海外での活動について
Q.なぜインドとガーナで活動しているのですか?
世界の児童労働者数 は1 億 6000 万人(2021年、ILO/UNICEF発表推計)、5-17 歳の子どもの約 10 人に1人にあたります。それを地域別にみると、その約半分がアフリカに暮らす子どもたちです。次に多いのがアジア太平洋地域で、中でもインドは児童労働が多い国と言われています。
また産業別でみると、児童労働が最も多いのは農林水産業で7割を占めます。主に原材料の採取や生産に児童労働が関わっています。
日本で消費されるチョコレートの原料カカオは、その約8割がアフリカのガーナから、また衣料品などに使われるコットンは多くがインドから輸入されています。
ACEは、児童労働が多く、私たちの生活と密接につながっている国ガーナとインドで、効果的に児童労働をなくすことをめざして取り組んでいます。
ガーナのプロジェクトを開始した国際的な背景や取り組みの事例については、ACE事務局長の白木が執筆した「児童労働撤廃に向けて : 今、私たちにできること 第6章 児童労働撤廃に向けたステークホルダー連携の意義とNGO の役割―カカオ産業におけるACE の取り組み事例より― 」(日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所)にて詳細に書かれておりますので、是非ご覧ください。
Q.ACEは日本人の駐在員や現地スタッフを雇用していますか?
ACEは、現地NGOとパートナーシップを組んで支援活動を行っています。ACEがスタッフを雇用しているわけでなく、日本人のスタッフも常駐しているわけではありません。パートナーNGOはACEの支援プロジェクトによって異なります。
インド「子どもにやさしい村」プロジェクトのパートナーNGO「BBA」
「ピース・インド プロジェクト」のパートナーNGO「SPEED」
「スマイル・ガーナ プロジェクト」のパートナーNGO「CRADA」
Q.インドやガーナの活動地を訪問することはできますか?
申し訳ありませんが、支援地への個人の訪問受け入れは行っておりません。
現地に日本人の常駐スタッフがおらず、現地パートナー団体との連絡調整や安全管理の責任なども発生するため、訪問受け入れが難しい旨をご理解いただけると幸いです。
活動地を訪問するスタディツアーは不定期で開催しています。今後、開催する際にはメルマガ等でお知らせします。是非ご登録ください。
Q.支援する村はどのように決めているのですか?
村の調査を行い、下記のような村を優先的に支援先として選んでいます。
- 働いているため学校へ通えない子どもが多くいる村
- 社会的・経済的に立場の弱い住民が多い村
- 行政によるサービスが十分に行き届いていない村
- 村のリーダーや住民が活動を理解して協力体制ができている村
支援している村については「子ども支援」の各ページをご参照ください。
Q.これまでにACEの活動によって児童労働をやめた子どもは何人ですか?
ACEはこれまでインドとガーナの28村で、2,566人の子どもを児童労働から解放し、約13,500人が無償で質の高い教育を受けることに貢献してきました(2022年11月時点)。
それぞれの活動による成果は、こちらをご覧ください。
Q.支援を開始してから、親や子どもたちにどのような変化がありましたか?
支援を開始したばかりのころには、親たちは子どもが学校に行くことを警戒することもありますが、プロジェクトが進行するにつれて学校に対する信頼を高め、学校に行くことを支持するようになっていきます。また、学校に行かない子どもたちを見つけると、話しかけて学校に行くように促す大人たちが増えていきます。
Q.支援が終わった村の子どもたちはどんな風に暮らしてますか?
支援期間中に住民が構成するボランティアグループを組織化し、スタッフと共に子どもの家庭訪問や畑の見回り、啓発活動を行うことを通じて、住民グループをトレーニングします。
支援終了後は、この住民グループメンバーを中心に、住民たちが自発的に児童労働がないか確認しあい、子どもを守る活動を行うようになります。そのため、子どもたちは危険な労働に就かず学校に通い続けるようになっています。
サッカーボール縫いをする子どもがいなくなったインドの村を訪問
Q.現地政府は児童労働をなくすための対策をしていますか?
ガーナの場合、政府は2011年までにカカオ生産地域での最悪の形態の児童労働をなくすための国家計画を定めていました。アメリカの議員が推進した「ハーキン・エンゲル議定書」に基づき、児童労働のないカカオの認証システムづくりを進めています。2008年7月までにカカオ生産地域の50%で児童労働の実態を把握するための調査が行われました。これらの調査や計画にそって、カカオ生産地では児童労働に関する農民への啓発活動や子どもの教育を進める活動などが進められていますが、十分な財源がないため、活動が行き届いていないのが現状です。しかし、2020年3月には、「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域)認定制度」として、ガーナ政府が児童労働の撤廃に成功した地域を認定する制度が開始し、児童労働のない国へと向かって新たな一歩を踏み出しました。
インドの場合、「児童労働禁止及び規制法(1986年)」や「児童労働政策計画(NCLP)」があり、政府が児童労働を規制したり、労働から救出した子どものための教育やリハビリ支援などを行っています。また「無償義務教育権利法(2009年)」により、すべての子どもの義務教育を徹底し、児童労働をなくす取り組みが行われています。しかし、これらの対策は州によって、また特に農村部で十分に行き届いていないことが多いです。児童労働の背景には、家庭の貧困、親や地域住民の教育への関心の低さ、女子への差別といった様々な要因があるため、政府による総合的な取り組みがさらに必要です。
Q.現地の人は児童労働をなくすべきだと望んでいますか?
政府の啓発活動の成果もあり、現地では児童労働をなくし、子どもの教育を徹底しなければならないという意識が広がっています。子どもたちも、重労働により慢性的な疲労感や体の痛みなどを訴えており、改善を望む声が多く聞かれます。
ガーナのカカオ農家は「これからも質のいいカカオをたくさん作るようにがんばるので、これからも日本の人たちにたくさんカカオを買ってほしい」と言ってくれました。さらに「チョコレートを食べるだけではなく、もっとカカオを作る自分たちのことについても知ってほしい。カカオを買う時に適正な値段で買ってほしい」とも話していました。
Q.児童労働のある産業以外に産業や仕事はないのですか?
ガーナの主要産業には、カカオ以外に鉱業(貴金属、非鉄金属)や林業があります。しかし、一次産品に依存した経済は国際情勢や天候に影響を受けやすいという欠点があります。カカオ栽培は現金収入が得られるため、カカオを栽培できないガーナ北部など、より貧しい地域から引っ越してくる人も少なくありません。
インドでは、専門生の高い知識や技術を持った熟練労働者を必要とするサービス業や製造業は、比較的児童労働が少ないと言えます。しかし、ホテルやレストラン、縫製工場などで働く子どももいて、児童労働がないわけではありません。インドでは児童労働の8割は農業分野、農作物の栽培や収穫、放牧業などで多くの子どもが働いています。未熟練労働や低賃金(あるいは無報酬)の仕事で児童労働が起きやすくなっています。