【登壇報告】HAPIC ブレイクアウトセッション 「ビジネスと人権の課題に対するコレクティブ・インパクトでの挑戦 ~ 政府、企業、NGOの強みを活かす連携のあり方とは」

【登壇報告】HAPIC ブレイクアウトセッション 「ビジネスと人権の課題に対するコレクティブ・インパクトでの挑戦 ~ 政府、企業、NGOの強みを活かす連携のあり方とは」

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2023年11月11(金)、東京にあるKFC Hall & Room(国際ファッションセンター)にて国際協力NGOセンター(JANIC)が主催する「HAPIC(ハピック)-HAPPINESS IDEA CONFERENCE」が開催されました。

分科会の一つとして、「ビジネスと人権の課題に対するコレクティブ・インパクトでの挑戦~政府、企業、NGOの強みを活かす連携のあり方とは」と題したセッションが開催され、カカオ・チョコレート産業における児童労働問題への解決に向けた取組を事例に、立場の異なるステークホルダーによる連携の実態について共有するとともに、今後の可能性について議論しました。

セッションには、連携の事例である「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」の事務局を務める独立行政法人国際協力機構(JICA)よりガバナンス・平和構築部法・司法チーム課長 山下 契さん、またプラットフォームに参加する株式会社ロッテ サステナビリティ推進部企画課長の飯田 智晴さんとともに、ACE副代表の白木 朋子も登壇しました。

「ビジネスと人権」の取り組みを政府の立場から推進している外務省総合外交政策局人権人道課企画官 松井 宏樹さんも加わり、認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾 雅隆さんのモデレーションの下、活発な意見交換を行いました。

カカオ・プラットフォームのステークホルダーがそれぞれの立場から発表を行う様子

 

カカオ・プラットフォームの設置とステークホルダーの連携

まずACEの白木から、ガーナのカカオ産業における児童労働の概要やこれまでの取り組み、国際的な動向について紹介しました。また、近年では、サプライチェーンを超えて各セクターが連携して社会システム全体にアプローチしていくことが求められているという現状を共有しました。こうした現状における対応として、カカオ業界では、いくつかの欧米諸国で、カカオ産業のサステナビリティに取り組むための連携の場としてのプラットフォームが立ち上がる動きが生まれ、日本でもJICAが主導する形でプラットフォームが成立。企業も含めた立場の異なるステークホルダーが連携しながら、課題解決に向けた取組が進められていることを説明しました。

次に外務省人権人道課の松井さんから、「ビジネスと人権」に関する日本政府の取組について説明があり、「ビジネスと人権」に関する行動計画に沿って、企業が人権デュー・ディリジェンスを実施すること、ステークホルダーが対話し、連携することの重要性について紹介されました。

ACE副代表・白木が世界のカカオ産業に関して説明する様子

続いて、ロッテの飯田さんからは、自社のサプライチェーンにおける児童労働を含む人権デュー・ディリジェンスへの取り組みの紹介に加え、人権への取組は企業にとって競争力や成長の源泉となり得ること、カカオ・プラットフォームに参加し、他社との連携を進めていくことを通じて、持続可能なカカオ・サプライチェーンの実現を目指していきたいとの意欲が語られました。

JICAの山下さんからは、世界中で複雑かつ複合的な課題が山積する中、JICAとしてグローバルに取り組む重要課題とその方針を「グローバルアジェンダ」として公表し、開発インパクトの最大化を目指して、多様な外部アクターとの協働・共創を追及していることが説明されました。その取り組みの一つとして、カカオ産業をサステナブルにしたいとの思いを持つ関係者が集まる場としてカカオ・プラットフォームを設置、参加者同士が協働することでインパクトを最大化し、企業や消費者の行動を変えていきたいという目標が語られました。

連携の課題と今後の可能性

次に、連携にかかる課題として、プラットフォームとしての共通の数値的な目標を掲げるなど企業各社の足並みを揃えることの難しさや、具体的な連携したアクションを実行していくことの難しさについて話が及びました。ACEは、今後の具体的なアクションとして、プラットフォームに参加する企業や政府のリソースが一体となって、ガーナ政府が現在推し進めている児童労働フリーゾーンの仕組み作りを支援することで、企業にとっても児童労働のないカカオが安定的に調達できるような好循環を創り出すことを目指したい、というビジョンを示しました。

最後に会場との質疑応答の時間があり、JICAがプラットフォームを立ち上げるのにACEからはどのような言葉掛けがあったのか、などの質問がありました。

まとめ

セッションでは、児童労働等の社会課題解決への世界的関心や、日本政府による施策推進を追い風としながら、JICA、NGO、企業のそれぞれの強みや目指すものが合流して大きな流れとなり、プラットフォーム設立につながったこと、それによって一つの組織ではできないことが可能となり、社会システムを変えていくことにつながっているということが、実感をもって語られました。中でも、それぞれの関係者が、目指したい社会の形という共通のビジョンでつながりながら、立場や組織を超えた一人の人間としてパッションをもって取り組んでいる姿が印象的でした。

登壇者の一員として、このセッションを通じて、参加者が様々なセクターにおける連携の可能性について考え、あるいはコレクティブ・インパクトの創出に向けた取組を前進させる機会となることを願っています。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2023.12.18