自治体・地域での子どもの権利推進の取り組みを知るスタディツアーを開催しました!
自治体・地域での子どもの権利推進の取り組みを知るスタディツアーを開催しました!
ACEは、沖縄県で子どもの権利の実現とウェルビーイング向上をめざし、地域単位でその実践の輪を広げる取り組みとして「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」(以下、うまんちゅプロジェクト)を行っています。
普段は沖縄県内でプロジェクトを行っていますが、名古屋市で開催された「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムに参加するため、そして近隣地域の取り組みも視察するために、沖縄県を飛び出して愛知・静岡を巡る「スタディツアー」を実施しました。
ツアーに参加したのは、うまんちゅプロジェクトを協働で実施している一般社団法人URUFULLと特定非営利活動法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいのほか、沖縄県で活動しているNPO2団体にも声をかけ、一般社団法人沖縄じんぶん考房、特定非営利活動法人おきなわCAPセンターから、総勢15名。各団体の職員だけでなく、それぞれの団体に関わっている中高生・ユースも数名参加しました。
「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2024名古屋に参加
「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムは、子ども施策のあり方やまち・コミュニティづくりの展望を見出すために、自治体関係者と研究者・専門家・NPO 等が連携・協力して、2002年から開催されています。
21回目となる今年は2025年2月22日~23日に名古屋市で開催され、全体テーマは、「子どもの最善の利益原則に基づく子ども施策の創出~子どもの権利を実現する文化及び社会の構築を目指して」でした。
うまんちゅプロジェクトにおいても自治体を巻き込んだ子どもの権利普及活動を展開していくためのヒントを得ること、また各自治体とのネットワーク構築を図ることを目的に、このシンポジウムに参加しました。
初日は、名古屋市、松本市、世田谷区、中野区からの自治体報告として、それぞれの子どもの権利条例に基づく子ども施策の展開について発表があり、続いて、なごや高校生まちづくりプロジェクトに参加した子どもたちからの発表がありました。また特別報告として、地方自治と子ども施策に関する全国自治体調査の結果報告が行われ、最後に登壇者によるパネルディスカッションが行われました。

子どもにやさしいまち9つの基本構造
2日目は、6つの分科会(①子どもの相談・救済、②子どもの虐待防止、③子どもの居場所、④子ども参加、⑤子ども計画、⑥子ども条例)に分かれて各発表とディスカッションが行われ、公開コーディネーター会議では各分科会の報告と次の開催地などの発表がありました。

分科会、なごもっか
子ども施策に関わる自治体関係者や研究者、子どもの権利の普及・促進に取り組む市民団体や専門家などが、各地から集まって知見共有し、今後の子どもの権利を基盤とした施策・取り組みに生かすヒントを得られる機会となりました。
シンポジウムについて詳しくはシンポジウム開催概要をご覧ください。
子ども・若者が街づくりに参加する先進的な取り組み:愛知県新城市「若者会議」

新城市役所 訪問の様子
シンポジウムに参加するために沖縄県から名古屋市まで遠征するので、せっかくなら近隣の取り組みも視察しようと、シンポジウムの前日に2か所訪問させていただきました。
最初に訪問したのは愛知県新城市役所 市民協働部市民自治推進課。若者参加に関する取り組みについてヒアリングしました。
愛知県新城市には、若者参加における先進的な取り組みがあります。2015年に始動し、今年で10年目となる「若者議会」は、おおむね16歳から29歳の若者20人と市外委員5人で構成されています。
「若者議会」では、約1年間かけて若者たちが街をよりよくするためのアイデアを出し合い、市長への報告後、市議会で承認されると翌年度に提案が採用されます。これまで「ふるさと情報館リノベーション事業」をはじめ、「若者議会」を通して多くの若者たちが街を取り巻く様々な課題への解決策を考え、まちづくりに貢献してきました。
当時の市長の想いから始まった「若者議会」は、新城市若者条例と新城市若者議会条例により、10年経った今でも運営が確立されています。
若者が街の政策に参加することによって、地域への愛着や責任感が生まれるだけでなく、新たな視点や価値観による街の活性化につながります。今回訪問したメンバー一同、このような若者の力を生かす仕組みづくりが全国的に波及されることを期待しています。

市役所前で新城市市長と市議会議員(第1期若者議会メンバー)と偶然お会いし、記念写真を撮影しました。
自分たちで活動できる学校以外の居場所「みんなの公民館まる」
その後、「みんなの公民館まる」(一般社団法人トリナス:静岡県焼津市)に訪問しました。

未来チケット(500円でコーヒー1杯と子どもたちへ1ドリンク/フードがプレゼントできるチケット。メッセージも書くことができます。)
「みんなの公民館まる」は、「10代・20代の人生のより道」をコンセプトに、中学生・高校生・大学生を中心に自由に立ち寄れる、焼津駅前の商店街にある居場所です。自分たちで部活動を始めたり、マルシェを企画したり、活動の拠点にもなっています。
向かいには、「みんなの図書館さんかく」があり、気軽に本を読むこともできます。この図書館は、棚のひと区画を月2,000円で貸し出して、自分の好きな本を置いて紹介することができます。
「みんなの公民館まる」も「みんなの図書館さんかく」も行政に頼らず、民間で運営されていることも特徴的です。
訪問した際、高校生が自分たちの活動や参加のきっかけをとてもイキイキとした表情で語ってくれたのが印象的でした。参加者からは、「学校以外の場で、同世代が集い、つながる場になっており、仲間を作れることが羨ましい。」「自分たちの居場所でも図書館を作りたい!」「お洒落な雰囲気もよかった!」などの感想もありました。
スタディツアー参加者の感想
・今回のツアーで印象に残ったところは静岡県焼津市にあるみんなの公民館まるです。建物の雰囲気と人の雰囲気がすごく良く印象的でした!
・みんなの図書館「さんかく」も公民館「まる」も、人の出会いを生み、集える居場所になっていた。そして思いが表現されている場所だからか、子ども達も思いを出し始める場所にもなっているように感じた。高校への授業実施やイベント開催など、場所を生かす取り組みがセットだと思った。
・先進的な地域の取り組みの話をきくなかでうるま市との格差を感じつつ、うるま市でも、学校や地域での子どもの意見表明や参加の機会、行政職員 教員 子どもに関わる大人への講習や研修の場を増やす啓発活動の必要性を感じました。今回スタディツアー名古屋に参加することで、様々な方に会い話を聴く事ができとても有意義で気力がわくスタディツアーになりました。参加でき感謝です。
・「まる」の取り組みが良いなと思いました。私の所属する団体はアウトリーチする機会は非常に少なく、関われるこども達も限られているので、地域で暮らすどの子でも来られる居場所があるのは、やはりこどもにとっても大事だと思いました。
・自分が住んでいる自治体には、子ども条例がないし、子どもの権利救済制度もないので、さまざまな自治体の条例や制度とその実践例が聴けて多様な方法があるとわかりました。その自治体らしい成り立ちや、リソースを生かしたり、持続的な仕組みを法令上できちんと定めておくことが大事なんだと思いました。
今回のツアーでは、ツアー参加者同士や訪問先での他団体との交流ができ、また様々な自治体での子どもの居場所づくりや子ども参加の取り組みなど幅広く学ぶ機会になりました。この学びを今後、各団体の中や、沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクトに活かされるようにしたいと考えています。
ACEの活動はみなさまからのご寄付で支えられています。引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
以上
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2025.03.25