CSRにおけるNPOと企業・労働組合の協働を考える(1)
CSRにおけるNPOと企業・労働組合の協働を考える(1)
2006年3月9日、ACE主催でCSRに関する座談会を開催しました。大学、労働組合、NGOの各立場からCSRの考え方と今後の展開について語っていただきました。※座談大会の内容は、2006年4月に発行された三井物産戦略研究所の機関誌「World Compass」でも紹介されました。
出席者
- 梅田 徹(麗澤大学企業倫理研究センター副センター長)
- 麗澤大学外国語学部教授兼務。明治大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得。現在グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク運営委員、トランスペアレンシー・ジャパン副理事長、ライブドア社コンプライアンス強化委員会アドバイザーなどを務める。
- 熊谷 謙一(日本労働組合総連合会総合政策局経済政策局局長)
- 埼玉大学理学部物理学科卒業後、日産ディーゼル工業入社。工場支部を経て労組全国団体に移る。1989年より日本労働組合総連合会。組織、労働、国際等の担当を経て現職。ISO社会的責任規格化委員会第4部会副座長。産構審部会委員。
- 長坂 寿久(拓殖大学国際開発学部教授)
- JETRO(現 日本貿易振興機構)で主として調査部門を担当。シドニー、ニューヨーク、アムステルダムに駐在。1999年から現職。国際関係論(NGO・NPO論)。JETRO/国際貿易投資研究所客員研究員、NPOファミリーハウス理事長など。
- 岩附 由香(特定非営利活動法人ACE代表)
- 1997年ACEを立ち上げ、以後キャンペーンの実施など児童労働の世論喚起に従事。児童労働ネットワーク運営委員。NGO労組国際協働フォーラム企画委員。現在国際交流基金日米センターのNPOフェローシッププログラムで米国NPOで研修中。
- 司会進行
- 新谷 大輔(三井物産戦略研究所研究員/三井物産CSR推進部)
- 記録
- 清水 健、望月 裕司
※司会、記録はボランティアでご協力いただきました。ありがとうございました。
座談会の様子
新谷:本日、司会を担当させていただきます、三井物産戦略研究所の新谷です。まずは簡単に自己紹介をお願い致します。
梅田:麗澤大学企業倫理研究センター副センター長の梅田です。国際法が専門分野ですが、10年ほど前から企業倫理を研究し始め、最近では腐敗防止の問題に取り組んでいます。また、トランスペアレンシー・インターナショナルという腐敗防止の国際NGOの日本支部にあたります、トランスペアレンシー・ジャパンの副理事長や、国連グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークの運営委員もやっています。
熊谷:労働組合の連合でCSRの担当をしております熊谷です。労働組合はある意味でCSRを実現するための組織でありまして、職場での交渉にせよ、地域でのボランティアにせよ、組織の社会的責任の確保が活動の中心にあると思っています。また、現在、ISO26000という社会的責任の国際規格を作ろうということで、三つの分科会のうちの一つの副座長をしております。
岩附:特定非営利活動法人ACEの岩附です。ACEの設立は1997年で、昨年、NPO法人の認定を受けました。そもそもの始まりは、児童労働に反対するグローバルマーチという国際的な動きを日本でもやろうと考え、発足させようと思ったのが契機です。それから8年が経ちましたが、その過程ではワールドカップキャンペーンという児童労働とサッカーボール産業をテーマにしたキャンペーンも行いました。約1年半のキャンペーンの中で、児童労働がサッカーボール産業に使われているということを知らせるだけではなく、企業側も問題解決に取り組んでいるということを紹介したりしました。これはACEとしてはあまり意識していなかったのですが、CSRにかなり踏み込んだ活動ができたのではないかと思っています。
長坂:拓殖大学国際開発学部の教員の長坂です。私はJETROで様々な調査を行ってきましたが、その一方で、学生時代にボランティア活動をやっていたこともあって、ずっと社会的なテーマとはかかわってきました。70年代には身体障害者雇用促進法改正、80年代には海外に進出した日本企業の社会貢献、90年代には経済企画庁で委員をやり、ちょうどNPO法の策定にもかかわりました。現在、大学ではNGOや異文化交流といった科目を担当しています。個人的にはグローバリゼーションの中でNGOが何をやっているのか、その役割について一番関心があります。
「児童労働のないビジネスづくり」や
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- カテゴリー:報告
- 投稿日:2006.03.09