コロナ危機による収入減はおとなだけではなく、アルバイトをしている高校生や大学生を
直撃しています。
中にはバイト代を削られ、犯罪に加担してしまうケースも。
https://this.kiji.is/639026091110368353
このケースは大学生ですが、これが高校生や18歳未満だった場合は「最悪の形態の児童労働」にあたります。世界全体でコロナ禍により児童労働増加が懸念される中、飲食店などのアルバイトが減り、選択肢が少なくなり代わってこのようは犯罪や、性産業などいわゆる「最悪の形態の児童労働」に陥ってしまわないか、心配です。
実は、この若者のアルバイト問題、コロナ危機発生直後に多くのNPO団体などがそこに関わる調査を実施しています。そのリストをまとめました。
若者のアルバイトにおけるコロナ危機の影響
特に高校生がなぜアルバイトをしているのか?自分の携帯電話料金が欲しいだけでは?みたいなことをよく言われますが、実は、7割が「貯金」という調査も。
https://www.mynavi.jp/news/2019/11/post_21721.html
教育を受けるのに、家庭の負担額が先進国で最も多い日本(教育の公的支出が35カ国中最下位の日本 https://resemom.jp/article/2019/09/11/52413.html )、このコロナ禍により、子どもたちの進学の道が閉ざされてしまうのではないかと危惧しています。
本日、6月16日はアフリカ子どもの日です。
そこで今日は少しこの日にまつわる話を紹介させてください。
【児童労働が最も多い地域、アフリカ】
実はアフリカは、児童労働者が最も多い地域。
世界1億5200万人のうちの、全体の47.6%、7千210万人が、アフリカの児童労働者です。
世界の子どもの10人に1人が児童労働者にあたるのですが、アフリカでは5人に1人の割合と、抜きんでて割合が高くなっていること、また児童労働者数が全体では減少傾向にある中、アフリカでは増加していることが、懸念されています。
アフリカ連合(AU)では、この事態を受け、現在、児童労働撤廃に向けた10年アクションプランを議論中、今年中に決定する予定です。世界の児童労働問題が解決できるかどうかは、アフリカの進展にかかっているといっても過言ではありません。
‥続きを読む
2017年9月12日、13日と、世界中から現代奴隷・児童労働などに取り組む NGO の代表者が集まる会議、NGO Forum for Alliance 8.7 がロンドンで行われています。 Working together to end modern slavery and child labour という副題の通り、SDG8.7 の、現代的奴隷・強制労働・人身売買・児童労働の撤廃に向けて、NGO としてどのように ILO が提唱している国際枠組み”Alliance 8.7″に engage していけるのか、といことを探るための会議です。
http://www.alliance87.org/
今回のこのフォーラムの主催団体、The Freedom Fund は 2014 年に複数の団体・フィランソロピストが立ち上げた団体。現代的奴隷に取り組む団体です。 Global Slavery Index を発表しているWalk Free Foundation などとも、姉妹団体のような形のようです。
https://freedomfund.org/
The Freedom Fund CEO の Nick Grono さんがレセプションにて挨拶
今回の会議への招待は、私が Global March Against Child Labour の理事であるからのようで す。急な招待で、日本ですでに予定していた講演の講師を白木に交代するなど、ご迷惑をおかけ してしまったのですが、世界の同じ問題に取り組む団体の代表レベルの方々が集まる会議に、ど うしても行きたい!となり、無理いって参加を決めました。
レセプションにて、児童労働に反対するグローバルマーチ代表の Tim さん、フィリピンで児童労働 に取り組む Cecilia さんと
細かいことですが、空港には私の名前を持ったタクシードライバーが待機してピックアップしてくれ て、先進国の NGO でも渡航費も宿泊費も全部もってくれて、本当に助かります。(こんな大事にさ れている感じの NGO の会議はなかなかありません)
ちなみに The Freedom Fund は現代的奴隷、強制労働、児童婚などの問題に取り組むイン ド、ネパール、エチオピア、タイなどの団体と連携して、8,923 人を解放してきた、とその 報告書にはあります。今回の会議は、そのようなプログラムを担うパートナー団体を含む、 約 65 人以上が参加しています。
