私のアドボカシー活動、2010年の出来事を振り返ったときに。 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

アドボカシー/政策提言企業の社会的責任(CSR)児童労働

2016年10月28日

私のアドボカシー活動、2010年の出来事を振り返ったときに。

今朝、政策提言系の宿題をやっていたところ、泣いてしまいました。
 
その原因は、宿題の関係で2010年ぐらいに活発だった「社会的責任に関する円卓会議」の過去メール。
 
ちょっと前段の説明が長くなりますが・・・
 
社会的責任に関する円卓会議は、「円卓会議は、多様な主体が対等な立場で参加し、政府だけでは解決できない課題に協働して取り組むための新しい枠組み」なのですが(少なくともHPにそう書いてある)、NPO/NGOセクター代表として運営委員に選出してもらい、「地球規模課題の解決への参画」ワーキンググループの事務局をACEが務めておりました。政府も主体のひとつとして参加しており、その他金融、消費者、事業者(経団連、同友会、商工会議所)、労働組合(連合)、NPO/NGOセクターから代表が出ている会議体でした。
 
で、児童労働に関してこの会議で合意にもっていこうとした政府の取り組みとして「労働・人権に配慮した調達促進の元となる法令の整備と行動計画の策定、それに基づく労働・人権に配慮した製品の利用の促進についての各種施策」という提案をACEがして、ワーキンググループで合意、資料として事務局へ提出したら、運営委員会の会議の前に政府側から「それは引き取る省庁がないので無理」といわれ、削除を求められ、結局誰かの助け舟で「政府への提言」として会議資料に記載することになったという経緯があります。
 
事実上「児童労働についてはあなたが出したどの案も政府はやりませんよ」と言われたも同然。最終的な協働戦略には、政府がやることだけ何も書いてないのもおかしいので、当たり障りのない記述が残っています。
 
私としては、2010年時点のこの頃から、サプライチェーンの児童労働に対する法整備を政府にしてほしいとアドボカシーしてたんだな、という自分自身のその時点での確信があったことの確認ができました。
 
で、なんで泣いたかっていうと、政府側から「これは削除」って言われてそのことについて比較的心情が通じていた霞が関の某お役人様とのメールのやりとり。
 
「児童労働は残念です。ACEの円卓会議との関わり自体をどうしようかと思うほど、政府の(*行動計画として)記述がないのは私にとってダメージが大きいです。と落ち込んでいても仕方がないのでこの学びを今後に活かしたいと思います。こちらも対策が遅くなったことは否めません。」
 
と私が書くと、それに対し、
 
「岩附さんや植木さんが、ボランティア的な形で、多大な貢献をされていることに頭が下がる思いです」とはじまり、でもそのような事情を知らない役所の同僚はDefensiveな反応をしがちで、自分自身で省内を説得して回っても、役人的ロジックで「そんな話は聞いてない」と言われるとなかなか反論しにくく、外から見ているとわずかな修正でも「軌道修正×関与している役人数」を見ると、比較的大きなインパクトがあるもの事実で、きっとフラストレーションやら怒りやら軽蔑やらを感じられていると思うけども、ご容赦ください、とつづき、
「私も立場上言わざるを得ないことは言いますが、それとは別に、改めて感謝と敬意を表する次第です。」
と結ばれているメールを、発見したのです。
 
2010年当時、すごくがんばっていた私(そして植木美穂!当時の資料がきちんと日付が入って残っていることとか、やっぱり素晴らしいよ)、上手くできなかったその時の悔しさ、でもそれに対して理解を示してくれていた政府側の人がいたこと。
 
とにかく、必死にもがいていた自分の足跡を発見してしまい、なんだか涙が出てしまいました。
 
さて、ただいま政府は持続可能な開発目標(SDGs)の政府の活動についてパブコメを募集しています。
 
◎総理官邸SDGs 推進本部 実施指針「⾻子」 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/
◎パブリック・コメント SDGs 実施指針 http://ow.ly/ZAqK305iJUx
 
児童労働は目標8の8.7に2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすとありますが、日本政府の実施指針の骨子、また付表にも、「児童労働」に関しては国内・国外とも一言もありません(性的搾取、人身取引については言及あり)。
また、目標12の持続可能な消費と生産の中に、持続可能な取り組み導入と情報の定期報告について(12.6)、持続可能な公共調達(12.7)に記述がありますが、現状日本の法律としてあるグリーン購入法は環境しかカバーしておらず、政府の調達方針の人権・労働分野については未整備な状態です。でも、今の行動指針付表には「グリーン購入の促進」しかなく、12.6についても「ESG投資の促進等による環境に配慮した事業活動の推進」しかありません。
 
サプライチェーンの人権・労働問題は、またもや置いてきぼりです・・・・(担当する省庁がいないから!)
 
TPPの労働章にも、「全部又は一部が強制労働(児童の強制労働を含む。)によって生産された物品を他の輸入源から輸入しないよう奨励する」って書いてあり、英国奴隷法もできて、いよいよ世界はサプライチェーンの人権問題に向き合おうとしているのに、日本だけ置いてきぼりに・・・
 
5月に来日したカイラシュさんが言っていた3Dが
Dream -big&better
Discover -your strength and opportunity
Do! – Act now!
 
この3Dを胸に刻み、今できることを、やります!
超長文になってしまいましたが、ぜひご一緒に!

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