【開催報告】あなたにとってやさしいまちってどんなまち?~子どもの権利を知り、わたしらしさをみつけよう~

【開催報告】あなたにとってやさしいまちってどんなまち?~子どもの権利を知り、わたしらしさをみつけよう~

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こんにちは、ACEインターンのこなみです。

2024年4月6日(土)に、子どもの権利に関するイベント「あなたにとってやさしいまちってどんなまち?~子どもの権利を知り、わたしらしさをみつけよう~」をオンラインで開催しました。

ACEのインドやガーナでの活動紹介、日本の子どもの権利の推進、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の紹介、愛知県豊田市の事例紹介に加え、参加者からの事例紹介や日頃感じたモヤモヤを共有していただきました。イベントの後半では、グループに分かれて、「あなたにとって子どもにやさしいまち」とはどんなまちか話し合いをし、最終的に個人でやさしいまちづくりに大切なこと・自分にできること・おとなにできることをそれぞれ考えました。

このイベントが、自分らしさをみつけるきっかけや、今の自分でいいんだ思えるきっかけになっていたらうれしいです。

ACEの活動紹介

はじめに、ACEスタッフの田柳さんから、スマイル・ガーナプロジェクトの子どもを大切にしている地域づくりについてお話ししました。

スマイル・ガーナ プロジェクトの目的はカカオ生産や生活の向上、地域の安定を通して、子どもの教育と権利を守ることです。プロジェクトは、「子どもの保護と教育」「貧困家庭の収入向上」「地域の能力開発」の主に3つに分けられており、その中でも、今回のイベントと関連しているのは「地域の能力開発」です。

「地域の能力開発」は、
1.住民に対する意識啓発
2.児童労働モニタリングのシステム
3.行政との連携
4.子どもへの啓発、リーダーシップ育成

の順番で行われています。児童労働をなくすためにおとなと子ども両方に働きかけ、一時的ではなく児童労働がない状態を継続するために行政と連携をし、その地域がACEの支援に依存し続けるのではなく、自立していけるようにサポートをしているということを強く感じました。

日本の子どもの権利を推進する活動の紹介

つづいてACEスタッフの杉山さんから、子どもの権利の中でも特に大切されている4つの原則の説明と、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」についてご紹介しました。

子どもの権利とは、すべての子どもが健康的に、自分らしく育つために必要な「当たり前のこと」です。1989年に国連で、子どもの権利条約が定められ、子どももおとなと同様に1人の人間として、自分のことを自分で決める力があり、自分らしく成長することができ、自分で権利をもつことができる存在であるということが改めて確認されました。

また、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の子どもメガホンプロジェクトで実施した子どもの権利に関するアンケート(2023年9月~10月、回答者1410人)の結果についてもご紹介しました。

「あなたは、子どもの権利を知っていますか?」という質問では、子どもの権利の内容について知っているのは約4割の子どもだけということがわかりました。

「子どもの権利を守るために、地域の子どもたちのために働き、悩みを聞いて問題を一緒に解決してくれるオンブズパーソンやコミッショナーがいたらいいと思いますか?」という質問に対して、「はい」と回答した子どもは約6割いることがわかりました。

このアンケート結果から、子どもの権利を知らない子どもたちがまだまだいるということを再認識しました。そしてそれを知るために学校で学ぶ機会が欲しいと考えている子どもたちが多くいるということがわかりました。

アンケート結果はこちらから:提言書「子どもが権利を使うことができる社会をつくるために~子どもの声からの提言~」及び全国子どもアンケート結果報告書の公開

ユニセフ子どもにやさしいまちづくり事業の紹介

ユニセフが推進している「子どもにやさしいまちづくり事業」(以下、CFCI)について簡単に説明しました。CFCIとは、子どもと最も身近な行政単位である市町村等で、子どもの権利条約を具現化するまちづくりの活動のことを指します。

CFCIの実践自治体として、ニセコ町、安平町、富谷市、町田市、奈良市の5つが現在承認されていますが、実は愛知県、豊田市も候補自治体として、承認に向けて取り組んでいます。その活動の1つである、豊田市子どもにやさしいまちづくり推進会議は、豊田市子ども条例第28条に基づき平成20年7月9日に設置された審議会です。実際に私も令和5年度から参加させていただいています。任期は2年で開催頻度は半年に1回ほどです。

豊田市の事例紹介

つづいて、愛知県豊田市出身で実際に豊田市で行われている「子ども会議」の大学生サポーターや、「子どもにやさしいまちづくり推進会議」に私が参加して実際に感じたことや体験したことを、一緒に豊田市で大学生サポーターをしていたかっちゃんと対話形式で事例紹介をしました。

杉山(司会):豊田市子ども会議ってなんですか?