1 日目の午前は、ILO で Allaince8.7 を主に担当している Beate さんに質問を投げかけるセッションと、それをもとに、5つのグループに分かれて、NGO がどのようにこの Allianceに engage していくべきか、障害やチャレンジはなにか、ということを話し合いました。
私は事前にそのグループディスカッションの Rapporter を依頼されていました。どのような経緯で私に白羽の矢が立ったのか全くわかりませんが、参加者の前で話さないと、日本から NGO が来ているということすら認識されない可能性があります。これはチャンス!と、 やります!といいました。
私のグループは、タイ、ガーナ、ヨルダン、パキスタン、コスタリカ、イギリス、アメリカ、、 日本、ヨーロッパから、12 人。同じ Global March の理事であるコスタリカ出身の Virnigia に書記をあらかじめお願いし、1 時間ちょっとの議論を行い、それをまとめて全体に報告す る、という役目でした。
日本語でワークショップをやって要点をまとめるのは普段慣れているのですが、英語でやるとなるとまたちょっと別です。また、ビジュアルも何もないと、10 分間、ノンネイティブのわかりにくい英語の報告をただ聞くのでは、聞いている方も印象に残りずらいと思い、急 遽、まとめを作って、発表しました。(ちなみにでかいフリップチャートは、グループディ スカッションをファシリテートしながらも、使いました。)
要点をまとめ、与えられた時間内に、同じグループからの追加コメントができる時間ものこして報告を行い、無事役目を果たせたと思います。コメント追加ありませせんか、とグルー プメンバーに問いかけたら、パキスタンからの参加者が手を挙げてくれて、コメントがある のかと思ったら。「OK だよ!」というサインでした。
そもそも現代的奴隷をどう定義したらいいのかについては、この後詳しく書こうと思いま すが、この会議に参加して感じたことは「日本の NGO とつながっている団体がほとんど皆 無」だったということです。
会議前日のレセプションで、欧州をベースに世界各国に事務所を持つ比較的よく知られて いる国際 NGO の会長さんにお会いしたのですが、
「日本に NGO ってあるの?あなたが、日本の NGO の人で会う初めての人よ」
(彼女はボランティアで会長をやっているそうなので、プログラム実施にかかわったこと がない故かもしれなませんが)
と言われたり、
米国の人身売買に取り組む団体(日本にも関係団体があり)の人から 「こういう会議に日本人がくるって珍しいよね」と言われたり。
いい悪いではなく、とにかくそういうリアクションがあったことがひとつ。
そしてもうひとつは、この同じ2人の人と話をする中で、例えば日本に消費者教育推進法が できたり、ACE が消費者教育向け教材を販売しそれが自己財源にもなっているという話や、 休眠預金法の話などをする中で、このお二人が「そうなの!もっと聞かせて!」「それって すごいいアイディアだよね!」というようなリアクションがあったことです。
つまり、日本の市民社会で起きていることや、日本の NGO がやっている Good Practice は、 他国で活動を展開している NGO にとっても、inspirational であり学ぶものがあるかもし れない、ということなんです。 こういう国際会議に来ると、「とにかく学ばせてもらう」というマインドにどうしてもなっているのですが、今日 1 日を通じて私が感じたことは、「児童労働については、やはり自分はエキスパートの域に入っている」ことと、「大局的にアドボカシーの機会をとらえようと している少ない人の1人かもしれない」ということです。
私のグループでの発言や、全体会でのコメントを聞いて「君は Big Picture を捉えているね」 と言ってくださった方がいて、ああ、そうなのかもしれない、と思いました。 児童労働に関する ILO 条約の内容、定義、ILO のグローバル推計の出し方やその背景、国 連ビジネスと人権指導原則にからめた動き、SDGsや HLPF(High Level Political Forum)の動き、その関連するすべてを網羅してわかっている人は、その会場にいるごく少数、もしかしたらほとんどいなかったかもしれない、とうことです。
自分でそんなことをいうのもおこがましい感じですが、驚きとともに、そういえばかれこれ 20 年間、児童労働一筋でやってきているもんなぁ、いろいろなアドボカシー活動にも参加させてもらってきたもんなぁ、とその蓄積が自分の中に確実にあることを、確認したのでした。
Dinnerの様子
アドボカシー/政策提言企業の社会的責任(CSR)児童労働
