10歳児童らを建設会社で働かせた疑いで逮捕-改めて日本にもある児童労働の現状把握と対策を!-

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10歳児童らを建設会社で働かせた疑い

愛知県東海市の自立支援施設に入所する15歳未満の複数の少年を、自身が経営する建設会社で働かせたとして、労働基準法違反の疑いで、自立支援施設代表らが逮捕されました。

逮捕容疑は、昨年4月~今年3月、15歳未満の少年4人に廃材などの片付けをさせたり、油圧ショベルを運転させたりした疑いです(2024年5月15日報道)。

改めて、児童労働の定義について

本件について、報道関係者よりACEに児童労働に関する問い合わせがありました。

代表岩附より、児童労働の定義について、および、本件が労働基準法第56条(最低年齢)と第62条(危険有害業務の就業制限)に抵触し、年齢、労働の質という観点から児童労働に該当することを情報提供しました。

ACEから、児童労働についてすべての人に知ってもらうために

本件は明らかに児童労働に該当するにもかかわらず、報道関係者や市民のみなさんにとって、その定義や法令が正しく理解されていないこと、知らされていないことが改めて分かりました。

児童労働のない世界の実現をめざす組織として、ACEはこれまで、日本の児童労働の予防・啓発にも取り組んできました。具体的には、雇用主および高校生以上の子どもに対し、児童労働の観点から労働基準法などを説明した2種類のリーフレットを作成・配布し、これらの普及を行っています。

働いている子どもや働こうと考えている子ども向けリーフレット
「あなたのアルバイトは大丈夫?」

雇用主向けリーフレット
「あなたの職場で、年少者の労働環境が守れていますか?」

詳しくはこちら
児童労働から子どもを守るためのリーフレット配布開始

児童労働が日本に存在するにもかかわらず、その定義が広く知られていないことに危機感を募らせており、児童労働から子どもを守るために、今一度、より広く児童労働への理解、認識を深める必要があります。

子どもの権利を守る能力を高める

また、今回の事件で児童労働のみならず、同施設に関する子どもの権利侵害の恐れのある報道もありました。このことは、ひきこもりや不登校の子ども・若者への支援の在り方が、子どもの権利を保障し子どもの最善の利益のためのものであるか、という問いを、投げかけていると思います。

ACEは、子どもに関わる支援者・団体が、子どもの権利を尊重した支援ができることをめざし、子どもの権利や、子どもをあらゆる危害から守り安心安全な組織づくりのための子どものセーフガーディングの普及にも取り組んでいます。こうした取り組みが進むことにより、子どもに対する支援を意図した組織が、組織単位で子どもの権利を守る能力を高めることを目指しています。

参考資料:

関連する報道

15歳未満働かせた疑い、逮捕 自立支援施設代表ら、愛知・東海
2024年5月15日 11時57分 (共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/327197

10歳児童らを建設会社で働かせた疑い 東海市のひきこもり支援施設「粋塾」代表ら逮捕
2024年5月15日 11時49分 (5月15日 22時21分更新) (中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/898790

ACEウェブサイト内参考ページ

調査報告書「日本にも存在する児童労働」

児童労働入門講座

労働基準法

(最低年齢)
第五十六条 使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。

(危険有害業務の就業制限)
第六十二条 使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
2 使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。

最悪の形態の児童労働条約について

最悪の形態の児童労働条約(第182号)(1999年)

最悪の形態の児童労働勧告(第190号)(1999年)

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  • カテゴリー:お知らせ
  • 投稿日:2024.06.05