かっちゃん:豊田市子ども会議は子どもの意見や考えを聴くために開催される会議のことです。会議では小学校5年生から高校生までの「子ども委員」が決めたテーマ に関して調査や地域の中での体験を通して自分たちにできることを考え、取り組んだ内容を市長に発表しています。

杉山(司会):会議の議題や内容は子どもたちで考えているのですか?

こなみ:会議は市役所の方が主催しているので、その市役所の方々が事前に会議の内容を準備しています。会議の中でのグループワークなどを子どもたちがそれぞれ進めていくことはありますが、会議自体の司会進行は、基本的にはおとなが行っていました。

杉山(司会):子ども会議でのお二人 の役割やそれぞれが大事にしていたことや、想いを聞かせてください。

かっちゃん:私たちは大学生サポーターとして、会議を進める手助けをしました。例えば、話し合いに出た意見をメモをしたり、発言ができていない子に声をかけて意見を聞いたりしていました。

私が大事にしていたこととして、子ども委員が困ったときにすぐに人に頼ってしまう場面でのことを紹介させてください。困った子ども委員へ大学生サポーターが考えたアイディアを出してしまうとそれを正解だと思ってしまい、そこで子どもたちが考えることを止めてしまうことがありました。なので、なんでも手助けをするのではなく、子どもたちに十分に考えてもらうことを意識していました。

こなみ:今、かっちゃんが言っていたように、私たちはあくまでも「サポーター」なので中心となって会議を進めるわけではなく、子どもたちがうまくいかないときに手助けをしたり、おとなと子どもの間に立って情報を伝えたりをしていました。

大事にしていたことは、子どもの声を聴き、尊重することです。子ども会議にはいろんな子が参加しており、意見をしっかり伝えられる子がいる一方で、意見を伝えるのが苦手な子もいました。意見を伝えることが苦手な子への質問の仕方に工夫をすることで、少しずつ「自分も意見を出していいんだ」という肯定感へつながっていったと思います。質問の仕方でひとつで子どもの自由な意見や考えを引き出せるということもわかりました。

杉山(司会):お二人が大学生サポーターをやろうと思ったきっかけや実際にやってみての感想を聞かせてください。

かっちゃん:将来私は教員になりたいと思っていて、学生のうちからから少しでも子どもと関わる機会がほしいと考えていたからです。

実際に参加してみて、子ども会議のグループが多様な学年で構成されていて、年齢によっても出てくるアイディアや意見の幅が広く、互いに良い影響を与えているなと感じ、学年を超えた交流が大事だということを学びました。

こなみ:大学1年生の時に受講した国際関係の授業の中でカカオ農園で児童労働をしている2人の兄弟の映像をみて衝撃を受けたのがきっかけです。調べてみたところ、児童労働問題には「子どもの権利」が深く関わっているということを知り、そこから子どもに関わるボランティアに興味が湧き、実際に子どもたちに触れ合いたい、子どもたちのサポートをしたいと思い、大学生サポーターになりました。

実際にサポーターとして参加してみて、子どもたちの考えていることや行動力に何度も驚かされ、逆に私の方が学ぶことがたくさんありました。子ども会議の回数を重ねるごとにグループでの話し合いや意見を尊重し合うということをだんだんとできるようになっていく子どもたちをみて成長を感じました。

杉山(司会):では、子ども会議の良かったポイントと、ここもう少し改善できるなというポイントがあれば教えてください。

かっちゃん:良かったのは、子どもたちがテーマの中でも自分の興味のあることについて活動することができたことです。令和4年度には、文化とスポーツがテーマでその中でも音楽、美術、クロスミントン、ボッチャの4つから選ぶことができたり、令和5年度には、子どもの権利条約フォーラムinとよた に向けて、やりたいことを一から決めることができました。さらに、興味が途中で変わった場合には変更することができたので、子どもの「これがやりたい!」という意見を尊重できていたと思います。

改善ポイントは、子ども会議のタイムスケジュールがきっちり決まっていたので、子どもが作業に集中しているときも途中で遮って強制参加のゲームに参加しなくてはいけない、といったことです。おとながゲームを通じてみんなが仲良くなるように意図して企画しても、もしかしたら子どもたちはそのまま作業を続けたかったかもしれない、そういった場面で子どもの意見は聞けていないと感じました。

さらに、子どもの中で出た疑問点を大学生サポーターとおとなだけで話し合って答えを出しているときがありました。最終的な決定事項を子どもに伝えたとしても、話し合いの過程を知らないので、納得できないことがたくさんあったと思います。おとなはもっと子どもの意見を直接聞き、憶測で話を進めるべきではなかったと思うこともありました。

こなみ:良かったポイントは子どもたちの「これやりたい!」を一から実現することができたことだと思います。自分のやりたいことが似ている人たちでグループをつくったり、その後の活動の中でも、活動に必要なものを市役所の方に、何が何個、いつまでに必要なのかを考え自分の言葉で伝えていたので、子どもたちが自分たちの責任で行動することができたことはすごく良かったと思います。

