児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ

東京新聞夕刊コラム「紙つぶて」

2021年4月13日

翼を折らない学校

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私は東京の桐朋学園で小、中、高校時代を過ごした。作曲家の小澤征爾さんの出身校として音楽大学が有名だが、普通科もある。女子高の卒業生は日本初の女性旅客機パイロット、写真家やオリンピック選手など、多方面で活躍している。

いま振り返って、ありがたかったなと思うのは学校のおおらかさ。小学生のとき、三年生の担任の先生がみんな大好きで、年度末になると、職員室に行き、担任を変えないようにお願いし、結局、卒業まで四年間、受け持ってもらった。学校の慣習を越え、子どもの声を聞いてくれた。

中学二年生のとき、当時、流行った漫画に感化され、私の髪の色が茶色になった。昭和六十一年、まだ大人も髪を染めるのが普通じゃない時代、どう考えても目立った。しかし、担任の先生は「岩附、やっぱり髪は黒い方がいいな」と一言いっただけ。学内で問題になっていたはずなのに、学年の先生方に守られていた気がする。その夏に米国へ転居したので、私の茶髪問題は解消した。

帰国した高校時代は体育祭や文化祭に情熱を燃やした。エネルギーを持て余し、枠から外れがちな私でも受け入れられていた感覚がある。ノーベル平和賞を受賞したのマララさんのお父さんの言葉を借りれば「翼を折らない」ということか。今の私の羽ばたきは、この学校の個性をつぶさないおおらかさの延長にある。

NPO「ACE」代表 岩附由香

(2021年4月13日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)

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