「九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク ゆんたく会」で日本の児童労働について意見交換しました

「九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク ゆんたく会」で日本の児童労働について意見交換しました

Pocket
LINEで送る

新型コロナウイルスの影響によって、世界中で児童労働が増えるのではと懸念されています。「九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク ゆんたく会」(2020年6月7日)では、ACEから「児童労働とACEの取り組み」について話題提供し、コロナ禍の子どもたちとその家族の状況などについて情報交換、そして児童労働を無くすための意見交換を約4時間にわたって行いました。今回の「ゆんたく会」は、初のテレビ会議。沖縄県内各地、福岡県、東京都から参加することができ、「楽しかったね~!」という体験でした。

沖縄ゆんたく会_20200607最初に、ACEとその活動について紹介しました。インドとガーナで実施している児童労働撤廃・予防プロジェクトについては、女の子向けの職業訓練、児童婚、公立学校での英語教育についてなど、たくさんの質問がありました。

次に、日本での児童労働についてACEが行った調査結果を報告しました。国際条約や日本の法律に基づく児童労働の定義、児童労働の形態と事例、児童労働のリスク要因などをお話しし、日本で児童労働を無くすためのACEの取り組みについても紹介しました。

新型コロナウイルスの影響としては、沖縄の主要産業である観光業への影響が大きく、ホテルや飲食業でアルバイトをしている高校生などはシフトを減らされたり、働けなくなっています。生活保護の申請が増えているそうです。また、緊急事態宣言中は学校が閉鎖されていたり、家庭訪問ができなかったため、虐待について情報が得にくいという状況がありました。

続いて行った意見交換を3点にまとめると、次の通りです。

1.「海外の状況を日本に重ねながら聞いていました」

開発途上国と日本では共通点があまりないように思うかもしれませんが、日本で起きていることが、「これってインドやガーナのプロジェクト地で起こっていることと似ているよね」と思うことが多々ありました。「ゆんたく会」の方々も、ACEのプロジェクトの話を聞いて同じように感じられたようでした。
例えば、女性の経済力と子どもの福祉との関係です。女性の方が男性より、家族や子どものためにお金を使うことが調査研究で明らかになっています。インドでは女性が経済力をつけることによって家庭での地位が上がり、子どもを学校に通わせる、教育費にお金を使うなどを決める際に発言力が増します。そこで、女性への社会的・経済的エンパワーメントが重要で、ACEのプロジェクトでも取り入れています。
今、日本では特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策)は、世帯主(多くは男性)に振り込まれるようになっています。男性の世帯主が給付金を使ってしまい、女性の手に渡らない可能性があると指摘されています。そうなると、女性や子どもの生活保障につながらないことになります。

2.「児童労働について知ることが大事」

日本にも働いている子どもはいますが、「児童労働」という視点をもって見ることは少ないと思います。ACEの報告を聞いて、児童労働について「話していないよね」「見ようとしていないよね」「あらたな認識をした」というコメントがありました。
「児童労働について知る」ことによって →「アンテナが張れる」そうすると →「周りにある児童労働に気付く」ことができます。これからも、「さまざまな学びあいをしていきましょう」ということになりました。

3.「児童労働を無くすには、家庭への支援が必要」

現在の沖縄で、次のような課題が挙げられました。
・文化・社会資本がなくなってきていて、家庭環境に格差がある
・社会保障について学べる機会がなく、生活保護を受けていない生活困窮家庭が厳しい状況にある
・SDGs(持続可能な開発目標)推進において、行政の縦割り感が否めない
・ジェンダーの視点が欠けている
そこで、「横のつながり」や「関連性」を考える必要があるという意見が出ました。

今、子どもたちはさまざまな課題に直面しています。その課題には関連性があり、そしてその課題と児童労働のリスク要因とも関連性があります。特に貧困や虐待など家庭環境が困難な子どもたちには、児童労働のリスク要因があると考えて特別な配慮を行うことが重要です。

児童労働リスク要因についての図
ACE『日本にも存在する児童労働~その形態と事例~』(2019)より

「ゆんたく会」には、学校の先生、ソーシャルワーカー、自治会、NPOなどさまざまな立場の人が集まっています。それぞれの強みを生かして連携し、子どもにかかわる課題解決のために、これからも活動していきましょうと決意を新たにしました。

これからも、九州・沖縄地区子ども支援ネットワークそしてACEへのご支援、ご協力よろしくお願いします!

九州・沖縄子ども支援ネットワークは、2007年に「沖縄子ども研究会」として発足し、同年に「第1回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流会」を開催するなど、活動を開始しました。ACEは2019年9月から参加しています。「ゆんたく」とは、沖縄の言葉で「おしゃべり」を意味し、ネットワークのメンバーが子どもに関するさまざまな話題で意見交換をする場となっています。

         

あなたにも、今、できることがあります。子どもの権利サポーター募集中

  • Pocket
    LINEで送る

  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2020.06.17