【インド便り】「子どもは花のような存在だから、摘みとってはいけない」
こんにちは。子ども支援事業インド担当の田柳です。
ACEと現地NGOのSPEEDは、インド・テランガナ州のコットン生産がさかんな地域で、子どもたちが児童労働から抜け出し、学校へ就学することを目指して「ピース・インド プロジェクト」を実施しています。
多くの子どもたちが学校に通うようになり、プロジェクトスタッフから住民に「児童労働のない村」をつくる活動を引き継ぐ「引き継ぎセレモニー」を2018年4月に実施した村に住む、モニカさん(仮名/11歳)の家を訪問してきました。 (引き継ぎセレモニーの様子はこちら) 。
モニカさんは以前は学校に行かず、畑を持たない日雇い労働者である両親と一緒にコットン畑で働いたり、農作業をすることができない乾季は仕事を得るために、村から離れた都市に滞在していました。
昨年の8月に住民グループ「子ども権利保護フォーラム」のメンバーとともに家庭訪問を行った時は、私たちが話しかけてもなかなか言葉を発さず、じっと相手の顔を見つめているだけでした。
その後、子ども権利保護フォーラムのメンバーの働きかけでブリッジスクール(公立学校に就学するための補習学校)に通うようになりました。働くことなくブリッジスクールに通い続け、モニカさんは今年、公立学校の7年生に編入しました。
ブリッジスクールと学校に通うようになって、モニカさんは少しずつ変わっていきました。
今回私がモニカさんの家を訪問した時は、モニカさんは自分の言葉で、そして時おり笑顔を見せながら会話をするようになっていました。
学校の勉強についていくことは大変ですが、それでも学校生活を楽しんでいるそうです。
モニカさんは、
今は暑い畑で1日中働かなくていいのが嬉しいです。熱が出たり、頭が痛くなることもなくなりました。学校では友達と一緒にカバディをすることが1番楽しいです。
(カバディ=インドの国技であるスポーツ。)
と話しています。
今でも口数は多くはありませんが、それでも会話をしていて、モニカさん自身の考えや、気持ちを私に伝えようとしてくれていると、感じることができました。
やっと、本来のモニカさんに会うことができたような気持ちになりました。
今ではモニカさんの妹のシャラダさん(7歳)も、1年生として学校に通っています。
2人のお母さんであるサロージャさんは、
私たちの家族は、親の代も祖父母の代も、みんな学校に行っていなかった。家族みんなにとって学校に行かないことが普通だったのよ。
でも、今は娘が教育を受けるようになった。これまでのことが変わった。
最近は子どもたちが学校で習ったことを話してくるの。私も、社会でなにが起きているか知りたいと思うようになったわ。
と話してくれました。モニカさんたちの変化が、お母さんのことも変え始めているようです。お父さんのマルダカルさんも、「モニカは物事を考えるようになったと思う」と話しています。
プロジェクトでは、村の中でポスターや看板などを活用して児童労働をなくすための意識啓発も行っています。そこには、
「子どもたちは花のように大切な存在だから、働かせることでその輝きを摘みとって、台無しにするようなことはあってはいけない」と書かれています。
子どもたち1人ひとりがつみ取られることなく、自分の意志で自分の花を開くことができる社会の実現を目指し、今後も現地スタッフや、村の人々と共に働きかけを行っていきます。
子ども支援事業インド担当 田柳優子
インドの子どもたちを笑顔にするために
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- カテゴリー:子ども・若者支援
- 投稿日:2018.07.20