児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(archive-blog)

もし、22歳のあの夜に一晩寝ないでACE設立趣意書を書いていなかったら。
もし、22歳のあの秋に「一緒にやらない?」と現事務局長の白木に電話していなかったら。
今の私もACEも、児童労働から救出した1000人以上の子どもの笑顔もなかったかもしれません。

そんな私の経験から、あまりにも多すぎる今の社会の心配事を減らすために
「行動を起こす Take Action」することが、思っているよりは難しくないこと、
そして自分の小さな行動が「違いを生みだす make a difference」することなど、読んだ人が感じ、NPO/NGOに関わり始める一歩を踏み出す「背中ポン」になることを願って、日々のことを綴っているのがこのブログです。

2004年からブログをはじめ、2013年のACEウェブリニューアルにあわせて引っ越しました!
代表ブログの内容は基本的に私個人の意見・思想ですが、ACEの活動紹介・報告の場にもなっています。

企業の社会的責任(CSR)

2020年10月29日

EUがいよいよ人権デューデリジェンス義務化の法案を公表

 

EUデューデリジェンス義務法制化に関する動きのまとめ

 昨年の2019年11月に国連ビジネスと人権フォーラムに参加したときに感じた「各国の人権デューデリジェンス法制化の波」の、大きな波がいよいよやってきました。EUが法制化することをその時点でかなり濃厚な状況でしたが、調べてみるとすでに法案の原案が含まれているレポートが公表されています。

EUデューデリジェンス法案の原案を含むレポート(2020911日付け)

https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/JURI-PR-657191_EN.pdf


 

これについては、日本語の情報があまり探せなかったのですが、これまでの経緯も含めてまとまっているのは以下です。

ECCJのニュース(20204月)

https://corporatejustice.org/priorities/13-human-rights-due-diligence

 このニュースによると、

・2020年4月に「サプライチェーンのデューデリジェンス要件」に関する調査が公表(※1)
・EU Commissioner for Justice のDider Reynders氏がイベントで義務化にコミットと発言(※2)
・EU議会が同時並行で関連するレポートを作成中
・2021年に議会に提案される予定

(上記ニュースの関連深いところ抜粋)

(※1)

https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/8ba0a8fd-4c83-11ea-b8b7-01aa75ed71a1/language-en

 (※2)

https://corporatejustice.org/news/16806-commissioner-reynders-announces-eu-corporate-due-diligence-legislation

  とのことです。

925日時点での以下記事が一番詳しそうです

https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=d82de6bb-4a9c-40ef-9572-e87f0b9bd8c8

※関連文書へのリンクあり 

これに対し、米国NGOヒューマンライツウォッチはリコメンデーションをウェブで公開しています

https://www.hrw.org/news/2020/06/24/recommendations-new-eu-legislation-mandatory-human-rights-and-environmental-due

EUの法案は人権だけでなく環境のデューデリジェンスも含めたものになっており、この法案が成立すると、EU加盟国は2年以内にそれを国内法に適用しなくてはなりません。

世界は動いている!

日本は?というと、日本もようやく、ビジネスと人権指導原則の国内行動計画を発表しました。2016年に作成すると表明してから、ACEも様々なプロセスに参加してきました。パブリックコメントもしました。これについて言いたいことはいろいろあるのですが、とにかくこの計画が出来たのは第一歩。「計画」といいつつ今やっていることの羅列では・・・というツッコミは私だけでなく多くの方々が思っていることだと思いますが、外務省が取り纏めて他の省庁にお伺いをたてながらやるとなると、こうしかならないのだと思います。ビジネスと人権については、政府がビジョンがあまりなく、決まっていることもないので、踏み込んで書くのが難しいのかな、と想像します。

ACEや児童労働ネットワークでは、ビジネスと人権に関する人権デューデリジェンス、サプライチェーンの透明化を促進する法整備、また、公共調達に関する法整備を「検討する」ということをこの行動計画に入れてほしかったのですが、残念ながらそれは入りませんでした。しかし、EUでもこのような流れが来ている中で、日本にもいつか来ると信じて、タイミングを待ちつつ、今後も世界の動きに注目していきたいと思います。

 

児童労働

2020年9月5日

コロナ危機が若者のアルバイトを直撃。児童労働の増加を危惧しています

コロナ危機による収入減はおとなだけではなく、アルバイトをしている高校生や大学生を

直撃しています。

中にはバイト代を削られ、犯罪に加担してしまうケースも。

https://this.kiji.is/639026091110368353

このケースは大学生ですが、これが高校生や18歳未満だった場合は「最悪の形態の児童労働」にあたります。世界全体でコロナ禍により児童労働増加が懸念される中、飲食店などのアルバイトが減り、選択肢が少なくなり代わってこのようは犯罪や、性産業などいわゆる「最悪の形態の児童労働」に陥ってしまわないか、心配です。

