【開催報告】第19回ACE交流サロン「ビジネスと人権におけるステークホルダーエンゲージメント~持続可能な事業を支えるステークホルダーとの対話とは?~」
【開催報告】第19回ACE交流サロン「ビジネスと人権におけるステークホルダーエンゲージメント~持続可能な事業を支えるステークホルダーとの対話とは?~」
2024年8月20日「ビジネスと人権におけるステークホルダーエンゲージメント ~持続可能な事業を支えるステークホルダーとの対話とは?~」 と題して、第19回ACE交流サロンを 「『ビジネスと人権』基本から実践まで」(*1)の出版記念共催イベントとして開催しました。
今回のサロンでは、人権デュー・ディリジェンスの実施において重要なプロセスのひとつでありながら、企業での取り組みがまだあまり進められていないステークホルダーエンゲージメントをテーマに取り上げました。
具体的な事例を交えながら本質的な理解を深められるよう、「『ビジネスと人権』基本から実践まで」を上梓した塚田 智宏弁護士に人権デュー・ディリジェンスの基本を解説いただくとともに、モデレーターとして3月にカカオ生産地を取材した朝日新聞編集委員 北郷美由紀氏をお迎えし、カカオ生産地での対話を昨年11月に実践した森永製菓の渡辺 啓太氏、ACE副代表の白木朋子と共にステークホルダーエンゲージメントのあり方や意義について、80分にわたるパネルディスカッションを実施しました。
パネルディスカッションでは、森永製菓がACEの企画による「ラーニング・ジャーニー」に参加し、ガーナのカカオ産業のサプライチェーンをたどりながら、1チョコ for 1スマイルの支援対象のACEのスマイル・ガーナ プロジェクトの過去と現在の支援先の子ども達、カカオ農家、親、先生、CCPCと呼ばれるボランティアのおとな、村長、郡の教育委員長、政府のカカオ関係者、JICAの方々などとの対話を通して、児童労働の課題を取り巻くリアルな現状を肌身で感じ深く理解したことが紹介されました。
また、その学びを社内の経営層から一般従業員迄共有されたことも紹介され、多くの方が「自分事」として捉えることは社内外で人権デュー・ディリジェンスをはじめとした取り組みを継続するために重要なことであるということが話されました。
また、人権デュー・ディリジェンスは日本政府ガイドラインにもあるとおり「企業活動における人権への負の影響の防止・軽減・救済を目的とするべき」であり、ライツホルダーの視点から課題解決を考えて働きかけることが、人権デュー・ディリジェンスの取組みを形骸化させないために大切であることが話されました。
まさにステークホルダーとの対話において、サプライチェーンの中で一番深刻な負の影響を受けている可能性のあるライツホルダーとの対話やライツホルダーを代弁する市民社会組織等との対話が、企業視点ではわからないような人権侵害リスクの芽を把握する手段のひとつとして、とても重要であるということも話されました。
サロン後には交流会を実施し、さまざまな業界・業種からお集まりいただいた参加者や登壇者の間で、意見交換や交流が行われました。ご参加くださいましたみなさん、ありがとうございました。
(*1)2024年4月出版「『ビジネスと人権』基本から実践まで」(著:塚田 智宏)は、売上のうち著者の利益の全額がACEへの寄付となり、児童労働をなくし子どもの権利を守るためのACEの活動に役立てられます。
詳細はこちら:https://acejapan.org/info/2024/04/351538
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2024.09.24