【インド便り】休校が続く活動地の子どもたちの教育状況 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【インド便り】休校が続く活動地の子どもたちの教育状況

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こんにちは。インド・プロジェクトマネージャーの田柳です。
子どもを労働から守り教育を支援する「ピース・インド プロジェクト」をACEは2010年からインド・テランガナ州のコットン生産が盛んな農村地域で行っています。

プロジェクトを行う地域には、2020年3月25日からインド全土で開始されたロックダウンで休校になって以降、約1年が経つ現在も1度も学校に通えていない子どもたちがいます。

休校により広がるインド国内の教育格差

2020年世界では新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休校により90%の児童・生徒が学校に通えなくなりました。また、ユネスコ(国連教育科学文化機関)のデータによると2021年1月末の時点で8億人以上の子どもが学校の完全休校または部分休校により教育の中断に直面し続けています。この数は、世界の子どもの就学人口の半数以上にあたります。

インドは2020年3月のロックダウンに伴い休校が全土で行われました。学校閉鎖期間の対応は学校により大きく異なり、都市部の私立学校などではオンラインによる授業が教員により迅速に開始された学校もありましたが、農村部などでは子どもたちへの休校中の過ごし方などの案内もなく急に休校に入ってしまった学校も少なくありませんでした。国や州政府はオンライン授業の整備を進めましたが、特に農村部では授業を受けるためのインターネット環境や機器の不足から子どもたちは十分にそれらを活用することができていません。インターネットの接続が困難な子どもたち向けにテレビやラジオでの授業も放送されましたが、たとえ視聴することができても一方的に進んでいく授業にサポートなくついていくことは子どもたちにとって容易でなく、活動地でもあまり活用されていませんでした。

子どもたちはいつまで続くかわからない授業の停止に不安を感じ、1人の子どもの父親のスマートフォンなど限られた機器で授業を受けるために近所の子どもたちが集まり、密集することをおとなに怒られたりしていました。

このような背景から、この1年でインド国内でも教育の格差が広がりました。また、学校という居場所がないことや家庭の経済的理由から、児童労働や児童婚のリスクは高まっています。

学校の再開は段階的に行われるも、1~5年生の休校は続く

2020年10月中旬まで続いた全土閉鎖は、以降は解除され各地の感染状況等を考慮した各州政府の判断により学校再開ができるようになりました。活動地のあるテランガナ州は段階的に中等学年である9、10年生(13~15歳)の対面式授業を再開しましたが、再開された学校で教員や生徒に陽性者が出たため、再び州全体で休校となってしまいました。

休校中の子どもを家庭訪問する様子

休校中の子どもを家庭訪問する様子

その後再び9、10年生の授業が再開され、今月(2021年3月)からは上級初等学年6~8年生(10~13歳)の授業再開が予定されています。授業再開を待つ子どもは、「本当に待ちきれない、早く学校で友達と遊びたいし、学年末の試験の勉強をしたい」と話しているそうです。

しかしその一方で、授業が再開された後も感染を心配し子どもを学校に通わせない保護者も少なくありません。また、感染予防が難しいという理由から初等学年1~5年生(5~10歳)は現在の学年の年度中に学校が再開されることはないだろうと言われています。
休校前から学校に通わず働いていた子どもに関しても、労働をやめたあと就学する先がないと、働かない状態が定着しないという課題があります。

プロジェクトで家庭訪問や学習サポートを実施

児童労働をしていた女子のグループとの話し合い

児童労働をしていた女子のグループとの話し合い

プロジェクトでは活動を行う3村でこれまでの間、家庭訪問による児童労働の防止、家での学習・過ごし方や精神面のフォロー、家庭学習用品の配布の他、少人数で集まることが許可されるようになってからは小グループでの学習サポート、精神的リラックスを目的としたゲームやスポーツの実施などを行ってきました。今月からはブリッジスクール(正規の学校への就学を目的とした補習学校)の再開も予定しています。

家庭学習用に教材や読み書きができない子ども向けにぬり絵帳などを配布

家庭学習用に教材や読み書きができない子ども向けにぬり絵帳などを配布

 

またプロジェクトスタッフだけでなく地域住民、特に18~25歳の若者が一緒に村の見回りや家庭訪問を通じて子どもの生活のサポートを行ったり、学校に通っていた若者は近所の子どもの先生となって勉強を教えるなどの活動を行っています。

ブリッジスクールの建物で住民向けに感染症への対応啓発を実施

補習学校の建物で感染症への対応方法を啓発

それでも、学校やブリッジスクールで学ぶ学習量には満たず、子どもの保護者たちによると「休校になってから子どもたちは文字の読み方や書き方を忘れがちになっている」「起きる時間など生活のリズムが乱れている」など子どもを心配する声が聞こえます。また、「日中子どもだけで家に残していくのが不安なので畑仕事に連れていっていて感染が心配」と話す保護者も多くいます。仕事場に子どもが行くことは労働につながるリスクもあるので引き続き防止を働きかけていきます。

日本からのスタッフの現地渡航は行えていませんが、オンラインでの協力体制の中、現地スタッフの尽力で活動を続けられています。
引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします。

インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

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  • カテゴリー:お知らせ
  • 投稿日:2021.03.10