「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書」に対してパブリックコメントを提出
「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書」に対してパブリックコメントを提出
『ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組の実施』 が、2011年の国連人権理事会において全会一致で支持されました。この指導原則は、①人権を守る国家の義務、②人権を尊重する企業の責任、③救済措置へのアクセスという3つの柱から構成されています。企業による活動が人権に与える影響に関して国家の義務と企業の責任を明らかにし、人権侵害の被害者を救済するための仕組みづくりの必要性について述べられています。
2014年の国連人権理事会の決議で各国政府に「国別行動計画」を策定することが奨励され、すでにイギリス、オランダ、アメリカ、コロンビア、チリなど21か国が策定しました。日本は2016年に策定することを決定しました。2018年3月から8月の間「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ」の一環として、「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会」が開催され、第3回「労働(児童,外国人労働者(外国人技能実習生を含む))」では、ACEも意見を述べました。
2018年12月に、「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書:ビジネスと人権に関する国別行動計画策定に向けて」が発表され、この行動計画に盛り込むべき優先分野・事項についての意見募集がありました。
ACEは参加している「ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム」から、およびACEからもパブリックコメントを提出しました。ACEは、次の3点について「国別行動計画」に盛り込むように要望しました。
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ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書を踏まえた、ビジネスと人権に関する国別行動計画に盛り込むべき優先分野・事項に対する意見
1.公共調達(指導原則I 国家の人権を保護する義務) 政府調達手続きにおいて、人身取引、強制労働、児童労働を使用した物品および役務の調達を禁止し、契約者に対して労働環境、苦情処理体制、違反行為への罰則などを含むコンプライアンス計画を策定するように求める法律の制定
2.企業が人権についての社会的責任を推進するための取組み(指導原則II 人権を尊重する企業の責任) 企業が、人権尊重へのコミットメント、事業における労働者の人権順守、そのための行動、評価、情報開示を求める法律の制定
3.国内の児童労働を無くすための取組みの強化(指導原則III 救済へのアクセス)
①あらゆる形態の児童労働を取り締まるための包括的な法律の制定
②最悪の形態の児童労働を撤廃するための国家行動計画の策定
③児童労働を一括して所管する部署の設置
④児童労働の実態調査の実施と対策の推進
今後、「国別行動計画」に含める優先分野が特定され、策定されていきます。ACEは引き続き、児童労働に関連して重要な分野や事項が盛り込まれるように、政府に働きかけていきます。
皆様の、ご支援・ご協力をよろしくお願いします。
参考資料
(1)ビジネスと人権に関する指導原則:国連「保護、尊重及び救済」枠組の実施(仮訳)
(2)ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書
(3)外務省 人権外交/ ビジネスと人権
(4)ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2019.02.05