「現代奴隷」と「児童労働」:SRセミナー2024 「組織のガバナンスと人身売買・強制労働・現代奴隷(HTFLMS)に関する国際規格ISO37200策定に向けて」に代表の岩附が登壇しました

「現代奴隷」と「児童労働」:SRセミナー2024 「組織のガバナンスと人身売買・強制労働・現代奴隷(HTFLMS)に関する国際規格ISO37200策定に向けて」に代表の岩附が登壇しました

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2024年9月10日に開催された、社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)主催の「SRセミナー2024『組織のガバナンスと人身売買・強制労働・現代奴隷(HTFLMS)に関する国際規格ISO37200策定に向けて』」にACE代表の岩附由香が登壇し、「現代奴隷・強制労働の現状・課題とISO37200策定議論の共有」についてお話しました。

組織のガバナンスにおいて人権への対応を求める動きは、国際規格にも及んでいます。国際標準化機構(ISO)では、英国からガバナンス規格・内部通報規格の開発、およびISO37001として発行された反贈収賄マネジメントシステムと、ISO19600として発行されたコンプライアンスマネジメントシステム規格の維持管理を行う専門委員会(TC309)を2016年に設置し、同委員会で人身売買・強制労働・現代奴隷(HTFLMS)に関する国際規格ISO37200の策定作業を進めています。

TC309に対応する日本国内の専門委員会に市民セクターからの参加が認められたことから、ACE代表、及びビジネスと人権(BHR)市民社会プラットフォーム副代表幹事の岩附由香が、ISO/TC309日本国内委員会 委員として参画しています。

現代奴隷制とは、恐喝や暴力、強制、欺瞞、あるいは虐待のせいで個人が拒否する、あるいは逃げ出すことができないような搾取を受ける状況を指し、特に、強制労働や強制婚のことを指します。「現代奴隷」は、アンブレラワードと表現される包括的な意味をもつ用語であり、岩附はこれまで、児童労働も現代奴隷の一部であることを指摘してきました。

セミナーでは、岩附から、主に以下についてお話しました。
• ビジネスと人権市民社会プラットフォームとは
• 現代奴隷のスコープ
• 現代奴隷の世界推計
• 現代奴隷に関する取り組み事例
• 日本の問題意識とISO規格の今後の議論のポイント

国際的な議論においては、「現代奴隷」のスコープを整理し各国の認識をすり合わせることが重要です。さらに、今後の議論のポイントとして、既存国際文書との整合性、国際機関との調整、人権デュー・ディリジェンスとの兼ね合い、各国の課題に対する理解の違いの調整等を挙げ、参加者の理解促進をはかりました。

また、同じくISO/TC309日本国内委員会 委員を勤めるIIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)代表者 川北秀人さん、同委員会のアドバイザーであり、世界のビジネスと人権の潮流に詳しい、森・濱田松本法律事務所の塚田智宏弁護士と岩附にて「ビジネスと人権分野の国際的な法令・規格整備が日本の企業・行政の調達にもたらす影響」というタイトルで、討論も行われました。

国際規格ISO37200は2026年に発行にされると予想されています。国際規格の策定により、世界共通の基準を定め標準化を進めることができ、国際貿易、国際的な課題解決の発展に寄与することができます。国際的な議論が進行する中、今後もACEの知見や経験を通し、活発な議論の促進と国際規格策定に貢献していきたいと思います。引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2024.09.25