【開催報告】第17回ACE交流サロン SDGsアワード受賞記念特別回「事業のダイナミズムを生む組織の在り方」

【開催報告】第17回ACE交流サロン SDGsアワード受賞記念特別回「事業のダイナミズムを生む組織の在り方」

Pocket
LINEで送る

2023年9月29日、「事業のダイナミズムを生む組織の在り方」と題して、第17回ACE交流サロンを開催しました。

ACEは同年3月、団体設立25周年という節目の年に、 SDGs達成のために優れた取り組みを行う団体等を表彰する「第6回ジャパンSDGsアワード」の「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞しました。

今回のACE交流サロンは〈SDGsアワード受賞記念特別回〉として、パネリストに「第4回ジャパンSDGsアワード」で内閣総理大臣賞を受賞された株式会社UPDATER(旧みんな電力(株)、以下UPDATER)の代表取締役 大石英司氏を、モデレーターに株式会社オウルズコンサルティンググループの若林理紗氏をお迎えし、ACE代表の岩附と共に事業や組織のつくり方、企業とNPO/NGO協働でのルール・メイキングについて両社の事例を交えながらお話しました。

両社の出会いと連携

写真左:大石英司氏、右:岩附由香

ACEとUPDATERの両社の経営者同士が日本エシカル推進協議会をきっかけに知り合い、互いの活動を「面白そう」と思うところから交流が始まりました。

ACE法人会員としての寄付者・被寄付者の関係を超えて、「顔の見える化」のツールとしてブロックチェーン活用を強みにもつUPDATERと、両社で児童労働のないバッテリー*製造実現に向けた基礎研究や、児童労働のないサプライチェーン構築のためのブロックチェーンの活用方法を探求し、消費者からの寄付金の行く先をブロックチェーンを用いて見える化した「タドれるチョコ」の共同開発などもしています。

*バッテリーに使用されるリチウム電池の原料コバルトの採掘現場には児童労働があると確認されています。

コンセントの向こうにある顔

「水にも、服にも、チョコレートの原料カカオにも産地があります。電気にも産地があります」と大石氏は言います。

家庭から出るCO2の約半分が電気によって占められている、ということは、逆に、家庭で使う電気を再生可能エネルギーに変えることでCO2削減に貢献することができ、加えて電気の生産者を選ぶことによって地域創生にも貢献できる、これがUPDATERの事業を動かす大石氏の考えです。

アワード受賞時も電気のトレーサビリティーを可視化したことが評価されたUPDATER社ですが、創業のきっかけは、地下鉄内でソーラー付きキーホルダーを見かけ、「だれでも電気をつくれる」ことに気が付いたことだったと語りました。

社会課題の解決よりも、「顔を知っている人から電気が買えたら面白そう」と思った自分の興味関心が自身を動かした、とお話しされました。

事業の発展を支える組織とは

次に岩附から、ACEの組織改革の軸に置いている「学習する組織」についてお話ししました。

「事業をいくら頑張っても結果が出ない」組織全体の疲弊期間を経て、「組織をつくるのは人である」という考えから、職員同士の“関係性の質”を高めることに組織づくりの軸をシフトしました。

「学習する組織」としての組織の在り方をベースに、ACEは現在進行形で「ボスは(組織の)パーパス」(※ボスは上司ではなく、組織のパーパス・ステートメントであるという考え)とするティール組織への変革を試みています。

職員の一人ひとりがやりがいそしてチームとしてのつながり、主体性を高い水準で保つことができる環境づくりと、組織内外部の変化に敏感に気づき機会を捉えるなどの「今」にフォーカスし反応して動ける、変化し続ける組織づくりを大事にしていると共有しました。

会場にいたACEの職員からも、「正直、ティール型の組織運営が導入された当初は動揺したものの、今まで自分の中に抱えていたものを吐き出す場がなかったが、それを共有することができる場が定期的にあるので、程よい責任感を自分自身に意識づけることができている」などリアルな声も共有されました。

ルールがないところにルールを創る

後半では、企業がルール・メイキングに関わる事例や企業とNGOのルール・メイキングにおける協働事例をお話ししました。

まず大石氏からは、「社会課題は一種のブームのようなもので、その中にはイノベーターとマーケターがいる。真の意味のイノベーターとは、ただ単に他のイノベーターに従って乗っかるのではなくて、ルールがないところからルール作りに携わる人ならびにそのルールを用いて社会課題の解決を目指す人である。東京にいながら、『遠いところで作られる電気を買う』という先進事例を、私たちは創り出した。」とお話いただきました。

児童労働撤廃に関するアドボカシー活動を長年続けている岩附からは、「海外では、NGOと企業が協力して社会課題の解決に向かい、例えば現在進行しているEUの人権デューデリジェンスに関する法案など、法案策定過程の提言を共に作成し政府に働きかける動きが当たり前である」と共有し、モデレーターの若林氏より「持続可能性を考えると、そこはソーシャルセクターとビジネスセクターが一緒になって活動することが大切ではないか。」というコメントをいただきました。

第17回サロンでは、UPDATERならびにACE両者のこれまでの経験から、事業を進めていく上で組織全体が生き生きとするような仕組みの導入と実践の可能性についてお話ししました。また、複雑な社会課題の解決のためには、企業や市民社会組織、行政などといったセクターの垣根を超えた協働が不可欠であるという認識の共有をすることができました。

サロン後には、UPDATER社内の「スナック再生」にて、さまざまな業界・業種からお集まりいただいた参加者の皆様の間で、和気あいあいとした雰囲気の中、意見交換や交流が行われました。ご参加くださいましたみなさん、ありがとうございました。

  • Pocket
    LINEで送る

  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2023.10.19