2016年10月28日
今朝、政策提言系の宿題をやっていたところ、泣いてしまいました。
その原因は、宿題の関係で2010年ぐらいに活発だった「社会的責任に関する円卓会議」の過去メール。
社会的責任に関する円卓会議は、「円卓会議は、多様な主体が対等な立場で参加し、政府だけでは解決できない課題に協働して取り組むための新しい枠組み」なのですが(少なくともHPにそう書いてある)、NPO/NGOセクター代表として運営委員に選出してもらい、「地球規模課題の解決への参画」ワーキンググループの事務局をACEが務めておりました。政府も主体のひとつとして参加しており、その他金融、消費者、事業者(経団連、同友会、商工会議所)、労働組合(連合)、NPO/NGOセクターから代表が出ている会議体でした。
で、児童労働に関してこの会議で合意にもっていこうとした政府の取り組みとして「労働・人権に配慮した調達促進の元となる法令の整備と行動計画の策定、それに基づく労働・人権に配慮した製品の利用の促進についての各種施策」という提案をACEがして、ワーキンググループで合意、資料として事務局へ提出したら、運営委員会の会議の前に政府側から「それは引き取る省庁がないので無理」といわれ、削除を求められ、結局誰かの助け舟で「政府への提言」として会議資料に記載することになったという経緯があります。
事実上「児童労働についてはあなたが出したどの案も政府はやりませんよ」と言われたも同然。最終的な協働戦略には、政府がやることだけ何も書いてないのもおかしいので、当たり障りのない記述が残っています。
私としては、2010年時点のこの頃から、サプライチェーンの児童労働に対する法整備を政府にしてほしいとアドボカシーしてたんだな、という自分自身のその時点での確信があったことの確認ができました。
で、なんで泣いたかっていうと、政府側から「これは削除」って言われてそのことについて比較的心情が通じていた霞が関の某お役人様とのメールのやりとり。
「児童労働は残念です。ACEの円卓会議との関わり自体をどうしようかと思うほど、政府の(*行動計画として)記述がないのは私にとってダメージが大きいです。と落ち込んでいても仕方がないのでこの学びを今後に活かしたいと思います。こちらも対策が遅くなったことは否めません。」
「岩附さんや植木さんが、ボランティア的な形で、多大な貢献をされていることに頭が下がる思いです」とはじまり、でもそのような事情を知らない役所の同僚はDefensiveな反応をしがちで、自分自身で省内を説得して回っても、役人的ロジックで「そんな話は聞いてない」と言われるとなかなか反論しにくく、外から見ているとわずかな修正でも「軌道修正×関与している役人数」を見ると、比較的大きなインパクトがあるもの事実で、きっとフラストレーションやら怒りやら軽蔑やらを感じられていると思うけども、ご容赦ください、とつづき、
「私も立場上言わざるを得ないことは言いますが、それとは別に、改めて感謝と敬意を表する次第です。」
2010年当時、すごくがんばっていた私(そして植木美穂!当時の資料がきちんと日付が入って残っていることとか、やっぱり素晴らしいよ)、上手くできなかったその時の悔しさ、でもそれに対して理解を示してくれていた政府側の人がいたこと。
とにかく、必死にもがいていた自分の足跡を発見してしまい、なんだか涙が出てしまいました。
さて、ただいま政府は持続可能な開発目標(SDGs)の政府の活動についてパブコメを募集しています。
◎総理官邸SDGs 推進本部 実施指針「⾻子」 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/
◎パブリック・コメント SDGs 実施指針 http://ow.ly/ZAqK305iJUx
児童労働は目標8の8.7に2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすとありますが、日本政府の実施指針の骨子、また付表にも、「児童労働」に関しては国内・国外とも一言もありません(性的搾取、人身取引については言及あり)。
また、目標12の持続可能な消費と生産の中に、持続可能な取り組み導入と情報の定期報告について(12.6)、持続可能な公共調達(12.7)に記述がありますが、現状日本の法律としてあるグリーン購入法は環境しかカバーしておらず、政府の調達方針の人権・労働分野については未整備な状態です。でも、今の行動指針付表には「グリーン購入の促進」しかなく、12.6についても「ESG投資の促進等による環境に配慮した事業活動の推進」しかありません。
サプライチェーンの人権・労働問題は、またもや置いてきぼりです・・・・(担当する省庁がいないから!)
