ACEの政策提言のひとつが実現~厚生労働省がアライアンス 8.7に加盟~
ACEの政策提言のひとつが実現~厚生労働省がアライアンス 8.7に加盟~
厚生労働省は2023年10月に、SDG 8.7達成を推進するグローバルなパートナーシップ、アライアンス 8.7(Alliance 8.7)にパートナーとして加盟しました。ACEが2021年から日本政府に働きかけていた政策提言のひとつが実現です!
アライアンス 8.7(Alliance 8.7)
アライアンス 8.7は持続可能な開発目標(SDGs)8.7「児童労働、強制労働、現代奴隷、人身取引の撤廃」達成のために、緊急に効果的な措置を行うグローバルなパートナーシップで、2016年9月にILOの主導で設立されました。①連携促進、②イノベーションの促進と成功事例の普及、③知識や情報交換のためのプラットフォームの提供を行い、国やパートナーを支援しています。
意思決定は、グローバル調整グループ(GCG: Global Coordinating Group)が行います。加盟国の中から構成されていて、現在は議長がチリ、副議長がコートジボワール、事務局はILOとなっています。
アライアンス8.7への加盟方法は2つあります。
①パートナー
政府、国連機関、国際機関、地域機構、使用者組織、労働組合、ビジネス、市民社会、研究機関、ドナーなど、世界の375の組織が(2024年1月現在)がアライアンス 8.7のパートナーになっています。
②パスファインダー国
パートナーのうち国連加盟国で、SDG 8.7達成のために児童労働撤廃にコミットし、他の国が学べるような新しいアプローチに挑戦し、新しいアクションを起こすことができる国は、パスファインダー国となることを申請し、グローバル調整グループよって選定されます。
アライアンス 8.7が設立された当初、パスファインダー国は開発途上国だけでしたが、2021年に先進国であるフランス、オランダ、ドイツも加わり、26か国となっています。
パスファインダー国になると、SDG 8.7達成のための国家行動計画を作成する必要があります。
テーマに分かれたアクション・グループ
パートナーはアクション・グループに参加できます。以前は、①サプライチェーン、②移住、③法の支配とガバナンス、④紛争と人道状況という4つのグループがあったのですが、現在はサプライチェーンと移住の2つになってるようです。
もちろん、ACEもパートナーとなり、アクション・グループ(「サプライチェーン」と「紛争と人道的状況」)に参加したり、ニュースレターに情報を提供したりしています。
日本政府がアライアンス 8.7に加盟するようACEが行った働きかけ
- 2021年2月
厚労省と外務省とミーティングを行い、アライアンス 8.7について説明するとともに、加盟を要請しました。 - 2021年5月
児童労働ネットワークが2018年に集めた72万筆以上の署名を加藤官房長官(当時)に提出する際に、アライアンス 8.7へパートナーとしての加盟を要請しました。 - 2022年4月
アライアンス 8.7の議長(当時はフランス)と外務省とのミーティングを設定し、日本がパートナーとなるための情報収集を行いました。 - 2023年2月(G7雇用作業部会)と4月(G7倉敷雇用労働大臣会合)
日本が議長国を務めたG7関連の会議の場で厚生労働省に働きかけました。労働雇用大臣宣言に、初めて「アライアンス8.7」が含まれました。
「我々は、また、アライアンス8.7を含むディーセント・ワークの推進への取組について、他国などにも広がるよう働きかけていく。」 - 2023年10月
厚生労働省がパートナーとして加盟しました。(G7の中でアライアンス8.7に加盟していなかったのは、日本とイタリアだけでした。)
また、厚生労働省はグローバル調整グループのミーティングにもオブザーバーとして参加し、ILOを通じた拠出金を活用して、児童労働撤廃について取り組みを進めていくそうです。
今後の活動
日本政府(厚生労働省)がアライアンス 8.7にパートナーとして加盟したことは、大きな前進です。さまざまな機会を捉えて、要請を続けていましたので、ACEの政策提言のひとつが実現して、たいへんうれしく思っています。
次のステップとしては、児童労働撤廃のための国家行動計画の作成です。これは、最悪の形態の児童労働条約や第5回児童労働撤廃世界会議の成果文書「児童労働撤廃のためのダーバン行動要請」でも、求められています。国家行動計画には、児童労働をなくすための国際協力だけでなく、日本の児童労働に対する取り組みも含まれなくてはなりません。
国家行動計画の作成については、ACEおよびACEが事務局を務める児童労働ネットワークが要請している政策提言のひとつです。さらに、アライアンス8.7のパスファインダー国になることも、働きかけていきます。
日本が、国内の児童労働を含め世界の児童労働撤廃をなくすために貢献していくために、引き続き政府に働きかけていきます。
これからも、みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いします!
世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2024.01.15