【開催報告】6/18 院内セミナー 「日本にもある児童労働~ SDG 8.7達成に向けてアクションを!~」
【開催報告】6/18 院内セミナー 「日本にもある児童労働~ SDG 8.7達成に向けてアクションを!~」
ACE主催としては初となる議員会館内でのセミナー「日本にもある児童労働~ SDG 8.7達成に向けてアクションを!~」を2018年6月18日(月)に開催しました。55名もの方にお集まりいただき、日本の児童労働問題への関心の高さを感じました。ご参加、ありがとうございました。
児童労働とは?ACEとは?
日本に児童労働はあるの?
続いて、日本での児童労働の状況について調査を担当しているACEの太田まさこから中間報告をしました。日本における児童労働の定義、規模、形態、要因について説明し、課題を指摘しました。児童労働とは、満15歳になるまで(中学校を卒業前)に働くこと、18歳未満で危険で有害な労働に従事することです。児童労働にはさまざまな形態があり、危険有害な労働には、人身取引、児童ポルノ、JKビジネス、援助交際、建設業などが含まれます。就労可能な年齢でも18歳未満は午後10時から翌日の午前5時まで働かせることなどは、児童労働とみなされます。しかし、児童労働者数について公的データは発表されておらず、その実態は明らかにされていません。
さらに、児童労働に陥るリスクに配慮が必要な子どもたちもいます。無国籍・外国籍の子どもが工場で働いていたり、不登校から非行傾向になった子どもが建設現場で働いている最中に死亡した事故も起こっています。貧困、虐待・ネグレクト、いじめ、不登校、中途退学、自傷行為など、現在子どもたちが直面している多くの課題が、児童労働につながっていく可能性があります。
日本の児童労働を無くすために、ACEは実態調査の継続実施、意識啓発、子ども・若者のエンパワーメントなどの活動を計画しています。
働く子どもたちの背景と直面している課題
- 琉球大学教授、上間陽子先生から「沖縄の未成年の女性たちの働く場所—ふたつの調査から」というタイトルで、ビデオメッセージをいただき、繁華街で働く10代の女性の背景、現状、抱えている課題などをお話いただきました。
- NPO法人ライトハウスの坂本新事務局長から「商業的性的搾取に組み込まれる子どもたち」というタイトルで、アダルトビデオへの出演強要、風俗産業での売春強要、JKビジネス、児童ポルノで被害にあった子どもたちの事例についてご紹介いただきました。
- 首都圏青年ユニオンの原田仁希執行委員長から、「高校生のブラックバイト」というタイトルで、ブラックバイトの背景と特徴に続き、高校生だから時給を下げられた、辞めさせてもらえない、などの事例をご説明いただきました。
SDG 8.7達成に向けてACEからの提言
最後に、ACE代表の岩附より、SDG 8.7「2025年までのあらゆる形態の児童労働の撤廃」を日本で達成するために、次の7つの提言をしました。
- 最悪の形態の児童労働撤廃のための行動計画の策定
- 児童労働問題を一括して所管する部署の設置
- 児童労働の実態調査の実施と対策の推進
- 児童労働の被害者の保護とケアの提供
- 児童労働に関する法令違反への厳罰化
- 企業のサプライチェーンにおける児童労働とそのリスクの特定
- 児童労働問題に対する意識啓発
参加者からのコメントなど
日本の児童労働調査のアドバイザーを務めていただいている早稲田大学の喜多明人教授と児童労働ネットワークの堀内光子代表、厚生労働省の代表者、国会議員の方々などからコメントをいただきました。
アンケートでは、「そもそもここまで日本に“児童労働”があったのか、と驚きでした」
「詳しい調査結果をありがとうございました。勉強になりました」という声や、自分ができるアクションについても書かれていました。「児童労働を無くすために、連携していきましょう」「児童労働の現状をより多くの人たちへ広めていきます」
学生、会社員、NPO職員、政治家、政府官僚、メディアなどさまざまな立場の方に日本の児童労働問題について理解を深めていただき、日本で児童労働を無くしていかなければならないという共通認識ができたと思われます。調査報告書の発行は9月頃を予定しています。引き続き、ACEへのご支援をよろしくお願いします。
最後になりましたが、ご後援、並びに会議室のお手配などご支援いただきました石橋通宏議員(事務局長)をはじめとするILO活動推進議員連盟の皆様に、感謝申し上げます。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2018.06.18