TPPの労働章にも、「全部又は一部が強制労働(児童の強制労働を含む。)によって生産された物品を他の輸入源から輸入しないよう奨励する」って書いてあり、英国奴隷法もできて、いよいよ世界はサプライチェーンの人権問題に向き合おうとしているのに、日本だけ置いてきぼりに・・・
Discover -your strength and opportunity
アドボカシー/政策提言児童労働
2016年9月21日
9月21日の本日、ニューヨークにて、SDG Alliance 8.7(エスディージーアライアンスエイトポイントセブン)がいよいよ正式にローンチします!
いままさに国連総会が開催されていますが、昨年9月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)は、2030年までの世界の経済、環境、社会のありたい姿をまとめたものです。国連加盟の国家元首が合意した、「世界共通のゴール」といっても過言ではありません。
その中には、17のGoal(目標)があり、その目標の中に書いてある内容について、全部で169のtarget(ターゲット)があります。
ACEが取り組んでいる児童労働問題も、目標8のターゲット7として、記載されています。2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃する(英語ではEnd という表現を使っています)と明確に目標をたてています。また、強制労働、人身売買、現代的奴隷制度についても、撤廃を目指しているのがこのSDG8.7です。
*ちなみに、総称でいうときはSDGsと複数形なのですが、個別のゴールやターゲットを言及するときはSDGとsがつかないようです。まぁ言われてみればそうなのですが。
あと9年!というかなりアンビシャスなこのゴール。
その目標達成のために、グローバルレベルでの連携や協力を促進するために立ち上げられるのが、SDG Alliance 8.7というわけです。
さて、この国連のSDGsですが、それぞれの項目にだいたい担当の機関が決まっています。例えば、児童労働とも関係のある、SDG16.2の子どもの暴力については、ユニセフが中心となり、Global Partnershipが進められています。
こういったグローバルレベルの枠組みを作る際は、事前にコンサルテーション(日本語で適切な訳がわかりません・・)が行われることが常のようで、ユニ
セフはかなり前もって準備をしていたようです。
SDG Alliance8.7を担当するのは、ILO(国際労働機関)です。ILOは国連機関の中でも国際的に労働に関する条約をつくり、批准を促す国際機関です。”decent work”(人間らしい仕事)がすべての人に普及するようにとの観点から、児童労働についても「労働問題」として、かねてから熱心に取り組んできています。
そんなILOの特徴は、三者構成。通常、国際機関には国の代表が参加し意思決定を行うのですが、ILOは国の代表だけでなく、労働者代表(日本からは連合)、使用者代表(雇用している側、日本だと経団連)が参加して、意思決定に参加しています。
さて、そんなILOが主催する、SDG Alliance 8.7の東南アジア・東アジア・太平洋地域のコンサルテーションミーティングが9月14日、15日にタイのバンコクで開催されました。ウェブサイトを見て開催を知った私は、「ぜひ参加したい!」と手を挙げて、参加が認められました(手を挙げなかったら、呼ばれなかったでしょうね~。いつも忘れられがちな日本・・・。)
参加した感想としては、結局SDG Alliance 8.7がどのような形でどう運営されるのか、ガバナンスや資金はどうなるのかについてはよくわからなかったのですが、会議の運営自体は素晴らしく、参加者からのインプットや参加者同士の交流が出来るように設計されていて、well-thought-throughな印象を受けました。
参加者は160人、政府(労働省、文部科学省)関係者、各地のILO事務所スタッフ、労働代表、使用者代表と、ILO主催の会議なので三者構成を色濃く反映された布陣でしたが、NGOや国際機関スタッフも参加していました。
プログラム自体は以下のような感じ。
テーマとしては、教育、移住と人身売買、サプライチェーン、モニタリングというのが主なトピックで、それぞれについてパネルトークがあった後に、グループディスカッションがありました。
グループディスカッションでは、4つのグループに分かれます。それぞれのセッションで、1グループがGlobal レベル、Regionalレベル、Nationalレベル、Lobalレベルのいずれかに焦点をあてて話すよう割り当てられ、パネルトークのテーマについて、機会の特定⇒必要な情報の特定⇒前進の障害となるものの特定⇒優先すべきアクションは何か?という4つのステップを踏むように指示されました。
私もサプライチェーンのセッションのファシリテーターを任されましたが、難しかった・・・。とくにサプライチェーンについては、参加者の前提や知識がかなりバラバラ(前述のように、ビジネス界の人は少数派で、援助の世界どっぷりの人が多い)だったので、まとめるのに苦労しました。
この内容が今後のアライアンス運営にも反映されるということですが、
これからどのような動きをしていくのか、今後も注目し、ACEとしてもこのアライアンスの流れの中で活発に動いていきたいな、と思っています。