実は、この若者のアルバイト問題、コロナ危機発生直後に多くのNPO団体などがそこに関わる調査を実施しています。そのリストをまとめました。

若者のアルバイトにおけるコロナ危機の影響

特に高校生がなぜアルバイトをしているのか?自分の携帯電話料金が欲しいだけでは?みたいなことをよく言われますが、実は、7割が「貯金」という調査も。

https://www.mynavi.jp/news/2019/11/post_21721.html

教育を受けるのに、家庭の負担額が先進国で最も多い日本(教育の公的支出が35カ国中最下位の日本 https://resemom.jp/article/2019/09/11/52413.html )、このコロナ禍により、子どもたちの進学の道が閉ざされてしまうのではないかと危惧しています。

 

 

 

資金調達・ファンドレイジング

2020年6月12日

6月12日は児童労働反対世界デー

今日は児童労働反対世界デー。ご無沙汰してしまったこのブログも、今朝のJ-WAVE JK Radio Tokyo Unitedのラジオを聞いてくださった方がご覧になるかも!と思って更新させていただきます!

ACEは1997年、学生だった私が、児童労働に反対するグローバルマーチの活動がやりたくて
立ち上げたNGOです。あれから22年、現在はご寄付が税控除の対象となる認定NPO法人の資格も得て、職員も13名となり、活動地もインド、ガーナ、日本と広げることができました。インド・ガーナの28村で2360人の子どもたちが児童労働の状況から抜け出し、1万3500人の子どもたちの教育環境の改善を助けてきました。

世界推計が発表された2000年から、減少傾向を続けてきた児童労働。しかし、新型コロナウィルスの影響は、1億5200万人の児童労働者にも、そしてそのリスクが高い子どもたちにも出ています。学校が再開されても子どもたちが戻ってこず、働くのではないか、、、そんな懸念の声が世界であがっています。

私たちが毎日使うものにも、実は児童労働は関係しています。携帯電話のバッテリーに使われるレアメタルの採掘に。チョコレートの原料カカオの栽培されている畑で。そして実は、大量の農薬を使い健康被害がひどいコットン畑でも、多くの女の子が働いています。そのつながりが見えていないのが現状ですが、辿っていくとそういうつながりが浮き上がってきます。

そんな中、私たちができることは何か。

消費者として、意識をして商品を選ぶこと

企業人として、児童労働などの人権侵害に加担しないようなビジネスモデルを確立させること

政府関係者として、子どもの利益を優先する政策に十分なリソースをあてがい、プログラムを実施すること

市民として、問題について知り、自分が出来るアクションを起こすこと。

それぞれの立場で、出来ることがあります。

そしてACEの活動は、消費者、企業、政府、市民、それぞれのみなさんと一緒に作り上げてきた活動です。

現在クラウドファンディングに挑戦しています。ぜひ、応援してください。
https://readyfor.jp/projects/ACESDGs2020

今こそ誰一人取り残さない。 ACE SDGsプロジェクト2020開始のお知らせ

協力したいけど、コロナ禍で私も大変なんです、、という方もきっといると思います。

誰もが当事者である今回のコロナの影響ですが、その受ける影響には大きな差があるように思います。日本の中でも非正規雇用の多くの人が収入減となり、若者も含めて大変な状況になっている人が多いと思います。そういう方々にはぜひ、自分の状況について自分を責めるのではなく、アクセスできるサポートがあればアクセスしていただき、可能な限り、頼れる制度や人を頼ってもらいたい。そこに支援がいきわたるように、国内でも声をあげていかなくてはならないと思っています。

そしてそんな中、自分とは違う状況の人に想いを馳せる共感、分断を乗り越えるパワー、格差を広げない政策選択が必要だと思います。

最後に、誰でもできることを、ひとつ。

ACEの活動を応援してくれている、谷川俊太郎さんが、ACEのために書き下ろしてくださった詩のシェアです。

児童労働について子どもの目線になって書いてくれたこの詩の動画を、ACEのFacebookページでご紹介しています。ぜひ見てみてください。そして、もしよければ、あなたのお友達も見てもらえるように、この投稿をシェアしていただけたら幸いです!

児童労働の問題を知らなければ、問題はその人にとって「ないこと」になってしまう。6月12日の児童労働反対世界デーを機に、ますます困難な状況に追いやられそうな子どもたちのことに想いを馳せる2分間を、シェアしていただけませんか?

この投稿にはクラウドファンディングへのリンクも貼ってありますので、まるごとシェアしていただけるとありがたいです!

https://www.facebook.com/watch/?v=565595747662302

そのこ

6/12は児童労働反対世界デー!詩「そのこ」

ご協力、どうぞよろしくお願いします!