改善ポイントは、おとなにはおとなの事情があったと思うのですが、子どもの権利条約フォーラムまでに間に合わせ、完成させることを第一に考えていたことだと思います。これは私の考えですが、もちろん間に合わせることはとても大事なことだと思いますが、たとえ間に合わなかったとしても、どうするべきだったのか考えるこきっかけになったのでないかと思います。

学年が上がると、子ども委員のなかにはおとなの考えていることや求めていることを察していしまう人もいて、おとなが言っているならしょうがないと本当にやりたいことを諦めてしまうような場面もありました。なので、おとなは大学生サポーターを通して進捗状況を聴いたり、情報発信するのではなく、しっかり子どもがどうしたいかを一緒に考えるべきだったと思います。

杉山(司会):では最後に、豊田市はやさしいまちになりそうでしょうか?

かっちゃん:このままでは難しいと思います。子ども会議に参加している子どもたちは市内のほんの一部で、さらに参加した理由は聞くと「親に『参加したら?』って言われたから」と言っている子もいました。もっとたくさんの子どもたちに参加してもらうために、まずはおとなから知ることが大切だと思いました。保護者向けの情報発信にもっと力を入れるべきだと感じました。

こなみ:私もかっちゃんと同様に今のままでは難しいと思います。子どもの意見を言う場所はたくさんあるのかもしれませんが、そのいった発言が実際にどうなったのか子どもたちから見たらわからないし、はっきりしていないと思います。おとなから見た子どもにやさしいまちと、子どもからみたやさしいまちとの間にギャップがあると思います。

参加者からの事例紹介

参加者の中からお二人に、今自分がしている活動や、子どもの声が聞かれていないと感じた経験などを紹介していただきました。

川崎市子ども会議に参加している高校生は、会議の改善点や、まだまだ子ども会議について知らない子どもたちが多すぎるという現状について話してくださいました。

青森市子ども会議に参加している高校生は、日常で感じたモヤモヤを共有すると共に、青森市にある「こどもの権利相談センター」という機関についても紹介してくださいました。

県や地域が違うと同じこども会議でも活動している内容や雰囲気が全く違うということや、子どもの権利を守るために様々な機関があるということを改めて実感しました。

グループワーク 

このあとに3つのグループに分かれて約10分間グループで話し合いをしました。トークテーマは「あなたにとって子どもにやさしいまちってどんなまち?」「自分のまちがどんなまちになったらいいか?」「今の自分でいいと思い思える環境ってどんな環境?」の3つに設定しました。

1グループでは、やさしいまちと今の自分でいいと思える環境について話し合いをしてくださいました。ご近所づきあいがあり、「ありがとう」がちゃんと言い合える関係や、自分の話や意見をしっかり聞いてもらえるまちは生活していく上でとても大切なことだと感じます。今の自分でいいと思える環境は、他の人と比べたり、競争したりしないという意見に私も共感しました。

2グループでは、どんなまちになったらいいかということについて話し合ってくださいました。子どもの居場所があることが大切だと話してくださいました。近年少子高齢化が進み、児童の数が減っており、それに伴い子どもの居場所も減っていると感じます。しかし、子どもの数の減少=子どもの居場所の減少は本当に正しいのかもう一度考え直す必要があると感じました。

3グループでは、やさしいまちと今の自分でいいと思える環境について話し合いをしてくださいました。誰もが持っている小さなやさしさを広げていくことでみんなの心が満たされていくという言葉がすごく心に残りました。他にも、観光施設などを立てて一時的に人を呼び込み、人口減少を食い止めるのではなく、長い目で見てこの町に住みたいと思ってもらえるような町づくりが大切であるというお話を聞き、問題を根本から解決することがどういうことか改めて気づかされました。

個人ワーク

最後にグループ活動を経て、改めて子どもにやさしいまちづくりには何が必要か、「子どもの声が聞かれる地域にするには」「子どもにやさしいまちづくりにとって大切なこと」「自分にできること」「おとな、市や行政ができること」の4つの観点から考えて紙に書き出していただきました。

参加者のみなさんと写真撮影

 

参加者からの感想(一部)

イベントのアンケートにて以下のご感想をいただきました。

  • 少人数のグループで意見交換する時間があったため、一人ひとりの意見を深堀していくことができてよかった。
  • 自分にもできることがある、また他の人とつながり行動に移すことで社会を変革させることができる、良い方向に進んでいくことができると感じました。
  • グループワークでは自分の話に関心をもっていただいたり、聞き終わったあとにまとめたり補足していただいたので、自分の考えや意見をしっかり伝え、聞いてもらえたと感じました。

ご参加いただき、ありがとうございました!

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2024.06.18