http://www.alliance87.org/
プログラム:
1日目
High Level Opening and Welcoming Remarks
SESSION 1: Situating the end of child labour, forced labour, modern slavery
and human trafficking within the framework of the SDGs
SESSION 2: EducationLunch Live Talk:
Financial and IT Coalitions to protect children from online sexual exploitationSESSION 3: Thematic Group Work
SESSION 4: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 5: Migration And Trafficking
SESSION 6: Thematic Group Work
SESSION 7: Sharing Reflections and Key Observations
2日目
SESSION 8: Supply Chains
SESSION 9: Thematic Group Work
SESSION 10: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 11: Monitoring Progress, Measuring Impact, and Resourcing
Considerations
Lunch Live Talk:
Responding to Children and Armed Conflict
SESSION 12: The 4th Global Child labour Conference and Target 8.7 – The way
forward
SESSION 13: Thematic Group Work
SESSION 14: Final Group Work
SESSION 15: Sharing Recommendations and Priorities.
夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい。
なぜ、私が児童労働の問題に取り組むのか。そこには、出会った子どもたちがいます
http://japangiving.jp/p/4280
1998年、ACEを発足させた直後の23歳の時にインドので出会った、児童労働をしていたサディス・クマル君という男の子がいます。
話を聞くと、綿花を糸にする製糸工場で週6日間働いていましたが、給与は5日分しかもらえず、食事は出るが「いつまで食べているんだ」とお皿を投げられたり、仕事で失敗すると、たばこの火を腕に押し付けられたりしたといいます。
話をきいた後に撮った写真。私の左側がサディス・クマル君
「そんな状況を、自分の親に相談しなかったの?」
と私が聞くと、
「しなかった」と。
その理由を聞いて、私は驚きました。
同じ工場で働いていた別の子どもの親が、あまりの労働条件のひどさに、文句を言いに来た。その次の日、その子は働きに現れず、親が探しに来たけれど、どこにも見つからなかった、というのです。
「あの子は殺されてしまったのだと思う」
とサディス・クマル君。
「そういうことがあったから、自分の親には相談しなかったのだ」と。
借金のかたに働かされている子どもたちが多く報告されているインド。鎖につながれたり、監禁されたり、奴隷のように働かされ、暴力にさらされ、命を奪われる子どもたち。サディス・クマル君はそのサバイバーだったのです。
最後に、「将来の夢はなあに?」と聞くと、サディス・クマル君はこう答えました。
「なれるものになるよ、来るもの拒まずだよ」
子どもは夢を持っているものだと思い込んでいた私に、サディス・クマル君が教えてくれたのは、児童労働は、将来への夢や希望も奪ってしまうのだ、という現実です。
それから約18年たった今。世界の児童労働者数は、2億4600万人から1億6800万人(国際労働機関発表)へと、2000年に比べて3分の2まで減少しました。
それでも、9人に1人の子どもが児童労働を強いられている現状があります。インドのテランガナ州でACEが支援を始めたコミュニティでも、村の子どもの約3分の1が児童労働をしていました。
児童労働は15歳未満の義務教育年齢にあたる子どもの違法な労働、また18歳未満の危険・有害労働をさします。国際条約、国内法で途上国でも禁止されていますが、現実は、貧困、教育環境の不備、また子どものケアへの優先順位が家庭でも地域でも国でも低いことが影響して、必要な支援が行き届いていません。人身売買、子ども兵士、子どもの買春、ポルノなども児童労働に含まれます。
その現実を知ってもらいたいと97年大学院1年の時にACEを発足させ、これまで1,520人の子どもを児童労働から救い、13,123人の教育を支援してきました。でも、これではまだまだ足りません。
先月来日した、ノーベル平和賞受賞者カイラシュ・サティヤルティさんが言っていた3つのDという言葉があります。
Dream、夢を持つ、Discover、力を引き出す、Do、今すぐやる!
