”に近いものかもしれません。

2011年10月のミーティングで話し合われたのが「教室不足」の問題でした。子どもたちは「学校の教室を増やしてほしい」と村長に直接訴えることを決め、みんなで村長の家に向かったのです。

村の開発委員会の自宅前で学校の環境整備を訴える子どもたち

学校の環境整備を訴える子どもたち(2011年6月)

子どもたちの訪問と訴えを受けた村長のナナさんは「みんなとても真剣だったので、要求に応えなければいけないと感じた。」と、小学生のみんなに中学校の仮校舎を作ることを約束してくれました。その後、2011年10月に村を訪ねた時には、村のおとなたちが木材を運び込み、中学校の校舎の骨組みを作っていました。

2011年6月にも子どもたちは、雨が降ると教室に泥が流れてくる問題への対応として、村の開発委員会のリーダーの家を訪ね、今回と同様に学校環境の改善を訴えました。

日本のわたしたちが学べること

中学校の仮校舎の建設に取り組む村のおとなたち

中学校の仮校舎の建設に取り組む村のおとなたち

子どもたちがおとなを動かしたこのエピソードから、日本に住むわたしたちも学ぶべきことがたくさんあると思います。

子どもたちが自分たちの状況を把握し、問題点に気づき、改善に向けての方策を考え、それを行動に起こす力を身につけたこと。そして、村の人たちが子どもたちの声(要望)をきちんと受け止め、自分たちの手で解決策を実行していく力をつけたことを示しています。

おとなたちが力をあわせて仮校舎を作っている姿を見た時、子どもたちのために親や地域の人たちが協力する絆が村で生まれていることを実感し、とてもうれしくなりました。

日本でも東日本大震災後、学校での放射線の除染や通学路の安全の確保におとなが協力して実行する姿が報道されました。親や地域が子どもを思う気持ちはどの国でも変わらないとは思います。社会が一体となって子どもたちの声を聞き入れ、子どもたちにとって住みよい社会にしていこうという取り組みは、日本では必ずしも進んでいるとはいえないと思います。ガーナの子どもとおとなたちから、日本のわたしたちが見習うことがたくさんあると実感しました。

報告:事務局長 白木 朋子

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  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2012.03.07