児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

アドボカシー/政策提言児童労働

2016年9月21日

持続可能な開発目標(SDGs)の目標8.7の達成を目指すアライアンスが誕生!

9月21日の本日、ニューヨークにて、SDG Alliance 8.7(エスディージーアライアンスエイトポイントセブン)がいよいよ正式にローンチします!

いままさに国連総会が開催されていますが、昨年9月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)は、2030年までの世界の経済、環境、社会のありたい姿をまとめたものです。国連加盟の国家元首が合意した、「世界共通のゴール」といっても過言ではありません。

その中には、17のGoal(目標)があり、その目標の中に書いてある内容について、全部で169のtarget(ターゲット)があります。

ACEが取り組んでいる児童労働問題も、目標8のターゲット7として、記載されています。2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃する(英語ではEnd という表現を使っています)と明確に目標をたてています。また、強制労働、人身売買、現代的奴隷制度についても、撤廃を目指しているのがこのSDG8.7です。

*ちなみに、総称でいうときはSDGsと複数形なのですが、個別のゴールやターゲットを言及するときはSDGとsがつかないようです。まぁ言われてみればそうなのですが。

あと9年!というかなりアンビシャスなこのゴール。

その目標達成のために、グローバルレベルでの連携や協力を促進するために立ち上げられるのが、SDG Alliance 8.7というわけです。

さて、この国連のSDGsですが、それぞれの項目にだいたい担当の機関が決まっています。例えば、児童労働とも関係のある、SDG16.2の子どもの暴力については、ユニセフが中心となり、Global Partnershipが進められています。

こういったグローバルレベルの枠組みを作る際は、事前にコンサルテーション(日本語で適切な訳がわかりません・・)が行われることが常のようで、ユニ
セフはかなり前もって準備をしていたようです。

SDG Alliance8.7を担当するのは、ILO(国際労働機関)です。ILOは国連機関の中でも国際的に労働に関する条約をつくり、批准を促す国際機関です。”decent work”(人間らしい仕事)がすべての人に普及するようにとの観点から、児童労働についても「労働問題」として、かねてから熱心に取り組んできています。

そんなILOの特徴は、三者構成。通常、国際機関には国の代表が参加し意思決定を行うのですが、ILOは国の代表だけでなく、労働者代表(日本からは連合)、使用者代表(雇用している側、日本だと経団連)が参加して、意思決定に参加しています。

さて、そんなILOが主催する、SDG Alliance 8.7の東南アジア・東アジア・太平洋地域のコンサルテーションミーティングが9月14日、15日にタイのバンコクで開催されました。ウェブサイトを見て開催を知った私は、「ぜひ参加したい!」と手を挙げて、参加が認められました(手を挙げなかったら、呼ばれなかったでしょうね~。いつも忘れられがちな日本・・・。)

参加した感想としては、結局SDG Alliance 8.7がどのような形でどう運営されるのか、ガバナンスや資金はどうなるのかについてはよくわからなかったのですが、会議の運営自体は素晴らしく、参加者からのインプットや参加者同士の交流が出来るように設計されていて、well-thought-throughな印象を受けました。

参加者は160人、政府(労働省、文部科学省)関係者、各地のILO事務所スタッフ、労働代表、使用者代表と、ILO主催の会議なので三者構成を色濃く反映された布陣でしたが、NGOや国際機関スタッフも参加していました。

プログラム自体は以下のような感じ。

テーマとしては、教育、移住と人身売買、サプライチェーン、モニタリングというのが主なトピックで、それぞれについてパネルトークがあった後に、グループディスカッションがありました。

グループディスカッションでは、4つのグループに分かれます。それぞれのセッションで、1グループがGlobal レベル、Regionalレベル、Nationalレベル、Lobalレベルのいずれかに焦点をあてて話すよう割り当てられ、パネルトークのテーマについて、機会の特定⇒必要な情報の特定⇒前進の障害となるものの特定⇒優先すべきアクションは何か?という4つのステップを踏むように指示されました。

私もサプライチェーンのセッションのファシリテーターを任されましたが、難しかった・・・。とくにサプライチェーンについては、参加者の前提や知識がかなりバラバラ(前述のように、ビジネス界の人は少数派で、援助の世界どっぷりの人が多い)だったので、まとめるのに苦労しました。

この内容が今後のアライアンス運営にも反映されるということですが、
これからどのような動きをしていくのか、今後も注目し、ACEとしてもこのアライアンスの流れの中で活発に動いていきたいな、と思っています。

http://www.alliance87.org/

プログラム:

1日目

High Level Opening and Welcoming Remarks

SESSION 1: Situating the end of child labour, forced labour, modern slavery
and human trafficking within the framework of the SDGs
SESSION 2: EducationLunch Live Talk:
Financial and IT Coalitions to protect children from online sexual exploitationSESSION 3: Thematic Group Work
SESSION 4: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 5: Migration And Trafficking
SESSION 6: Thematic Group Work
SESSION 7: Sharing Reflections and Key Observations

2日目

SESSION 8: Supply Chains
SESSION 9: Thematic Group Work
SESSION 10: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 11: Monitoring Progress, Measuring Impact, and Resourcing
Considerations
Lunch Live Talk:
Responding to Children and Armed Conflict
SESSION 12: The 4th Global Child labour Conference and Target 8.7 – The way
forward
 SESSION 13: Thematic Group Work
SESSION 14: Final Group Work
SESSION 15: Sharing Recommendations and Priorities.

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