G7広島サミットへの政策提言

G7広島サミットへの政策提言

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日本は議長国として、G7広島サミット(主要7カ国首脳会議)を2023年5月19日から21日まで開催します。また、4月から12月までの間に各地で15もの関係閣僚会合も行われます。ACEは国内外の市民社会組織と連携して、G7首脳、労働雇用大臣、貿易大臣などに政策を提言しています。

ACEは、C(Civil)7 2023やG7市民社会コアリション2023などの市民社会組織のネットワークなどを通じて、持続可能な開発目標8、ターゲット7(SDG 8.7)に含まれる「2025年までの児童労働撤廃」をめざして、特に次の3点についてG7に対して要請しました。

1.国際的な労働基準の順守
すべてのILO(国際労働機関)加盟国によって、ILOの中核的労働基準と強制労働条約の議定書が批准されるように推進し、特に開発途上国における労働基準に関する法執行を国際協力を通じて強化すること

2.児童労働撤廃のための国家行動計画策定
すべてのILO(国際労働機関)加盟国が批准している「最悪の形態の児童労働に関する条約」(ILO第182号)において批准国に求められており、第5回児童労働撤廃世界会議の成果文書「ダーバン行動要請」でも確認されているように、児童労働撤廃のための国家行動計画を策定すること

3.児童労働撤廃を含む人権デュー・デリジェンスの法制化
人権への影響の特定、評価、対応を行い、関係するステークホルダー(個人、労働者、コミュニティ、市民社会組織など)と連携し、労働者のための内部通報制度、影響を受けた個人やコミュニティの外部通報制度などを含む、義務を伴う人権デュー・デリジェンス法を採択すること

 

これらの政策提言は、ACEが活動に参加したグローバルなネットワークからの政策提言書に含まれています。

Civil 7(C7)による政策提言

G7サミットへ政策を提言する公式な「エンゲージメント・グループ」が7つあります。Civil 7(C7)はそのひとつで、世界のNGOなどの市民社会組織から構成されています。ACEはC7に参加し、児童労働に関連が深い2つのワーキング・グループ、
①「公正な経済への移行」(Economic Justice and Transformation)と
②「人道支援と紛争」(Humanitarian Assistance and Conflict)で
政策提言書の作成にかかわりました。この政策提言文書をC7はG7の議長国首脳に毎年手渡します。

またACEは、日本でG7各国政府に働きかけることを目的とするネットワーク「G7市民社会コアリション2023」にも参加しています。

C7 2023による政策提言書

以下Civil 7のウェブサイト「Recources」のページ内「CIVIL7 COMMUNIQUÉ」のセクションにて、日本語版・英語版ともに掲載されています。

Civil 7|Recources

日本語版:「C7 Communique 2023 (in Japanese)」
英語版:「C7 Communique 2023」

「公正な経済への移行」(Economic Justice and Transformation)

ビジネスと人権/労働[14ページ]
「民間や国が課す強制労働が絡んだ製品に対して輸入規制を導入・強化したり、その規制逃れに対処したりするなど、児童労働と強制労働を根絶するために行動をとること」

※ACEは、この部分のドラフト作成委員会のメンバーとなり、文書を作成しました。他のメンバーの同意を得て、児童労働撤廃への取り組みを要請事項のひとつに入れることができました。

「人道支援と紛争」

緊急時での教育を優先する[23ページ]
「学校は、単なる教育機関ではありません。学校と学習環境はどちらも、危機の際に子どもを守り、子どもの命を救うものです。子どもが安全に学び、遊べる場を提供するとともに、児童労働、性的虐待や性的搾取、軍・武装勢力への勧誘といったさらなる暴力から子どもを守ります」

※ACEは、学校へ通っていないことで子どもたちに起こるリスクのひとつとして、「児童労働」の追加を提案し、取り入れられました。

Civil 7(C7)とLabour(L7)による共同声明

G7サミットへ政策提言する公式な「エンゲージメント・グループ」である、Civil 7とLabour 7は、労働雇用問題に特化した共同声明を発表しました。

ACEは、Labour 7の事務局と共に文書を作成し、2023年4月22・23日に開催されたG7倉敷労働雇用大臣会合に先立って発表し、労働雇用大臣会合でCivil 7の代表としてスピーチを行いました。

以下Civil 7のウェブサイト「Recources」のページ内「CIVIL7 STATEMENTS」のセクションにて、日本語版・英語版ともに掲載されています。

Civil 7|Recources

日本語版:「Joint Statement of the Civil Society 7 and the Labour 7 (21 April 2023)」
英語版:「Joint Statement of the Civil Society 7 and the Labour 7 (in Japanese) (21 April 2023) 」

→こちらもご覧ください
Civil 7ウェブサイト: https://civil7.org/news/726/
ACEお知らせページ: https://acejapan.org/info/2023/04/348913

ビジネスと人権に関する声明に賛同

「公正な経済への移行」ワーキング・グループの中のサブ・グループ「ビジネスと人権と労働」で活動しているなかで、ビジネスと人権に関する法制化を要請する声明に賛同しました。

NGO Joint Letter Requesting the Establishment of a Mandatory Due Diligence Law and Other Legal Measures to Ensure Human Rights Due Diligence (英語)
(人権デュー・デリジェンスを保障するための義務を伴うデュー・デリジェンス法やその他の法的措置を要請するNGOからの共同書簡)

 

広島でのG7首脳会議は5月に終了しますが、その後も貿易大臣会合などが開催されますので、引き続きG7に対する政策提言活動を行っていきます。

これからも、みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いします!

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2023.05.18