児童労働と教育についてのグローバルタスクフォース発足

児童労働と教育についてのグローバルタスクフォース発足

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複数の国際機関とNGOが初めて児童労働と教育という地球規模の課題について恒常的に開催する作業部会を発足した。「児童労働と教育についてのグローバルタスクフォース」は、国際労働機関(ILO)、国連児童基金(UNICEF)、UNESCO、世界銀行、児童労働に反対するグローバルマーチによって構成される。2005年11月29日、EFAハイレベル会合が行われた北京での記者会見で発表された。

グローバルタスクフォースの目的

児童労働をなくし質の良い無償基礎教育をすべての子どもたちに提供することを目的として、今後このタスクフォースでは、国際的活動をしている機関間の政策の整合性をとること、また国内での教育省、労働省、財務省など児童労働と教育に関係する省庁間の調整を促進する活動を行っていく。1年目はILOが事務局を担う。

このイニシアティブは2003年デリーで行われたユネスコ主催のEFAハイレベルグループ会合にあわせて行われた円卓会議でグローバルマーチが提案し、その後会合を重ね3年越しの準備の後、発足となった。グローバルマーチ代表のカイラシュ・サティヤルティ氏は「政策提言において、グローバルマーチが勝ち取った大きな結果だ」と語っている。

グローバルタスクフォース設立までの軌跡

この実現に向けてカイラシュ氏は国際機関のトップへ直接児童労働問題を訴える機会を作ってきた。2003年11月にはデリーで働いていた子どもの集めた子ども国会を開き、そこにキャロル・ベラミー氏(ユニセフ事務局長、当時)や松浦氏(ユネスコ事務局長)を招待、子どもたちの声を直接伝える機会を設けた。また同年9月には8人の子どもをアメリカで世界銀行の上級職員たちに会わせ性的搾取にあった子どもの声などを直接伝えることで、実際に子どもたちに会ってこの問題を認識してもらうことに尽力してきた。

カイラシュ氏は1980年より児童労働問題についてインド国内で活動を続けてきた。これまでに67,000人の債務労働など奴隷状態で働かされていた子どもたちを解放してきた。「働かされている状況から解放されない限り、ミレニアム開発目標に掲げられている基礎教育の実現はありえない」と語る。児童労働は教育を実現する障害となっているが、そこに視点を置いた活動はあまり多くはない。「児童労働は貧困削減、基礎教育実現、平和構築と密接に結びついている。この4つに同時に取り組まなければ、問題は解決できない」と訴えている。

カイラシュ氏がノーベル平和賞にノミネート

先週、アメリカの議員トム・ハーキン氏がノーベル平和賞へのカイラシュ氏の推薦を決めた。2月1日までにノルウェイのノーベル平和賞委員会に多くの推薦が集まれば、カイラシュ氏とグローバルマーチの活動も受賞する可能性がある。「カイラシュ氏が受賞すれば、世界の子どもと人権活動家を勇気づけることになる。世界で働く2億4600万人の児童労働の問題解決へまた一歩を踏み出すことができる」とグローバルマーチ事務局は語っている。子どもの権利活動家が受賞した例はまだない。

発行:特定非営利活動法人ACE
本プレスリリースを転送・引用する場合は事前にご連絡ください。

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  • カテゴリー:プレスリリース
  • 投稿日:2005.12.03