私のDreamは、子どもたちが児童労働から解放されて、教育を受け、自分の持つ可能性を花開かせることが出来るようになること。
私のDiscoverは、そんな夢を持って活動をはじめたら、多くの人が共感し、支援してくれることが、本当にあるんだということを知ったこと。
そして今の私のDoは、クラウドファンディングにチャレンジすることを通じて、児童労働の問題を伝え、ACEへの支援を募ることです。
6月30日までに300万円を募るというクラウドファンディングにチャレンジしています。金額が目標額に達成しないと、決済が行われず寄付金は0円になるという、厳しいチャレンジです。ご支援をぜひ、お願いします。
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6月12日は児童労働反対世界デー。
実はこの日は、1999年に国際労働機関(ILO)で「最悪の形態の児童労働条約」という新しい児童労働の条約が出来た日なんです。
この条約が出来たことで、児童労働に関する政府の態度が一気に変わり、「隠す」のではなく「あることを認めて、取り組む」ようになりました。
そこまで持っていったのは、5月に来日したカイラシュさんがリードをとって「児童労働
に反対するグローバルマーチ」が98年に世界100か国以上でマーチを行い、世論を喚起し、
多くの人の心と行動を動かしたことが大きかったと思います。
この6か月間のマーチの終着点が、条約を議論しているILOの本部ジュネーブ
でした。私も実際にそこで、条約をどのようなものにするべきかの議論を聞く機会に
恵まれ、また次の年に実際に条約が加盟国の満場一致で採択されると、一気にその条約
を守りますと各国の批准が広がっていき、世界的な関心の高まりがあったことが思い
返されます。
1998年、児童労働に反対するグローバルマーチはNGOとして初めて国際労働機関(ILO)の中に迎えられた
‥続きを読む
児童労働日々是発見資金調達・ファンドレイジング
2014年11月7日
本日大阪でCSRがテーマの企業向けの講演だったのですが、ACEとしてあまり周知できていなかったにも関わらず、ACEマンスリーサポーターの方が2名話を聞きに来てくれました!おひとりの方とは本日初対面で、どういうきっかけでマンスリーサポーターになってくださったのかをお聞きし、ACEがなかったら出会っていなかったであろうそのつながりが出来たことに、あらためて嬉しいな、と思いました。もうひとりの方は、もう長年ACEのご支援をいただいている女性。先日電話でもお話したばかりだったので、子育ての話などプライベートなこと含め顔を見てお話が出来てうれしかったです。
というわけで3つめのサンキューは、ACEを応援してくれているマンスリーサポーター、会員、寄付者のみなさんへの、ありがとうです。
ACEにはサポーター・会員あわせて定期的にご寄付・会費をいただいている支援者の方々が約500名いらっしゃいます。みなさんが私たちを信じてお金を託して下さっているからこそ、私たちは活動を続けることができます
またこれまで大口の寄付をいただき、助けられたこともありました。
ACEが法人化を目指していた2004年、どうしても1人事務局員を置きたいので、お金が必要なんです!とお願いし、300万円をご寄付くださったHさん。あのお金がなかったら、今事務局長をしている白木が会社を辞めてACEの専従になることは出来なかったですし、その頃からACEの活動が発展を見せたことを考えると、あの300万がなかったら、今のACEはなかったといっても過言ではありません。
印税を寄付したいと電話をかけてきてくれたMさん。その時はちょうどあてにしていた助成金に落ちた時で、とても資金に困っていました。助成金に落ちたという知らせを出張中のガーナで受けた時のショックは今でも覚えています。Mさんに相談して、その助成金で出せるはずだった人件費に充てさせてもらうことを了承してもらい、ご寄付をいたただき、なんとか息を吹き返しました。やはり、あの時あのご寄付がなかったら、今活躍しているあのスタッフの活躍もなかったかもしれません。
