放課後NPOアフタースクールに子どものセーフガーディングを導入するための研修を実施しました

放課後NPOアフタースクールに子どものセーフガーディングを導入するための研修を実施しました

ACEでは、子どもに関するさまざまな活動の場において子どもにとって安全・安心な環境をつくる「子どもと若者のセーフガーディング」の普及・定着に取り組んでいます。団体や組織が子どもの権利を守る仕組みを整え、現場で実践できるよう、伴走支援も行っています。

2025年6月~8月にかけて特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールの管理職・現場の職員を対象に、全3回の連続研修を行いました。その概要についてご紹介します。

研修を依頼した栗林真由美さん(放課後NPOアフタースクール(経営企画室 事業統括))より

子どものセーフガーディングを導入しようと思った背景・理由

放課後児童クラブの運営でどんな課題や困りごとがあるかを調査する中で、子どもの権利や虐待防止について現場で意識はされているものの、意外と言語化・周知までされていないことに気づきました。当初は「最低限スタッフがわかっていればよいか」と捉えていましたが、「支援する側・される側という関係において、支援を受ける立場の子どもは嫌なことがあっても言い出しにくく、権利が侵害されやすい。だからこそ関わり方を明示してから活動することが国際NGOではスタンダード」だと聞き、はっとしたことが導入のきっかけでした。

研修を受けて感じたこと・メッセージ

私たちと同じように居場所を運営される皆さんの中には、子どもの権利への取り組みやDBS導入など、何から始めればいいか悩む方も多いのではないでしょうか。セーフガーディングは特別なことではなく、日々大切にしてきたことを言葉にし、”あたり前”の前提を担保すること。研修で学んだのは、スタッフ一人ひとりが子どもの権利を理解し、組織のしくみにすることの大切さでした。研修では組織内外の様々な立場からの検討と専門家の伴走がある中で、ポリシー策定も行い、現場に即した本質的な議論ができました。運用しながら見直しを続け、より良い居場所づくりを目指していきたいです。

実施した研修について

今回の研修の目的

以下3点を目的に、全3回の連続研修を実施しました。

  • 組織内で子どものセーフガーディングの考え方や意義について理解を深め、共通認識を持つこと
  • 指針・行動規範の作成方法を学び、実際の策定につなげること
  • 子どもにとって安心安全な組織・活動づくりを推進すること

研修の内容

第1回研修

全職員を対象にオンラインで実施し、子どものセーフガーディングの概要と取り組み方について理解するため、主に以下のテーマについて学び合いました。

  • 子どもの権利とセーフガーディングについて
  • 子どものセーフガーディングの取り組み方(指針、手続き、人材、パートナー、説明責任)
  • 子どもとの関りについての事例検討(グループワーク)
  • 指針・行動規範の見本紹介と取り組み方ガイドなど
第2回研修

主にマネージャーレベルの職員を対象に、終日対面で実施し、以下のテーマについて議論を交わしました。

  • リスク分析ワークを通じた現場でのリスク低減・防止策の検討
  • 子どもが安心して相談できるには?相談通報制度づくりについて
  • 指針・行動規範の案についてのグループワーク・全体ディスカッション

第2回研修の様子は放課後NPOアフタースクールさんのnoteにもアップされています:
子どものセーフガーディング研修~子どもの権利を守る組織であるために〜|放課後NPOアフタースクール

第3回研修

主にマネージャーレベルの職員を対象に、オンラインで実施しました。第2回で議論した内容を踏まえ、再考した子どものセーフガーディングに関する指針・行動規範の案について、再度職員同士で話し合い実行可能な改善案を出し合いました。また策定後、組織内で継続的に取り組むための工夫も考えました。

  • 指針・行動規範の案への意見収集・話し合い
  • 組織全体でセーフガーディングを運用・浸透させるには?

※研修終了後、組織内で指針・行動規範の再度ブラッシュアップを行い策定作業が進んでいます。

研修に参加した職員の声

参加者からは、
「現場の視点を持ち寄ることで、より実践的な規範づくりにつながった」
「セーフガーディングを組織文化として根付かせる重要性を再認識した」
といった声が寄せられました。

指針や行動規範は作って終わりではなく、現場の状況や子どもの声を踏まえて改善を重ねることが不可欠です。ACEとしても、こうした研修を通じて、協働団体とともに子どもの権利を守る仕組みづくりを進めていきます。今後も、子どもにとって安心・安全な居場所づくりを推進していきます。

  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2025.12.09