【インド便り】一度は再開したブリッジスクール、5月から再び休校へ
こんにちは。インド担当スタッフの田柳です。
いつもACEの活動へあたたかな応援とご支援をいただきありがとうございます!
ACEは、インドのコットン生産がさかんな地域で現地パートナー団体SPEEDとともに児童労働から子どもを守り教育を支援するピース・インド プロジェクトを行っています。
ニュースなどでインドの新型コロナウイルスの感染拡大の様子を目にされる方も多いかと思います。5月上旬には1日の新規感染者数が40万人を超える日があり、約3週間が経つ現在でも多くの州でロックダウンが行われています。活動を行うテランガナ州も現在ロックダウンが継続して行われており、人々は不安を抱えながら生活する日々が続いています。
一度は再開された学校やブリッジスクール
3月上旬に掲載した前回のインド便りでは、家庭学習を支援する活動や、3月中旬からブリッジスクール(プロジェクトで運営している、公立学校への就学を支援するための補習学校)が再開予定であることをお伝えしました。
3月中旬、予定通りブリッジスクールは再開することができ、約1年ぶりに子どもたちがブリッジスクールに帰ってきました。
休校中、家庭訪問を通じた子どもたちのサポートを行ってきたスタッフたちは、子どもたちに会う度に「いつブリッジスクールは再開するの?」と聞かれてきました。それぐらい子どもたちに待ち望まれた学校生活の再開です。現地スタッフとのビデオ通話を通じてですが、子どもたちはマスクをしていても伝わってくる満面の笑顔でいっぱいでした。マスクの着用や、グループを分けての学習や遊びなど制限もあり、以前と異なる部分はありますが、久しぶりに友達と過ごせる時間に安堵しているようでした。
再開されたブリッジスクールの様子
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ブリッジスクールでの授業
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マスクをして授業を受けます
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大人気のボードゲーム
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ハンカチ落としのような遊びを楽しむ子どもたち
「ブリッジスクールが再開して、勉強できるのが1番嬉しい!」
アーシャさん
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アーシャさん(中央)
3月中旬に再開されたブリッジスクールに通うアーシャさん(13歳、仮名)にオンラインでつなぎ話を聞きました(4月中旬)。
ブリッジスクール休校中は、弟のマヘシュさん(11歳、仮名)とともに毎日家にいて、飼っている鶏の世話をしていたそうです。
また、プロジェクトから受け取った家庭学習キットを使って勉強もしていました。公用語であるテルグ語や英語の単語をアーシャさんが練習したノートなどを見せてくれました。
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自習ノート
アーシャさんの親は学校に行ったことがないため、子どもの勉強を見ることができません。家庭訪問するプロジェクトスタッフやボランティアメンバーだけではフォローが追い付かず、家庭学習がうまくできない子どももいる中で、アーシャさんはしっかり自習ができていて、本人の頑張りが伝わってきました。
「今は家の外に出られるけど、村の中だけしか許されない。前は別の村の人にも会えたのに、会いたい人に会えず、安心して生活できず、寂しい。悲しい。どうして新型コロナウイルスは私たちのところにきてしまったんだろう。でも、家の外で近所の友達と会えるようになっただけでも今は嬉しい。」とアーシャさんは話していました。
レヌカさん
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レヌカさん
レヌカさん(12歳、仮名)も、再開したブリッジスクールに通う子どもの1人です。
レヌカさんは10歳まで一度も学校に通ったことがなく、親の持つコットン畑で働いていましたが、プロジェクトスタッフからの働きかけで2019年からブリッジスクールの生徒になりました。
そんな彼女は、「ブリッジスクールが再開して、勉強できるのが1番嬉しい!」と話してくれました。
また、ブリッジスクールでは友達みんなと過ごせる雰囲気があり、とても居心地が良いそうです。休校中は家で過ごす毎日で、学校がないため再び畑で働くこともあったそうで、ブリッジスクールがずっと恋しかったと話していました。
5月中旬からロックダウン、再び休校に
彼女たちへのインタビュー後、5月12日から活動地のあるインド・テランガナ州でロックダウンが実施され、ブリッジスクールも再び休校とせざるを得なくなりました。
ロックダウン下でも、訪問回数を減らしつつも現地スタッフの村での活動は継続できており、住民ボランティアと協力しながら子どもの状況を把握し、児童労働の防止などに努めています。
あんなに喜んでいたのに、再び家の中で過ごさざるを得なくなった子どもたちのことを考えると、もどかしく、胸が締め付けられる思いがします。
特に、ブリッジスクールに通う子どもたちは、多くがそれ以前は働いていた子どもたちです。児童労働から抜け出して友達との勉強や遊びの時間を過ごせるようになったのに、再びそれが許されない状況になってしまっています。
人生や社会に諦めを感じて欲しくない
一度は「私も諦めなくていいんだ」と希望を感じた子どもたちが、新型コロナウイルスの影響で「やっぱり無理なのか」と人生や社会に諦めを感じるような状況にはしたくないと思い活動を行っています。
現地スタッフたちも日々感染リスク対策をしながら懸命に働きかけを行っています。
いま、子どもたちはつながりを欲しているように感じています。プロジェクトでも精神的な支えを意識し、子どもたちの不安を少しでも軽減し、安心して生活できるようサポートを行っていきたいと思います。
引き続きの応援を、どうぞよろしくお願いいたします。
インド・プロジェクト マネージャー田柳優子
インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2021.05.27