ビジョンサポーターという制度を作って、10万円単位のご寄付をお願いにいった時。10万円という金額は、そうそうさっと出せるものではありません。しかし、「せっかくきてもらったし、ご寄付しましょう」と快くご寄付を申し出てくださった人生の先輩の方々にも、本当に励まされました。ご寄付をいただくというのは、私たちの活動の価値、効果を認めていただき、ACEの存在価値を証明して下さるものだからです。
法人からのご寄付も、やはり人との信頼関係があってこそ。現在インドで実施しているピース・インドプロジェクトも、ご提案させていただき、組織として支援を決定していただいた当時のご担当者なしには、はじめられなかったと思います。またガーナのプロジェクトも、児童労働に取り組むACEをパートナー団体にしようという当時の森永製菓の1チョコfor1スマイルご担当者のご決断がなかったら、支援地拡大は出来ていませんでしたし、その次のご担当者が実現してくださった支援地のカカオを使ったチョコレートへの道も、開けなかったと思います。
こうしてみると、本当に多くの方々に支えられてきましたし、今も支えられていることを感じます。ご寄付をいただくというのは、その方の「児童労働をなくしたい」というお気持ちを私たちがお金という形で受け取り、事業を実施してその夢に向かって実現させていくということだと思っています。
私のモットーは「人とつながり、力を引き出し、社会をかえるエネルギーを生み出す」こと。ご寄付をいただくのも、その方とつながり、その方、あるいはその方の所属する組織の力(ご寄付)を引き出し、児童労働のない未来に向けて使わせていただくこと、と置き変えてみれば、その通りなのかもしれません。
私が目指しているのは「1人1人の可能性が花開く社会」です。そのためには、教育が必要で、それを阻害するのが児童労働です。
児童労働に反対するグローバルマーチに参加していたフィリピンのごみ山に住んでいる女の子を、数年後に訪ねたことがありました。ジェシカという女の子で、彼女はNGOの支援を受けて大学に通っていました。
建築を学んでいる彼女に「教育ってどんな意味があると思う?」と聞いたら、「教育を受けなかったら、自分が建築に興味があって、好きだってことがわからなかったと思う」と言っていました。自分の可能性を知り、それを開花させるためには、教育の機会が必要です。1人でも多くの子どもが児童労働から解放され、教育を受けて、自分の将来を希望を持って語れるようになる、それが私の夢です。
39のサンキューの3つめは、これまでご支援くださったみなさんへ。
本当に、本当に、ありがとうございます。
しかし、夢を実現させるためには、まだまだ多くの個人、法人のご支援を必要としてい
ます。これからご寄付いただくみなまには、Thank you in advanceということで!
前もって、そのご支援にここで感謝し、3つめのサンキューとしたいと思います!
お知らせ・報告児童労働日々是発見資金調達・ファンドレイジング
2014年10月16日
昨晩は、2014年のノーベル平和賞が発表になってから初めての講演でした。講演の最後にご支援をお願いしたのですが、ちょっと言い足りなかったな、と感じたのでブログにも書いておこうと思います。
10月10日の夜から昨日まで、ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさんに関する取材をTV、新聞各社から受ける中で思い出したのが、1998年の「児童労働に反対するグローバルマーチ」が実施された時にカイラシュさんが語った言葉です。
正確には
「児童労働がなくならないのは貧困が理由ではない。
政治的意志が足りないから、児童労働がなくならないのだ」
英語では、“Lack of political will”とおっしゃってました。
私は、カイラシュさんのこの言葉に、すごく納得しました。
‥続きを読む
みなさん、こんにちは!ACE代表の岩附です。
2014年6月12日からはじめた「そのこ」の未来キャンペーンを通じて、10万人に伝えたい!っと思っている「そのこ」は、詩人の谷川俊太郎さんがACEのために書き下ろしてくれた詩です。今日は、「そのこ」の誕生秘話をご紹介しますね!
詩「そのこ」を朗読してくださった谷川俊太郎さん(2010年ACE法人化5周年記念シンポジウムにて)
‥続きを読む
6月12日は「児童労働反対世界デー(World Day against Child Labour)」です。
世界中で、児童労働について知り考えて、行動を起こす日として、2003年に国際労働機関(ILO)が定めました。
そんな日にぜひ読んでいただきたい詩が、「そのこ」。
ACEのマンスリーサポーターでもある、詩人の谷川俊太郎さんが
児童労働を伝えるために書きおろしてくれました。
‥続きを読む
児童労働が大幅に減少したと9月23日にILOが発表しました!
22日の夜にその数が減ったことを確認していたのですが、まずACEのプレスリリースを出さなくては・・・と思って、23日から書き始めてから実際にリリースしたのが27日だったため、なんかもうすっかりやりきった感があって、このブログに書くのを忘れていました!
長くかかって、やっと出したリリースはこちら:https://acejapan.org/info/2013/09/10864/
児童労働が大幅に減少したというのを見たときは、ちょっと驚きました。グローバルな経済的な不況もあったし、そういうものの影響でより条件の悪い労働状態に子どもたちが陥るのではないか、と考えていたのです。
4年ごとの発表なのですが、前回のようにちょっと減少するぐらいかな、と想像していたのが、はるかに多い減少幅で、びっくりしました。 ‥続きを読む
1997年、児童労働に反対するグローバルマーチが開催されると知ったとき、
世界中の大陸をマーチしようなんて、こりゃすごいアイディアだ!と思いました。
はじめはみんな「そんなことできっこない」と思ったそうです。
実際に児童労働に反対するグローバルマーチにインドとスイス・ジュネーブで
参加したのは、日本人では私だけですが、その最後のマーチが終わった後
みんなで輪になって一言づつ話をしました。
インドやネパール、バングラデシュやフィリピンの元児童労働者の子どもたち、
南と北のNGOのスタッフ、そしてその中には発案者でありグローバルマーチ代表のカイラシュ
サティアティさんもいました。
その時に、イギリスのNGOの人が話したことがとても印象に残っています。
「はじめにこのアイディアを聞いたとき、そんなことできっこないって思った。」
‥続きを読む
世界会議について調べている中で、今年の児童労働反対世界デーにあわせて、
EUが児童労働世界会議に向けこんな声明を発表していたことに気付きました。
http://www.euinjapan.jp/media/news/news2013/20130612/100026/
‥続きを読む
10月8日~10日まで、ブラジルで児童労働の国際会議が開催されます。
いろいろな情報発信が以下サイトからされています!
http://childlabour2013.org/?lang=e
ブラジル政府から、各国の政府、労働組合、使用者、市民社会それぞれの代表4名を出すように、日本政府にも要請がきているようです。児童労働ネットワークとして、参加者を送る予定でいます。
前回、オランダのハーグで行われたこの世界会議は、児童労働の解決に向けて、国際的な流れを決める重要な会議です。9月には新しい児童労働の統計も発表されるようです。これを機に、2015年に期限が迫っていて、そのあとの国際的枠組みが検討されているポストMDGsにも児童労働が関連づけられる機運が高まることを期待します!
10月9日に、パキスタンで14歳のマララ・ユスフザイさんがタリバンに襲われた事件を知り、本当に許せないと思いました。 ‥続きを読む
インドのコットン産業の児童労働撤廃のために展開しているプロジェクト担当者がいまインド入りしています。今日、悲しいお知らせがありました。 ‥続きを読む
2010年12月11日、日テレ系列「世界一受けたい授業」の社会の時間に、児童労働問題がとりあげられました! ‥続きを読む
NPO経営/NGO組織運営児童労働
2009年8月23日
昨日はインドのパートナーNGO「SPEED」のスタッフと、プロジェクト形成のためのミーティングを朝から夜9時までしていました。 ‥続きを読む
今日はいろいろあって予定を変更し、子どもを学校に行かせている親に話を聞こうということになりました。木陰に御座(ゴザ)を敷いて、女性グループのメンバーも同席してインタビューをしました。 ‥続きを読む